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誰からも喜ばれることのない障害者手帳というアイテム

障害者手帳を発行してもらった。
そのことに妻は反対をしていて、今日もらってきたそれを見せた時も、微妙な顔をして布団を敷いてそっぽを向いて寝てしまった。

もともと、あなたはおかしいから、メンタルクリニックに行ってくださいと言われたのは妻からだった。

案の定と言っていいのかわからないが、見事にADHDとASDに該当した。

そして、最近、言い争いをした。
僕にはADHDとASDがあって、妻の言うことや、不機嫌がわからない。という私に、病院に行くように言ったのは、あなたが精神の病気だと理解してもらった上で、あなたに気をつけて行動を考え直してもらうためだと言う。

妻と向き合うことができなくて、どうしたら正解なのかわからない状態で、何もわからなくて途方にくれた。

僕は、頑張ったつもりだったけど、頑張りきれなかったなぁ…と思う。
途方にくれる。

仕事辞めるんだなぁ…。もうすぐ。
こっちも、何一つ成果を出せなかった…。
成果を出してない人のプランは採用できませんと言われ、それをやるのであれば、ご自分で会社を立ち上げてやっていただく他無いですよね。と、軽くあしらわれたのは何回目だっただろう。

そして、その会社を辞める決意を固め、少しでも環境的に楽にしておきたくて、手帳の申請をした。

だってさ、色弱デザイナーで、ADHDとASDだぞ?しかも、51歳だ。

こんな奴が生きていけるかどうか、わからない。
そんな状態で、申請した精神障害者手帳は3級。

保健所で受け取って、帰る道で、それを握りしめながら考えた。

僕が精神障害者なら、他の人間も、どっか悪い筈じゃないか!これだけ必死にデザインにしがみついて生きてきた奴が何処にいるんだよ?!

そう思って、握りしめた手帳を見る。
そして、思いあたった。
そうか、必死に生きてきて、人並み以下の社会的地位なんだ…。

死にかけながら生きてきて、身近な誰からの評価も得られずに無職になろうとしてること自体が障害なんだな…。

実現できなかった思い描いた環境。
やりたくて、認められなかった仕事。
何一つ評価してもらえなかった実績。
僕の半分しか生きていない奴からの嘲笑。

そうだなぁ…。
僕は、間違いなく、精神障害者だ。
汗ばむ日差しの中で、手帳を見つめながら佇んだ。

しばらくの間は、受け取っても誰からも喜ばれることのない、この障害者手帳というアイテムの小さな力を借りながら生きていく。

もう一回、普通の人間の生活まで戻ってみよう。そして、もっと今のステージよりも高いところにたどり着いて、違う景色を見れるといいなぁ。

と、そんな決意を固めてみた。
決意そのものが妖怪人間みたいやけど…。
多分、位置付けとしては間違ってない筈だよなぁ…。妖怪人間…。

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