眠れる虎 成瀬正虎伝

1 駿府生まれ

成瀬家の2代当主であった正虎は、幼少の名前を小平次といった。彼は、駿府生まれとなっている。彼が生まれた時、既に父の成瀬正成は、主君である徳川家康公の側近として頭角を表しだし、おそらく家康公と共に、江戸に居たと思われる。家康公の江戸下向は、突然だったと言われていて、彼の側近たちは、多分家族を伴う時間もなかったのだと、考えられる。それに徳川の家臣たちは、また早い時期に、駿府に戻れるだろうと思っていたのかもしれない。不確定だが。だから旧所領地であった駿府に、家族を残した家臣の家も多かったのかもしれない。父正成の家族もそうだったように。

ここから先は

4,146字

¥ 250

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?