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ヘアアイロンが壊れた

いつもと変わらないある朝、ヘアアイロンが壊れた。
正確にはもうとっくに壊れていた。それが今までは辛うじて直せていただけで、ふっと電源が落ちてそれからうんともすんとも言わなくなった。

高級だった訳でもない、特筆すべき素晴らしい性能があった訳でもない。
確か5,000円程度で買ったごくありふれたテスコムのヘアアイロン。
この色しかなかったのか、普段なら絶対手を出さないゴールド色。
当時何を思ってこれを選んだかは今となっては思い出せないが、私にとっては大事なヘアアイロンだった。

長年の酷使で外装はハゲハゲである

私は癖毛だ。それも度を越えた。そして太い毛質である。
小学生の頃まではとても綺麗でさらさらしたストレートヘアだったのが、中学校に上がった頃に突然酷い癖が出てそれ以降の付き合いである。
ホルモンバランスの変化や強いストレスでこうなることもあるらしいが、元に戻らないのであれば原因なんて割ともうどうでも良い。
風呂上りに髪を乾かせば一本一本が躍動し、それぞれが自由な方向に散らばる。
初見の美容院で縮毛矯正を掛けるとほぼ確実に掛かりが悪い。無駄に丈夫でパーマ液が浸透しないのだとか。そして3か月もすれば強い癖を伴って根本が伸びる。2万円もするのにこれではとてもコスパが悪い。
そんな自由で強い髪をどうにか出来るのはヘアアイロンがあったからだ。

それまで何本ものヘアアイロンを買っては壊れを繰り返し、このヘアアイロンを使い続けて10年以上が経っていた。
恋人とデートする時も、祖母が亡くなった日も、仕事が辛くて泣きながら朝の支度をした時も、良い時も悪い時もいつもこのヘアアイロンが髪を伸ばしてくれた。折れた心も一緒にまっすぐに伸ばしてくれていたのかもしれない。

きっと世の中にはもっと良いヘアアイロンが多数存在することだろう。それでも自力で修理して使い続けていると愛着が湧き、おいそれと他の物に乗り換える気は起きなくなっていた。
形あるものいつかは壊れる、当たり前のことだけれどいざ壊れると割り切れない気持ちで胸が苦しくなった。
その日の朝は半分ストレート、もう半分は癖毛の頭で仕事に向かった。

それから数日後、新たなヘアアイロンを買った。またテスコムを選んだ。
これまでと使い勝手が違ったらどうしよう。恐る恐るスイッチを入れ、髪を通した。
…なんやこれ、もっと早く買い替えてれば良かったわ。
それが正直な感想だった。
長年酷使したアイロンのプレートは滑りが悪くなっていたようで、びっくりするくらいするっと髪が伸びた。
30分掛かっていたアイロンが15分で終わるようになった。仕上がりもバサバサせず心なしかしっとりしている。

購入したのはテスコムのTS750A-Cという型番のヘアアイロン

結論。
ヘアアイロンはある程度の年月使ったら髪のためにも買い替えましょう。

ともあれ、長年私を支えてくれたゴールドちゃんは暫く捨てられそうにもない。もう少しだけ引き出しの中でおやすみしててね。

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