コメディのような現世

批判ではない。
なんて、ひとは矛盾した生き物なんだろうと思った。

震災で、水がない牧畜家のひとのニュースをぼーっとみていて、水がなくなり亡くなった牛もいるというニュース。

黒牛。

餌も食べなくなり、悲痛な鳴き声を出して水を欲しがった。

今は、水が届くようになって、牛も餌を食べるようになり、きちんと出荷できるようになってきているという。

これで一安心です。
ようやく少しは日常的な仕事ができるようになりました。

そんな話し。

人間って、矛盾してる生き物なんだなぁと思うのです。

水が飲めないために悲痛な声を出す牛に対して感情を動かしながら涙ながらに語りながらも、食肉用の牛肉としてその牛を出荷して安心する。
それが、コメディみたいな私たちの現状。

だからと言って心を動かさない牧畜家も私たちであっても、嫌だなぁと思う。

この矛盾を抱えながら生きるのがヒトというものなんだろう。

そして、そこに損得勘定を入れた上での感情を想像してはいけない。それは、ゲスの勘繰りというものだ。

その時の、その命の感情に寄り添うことこそがひとの矛盾と罪とを意識して背負って生きていくという、大切なことなのかもしれない。

ひとは、生きている限りその矛盾からは逃れられない。

自分だけ手を汚さずに誰かに罪を犯させておいて、涼しい顔をしていることはできないんだなぁとつくづく思う。

罪を意識しながら、世界を悼むように考えることが、人のなかに普通に生まれてくるといいなと思うのです。

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