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ジャズ喫茶開店談

先日、2日間だけ場所を借りてジャズ喫茶を開いた。あっという間に時間が過ぎてそろそろ振り返っておこうかなということでがーっと箇条書きに感想を残しておく。

・「冠婚葬祭」の「祭」だったなと。ある人が話してくれてしっくり来た。今まで自分に関わってくれた人達がジャズとか喫茶っていうものを通して集まってくれて、各々楽しんでた。ジャズバーで1回会っただけの名前も知らない人とかも来てくれて、結婚式よりも人との親密さのグラデーションが許されていて心地よかった。来てくれた人ともっと話したかったし来てくれてありがとうを伝えたかったから、次はそれこそ屋外でキッチンカーに出店してもらってマルシェ開くとかでもいいかも。当日忙しくなりすぎないような設計の仕方で開いてみたい。

・ジャズ喫茶をやると1人で言い出してからここまで、今後生きていくために必要になりそうなことを繰り返し実験してた。
①万人に好まれるようなものよりも個人の好きの追求を表現したものの方がより大きな共鳴を生むんじゃないの?
②今まで解決・着地の糸口が自分で見い出せないうちはそれを人に話したり相談したりしてなかったけど、不安定なまま共有したらどうなるんだろう?
③報告連絡相談が大事ってほんと?

それぞれ実験をして感じたことは、
①私の好きな空間で、好きな人たちと好きな音楽と飲食を楽しんだ。店名も、誰も何が何だか分からないような私が一番好きなジャズプレイヤーのアルバム名にして。結構相手への配慮無くというか、究極の自己満足って感じで受け入れられるか不安だったけど案外すんなり皆「ウッドロア」って名前を呼んでくれて空間や音楽もいいねいいねって言ってくれた。自分の世界の「ここまでは受け入れてもらえる」の範囲がグッと広がった。あとすごく好きなものの表現って楽しいし、語れるし、自信を持って紹介できる。すごい。良い。これからも好きのアンテナを高く張って感度上げていきたい。
②ジャズに特にゆかりの無いお菓子屋さんにジャズの演者が集まらないって嘆いてみたり、コンセプト全然定まらないまま取り留めもない話を珈琲屋さんにしたり、インスタのストーリーで困ってることを書いてみたり。
結構勇気が必要だった。でもこれ実験して良かった。その不安定さを共有することで自分じゃ思いつかない方法が提示されて思いがけず道が開けたり、困ってることそのものが解決されなくても「じゃあその他のこの部分は私担うよ」とバランスを調整してくれたり、分からないねえって言い合うことで「ああ、分からないな」と分からなさを自覚できたり、「これだったらできるよー!」って連絡くれて関係人口が増えたり。
私もすごく助かったし、ちょっと上から目線かもしれないけど主催の私がその不安定な部分を共有することで関わってくれる人達が「これこうしようよ」「この部分まかせてよ」って自分で考えて動きの中で好きを表現してくれて、このトップダウンじゃない自由と主体性が確保された組織けっこう理想だなと思った。組織っていうと硬いけど、複数人での動きの時。
まとまらないままに話すこと、不安定な今の状況を共有すること、これからも意識的に大切にしていきたい。そしてその結果思いがけない方向に物事が動いた時に「おお、それもいいね」って言える柔らかさを持っていたい。
③報連相めちゃめちゃ大事だった。今回それを、特に場所を借りるお相手とのやり取りで少しおざなりにしてしまって楽器吹ける吹けない問題が発生したり搬入で手違いがあったりした。報連相することで自分の物忘れ防止にもなるし互いにスケジュール確認し合えるしそのやり取りを密にすることで認識の違いや齟齬も減る。互いに動きが出る時の前日にリマインド連絡することも大事。そして報連相とか話し合って決めたことは文字で残しておくべきだと思った。日がたってからの「あの時こう言いましたよね?」のやり取り、言いづらいし受け取りづらいし不穏な空気を作りやすい。共通のドキュメント作っておけばよかった。反省。次に活かす。

・コンセプト、悩みに悩んだけど結果行き着いた「意味はなくてもいい。ただ好きだから。わくわくするから。そうしたいと感じたから、そうする。ここにいる。この音を奏でる。あの人と話す。束の間の旅のような、そんな時間。」っていう概念、これ良かったなと思う。あの2日間、そんな時間が生まれてた。各々その場で思いついた好きな音楽して、あの場だからこそ出会えた人と話して、近くにあるギターポロポロ弾いて本読んで、エネルギーはあるんだけどどこか肩の力が抜けるような、リフレッシュできる疲れ方というか、なんというか、旅があった。

・やっぱりジャズは良い。楽しい。「この雰囲気はこれでしょ!」ってレコード選んでかけるのも楽しかったし笑いながら演奏するジャズのプレイヤーも最高だったし今この瞬間でしか出ない音を奏でられるのはやっぱりジャズだなと思った。クールでホットでスリリングでスペシャルにエキサイティングだった。最高。もっとジャズやりたい。

・ジャズ喫茶やった事で繋がった縁、深まった関係が沢山あった。お店屋さんとお客さん、友達同士だったのが仲間になれた。喫茶は終わったけど、きっとここをスタートとして今後また何かおもしろいことができるはず。今回あまり話せなかったお客さんともいつか「そういえば○年前中目黒のジャズ喫茶で…!」ってこれをきっかけにして関係が築けるといいな。自分のアイデンティティとして「数日ジャズ喫茶を開いた人」っていうなんともいい響きの色が追加された感覚も嬉しかったりしてる。
うーーん楽しかった。