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コラム:「除くクレーム」の権利範囲

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 これまで、いくつかの視点から「除くクレーム」を類型化してきた。

 「令和4年(行ケ)第10030号」の記事では、「除くクレームが何を除くか」という視点から、請求項に記載される技術の一部を除くか、請求項に記載されていない部分を除くかによって、「内的除外」と「外的除外」とに分け、さらに「外的除外」については、発明対象(物や方法)に内包され得る対象を除くか、発明対象に内包されない対象を除くかによって、「内在型の外的除外」と「外在型の外的除外」とに分けた。
 また、請求項に記載された発明が「オープンクレーム」か「クローズドクレーム」かによって、いずれの類型の「除くクレーム」が適用できるかを考察した。

 「令和4年(行ケ)第10118号」の記事では、「除くクレームによって除かれる部分の根拠記載が明細書に開示されているか否か」という視点から、「明記型の除くクレーム」と「非明記型の除くクレーム」とに分けた。
 また、除かれる部分における技術的意義の有無によって、「明記型の除くクレーム」と「非明記型の除くクレーム」のどちらと相性が良いかを考察した。

 後者の記事でも述べたように、「除くクレーム」の使い勝手の良さは、新規性/進歩性、拡大先願、サポート要件などの特許の障害事由を、障害部分だけを取り除くことで解消できるという点にある。

 「除くクレーム」は、その有用性から、拒絶理由や無効理由を解消する方法の一つとして利用されている。拒絶理由や無効理由の解消という側面からみれば、確かに「除くクレーム」には、他の解消方法とは異質の利便性がある。

 だが、審査や審判段階で「除くクレーム」を利用するとき、多くの者が、拒絶理由や無効理由の解消について頭を巡らせるものの、「除くクレーム」の権利範囲をどこまで考えているかは定かではない。

「除くクレーム」は、その使われ方によって権利範囲に違いが出るのである

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