2021年12月8日に行われた犬山市議会の一般質問の動画の一部抜粋書き起こし|

この書き起こし文章は犬山市議会の一般質問の内容を書き起こした文章である。大元のデータはYouTube上に残されているアーカイブ。質問者と回答者は敬称略。
ここに残される文章は公共上の文章ではないが、参照の資料としてパブリックに公開するものである。
以下、登壇者は名前の一部を明記している。答弁担当者の氏名は省略することとする。

時;2021年12月8日
所;犬山市役所6F議場
発言者;久世高裕(市議会議員)、高木 健康福祉部長(市職員)、滝 教育長(教育委員会会長)、山田市長(犬山市市長)、中村 教育部長(市職員) 順不同

●質問内容に出てくる法律はこちら

引用;医療的ケア児及び家族に対する支援に関する法律

一部抜粋だが、国、地方公共団体による措置の内容が変更されている。以前は努力義務規定だったが、責務と変更。支援の内容は以下の通り。
【国・地方公共団体による措置】
・医療的ケア児が在籍する保育所、学校に対する支援
・医療的ケア児及び家族の日常生活における支援
・相談体制の整備
・情報共有の促進
・広報啓発
・支援を行う人材の確保
・研究開発等の推進

【保育所の設置者、学校の設置者等による措置】
・保育所における医療的ケアそのたの支援→看護師または喀痰吸引等が可能な保育士の配置
・学校における医療的ケアその他の支援→看護師等の配置

以下一般質問の内容となる。

久世;令和3年9月に「医療的ケア児及び家族に対する支援に関する法律」が改訂され、地方自治体は努力義務ではなく責務となったが、犬山市における対応に変化はあったのか、また今後の対応に変化はあるか?

高木;法改正については責務と明文化されたことで、法律の理解は職員同士の理解、共有はされている。これまでも関係機関と連携し相談体制の整備や情報共有の促進など支援をすすめてきた。
平成30年度には医療的ケア児を支援するコーディネーターを養成するために愛知県主催の研修受講者を犬山市から推薦して養成している。(研修終了後は)市内の公共施設への配置をおこなっている。
(障害者のための)学校施設のバリアフリー化を進めている。看護師免許を有する看護師の派遣もおこなっている。
今年度、医療的ケア児は痰吸引が必要な児童を一人確認している。
法律が施行される前からさまざまな支援内容に取り組んでいるため法律に規定する責務はおおむね充しているため改めて施作を変えることはないが今後も必要な支援については柔軟に見直し検討していく。

久世;他市町に比べてどうなのか?教育長の見解を聞きたい
どこがどう他市町に比べて手厚いのか説明を

滝;医療的ケア児については一人確認しています。(高校生)そのほかに介助が必要な子供たちもいます。他の市町では介助が必要な子供に対し、介助員は派遣していませんが犬山は必要な人員を配置している。特別教育の支援が必要な児童、生徒には支援員が各(小中)学校に派遣されています。支援員の配置も犬山独自の施作だと思う。

久世;縦割り的な組織論で医療的ケア児の定義を確立してしまうと非常にめんどくさいことになる。犬山市として、医療的ケア児の定義について議論したい。定義の仕方によって施作が変わってくるのではないだろうか?どう定義しているのか?

高木;市独自の定義付けはない。法律の定義は日常、社会生活で必要なケアを受けなければいけない人と定義している。犬山市小中学校医療的ケア実施要項によると、主治医が学校における医療的ケアが必要と認める児童、生徒と規定している。この要項での医療的ケアとは痰吸引、その他の障害に伴い日常的に必要な生命の維持、健康状態の維持と改善のための行為と定義づけている。

久世;法律よりより広く(犬山市は施策を)取っているということでよろしいか?要項にはあるけれど、特別支援教育にある定義に入ってるという事でよろしいか?

中村;特別支援教育の定義は文科省の学校教育法による(中略)、対象者は知的障害、肢体不自由者、難聴者、弱視者、その他障害にあるものとされ、特別支援学級において教育を行うことが適当な者と定められている。
医療的ケアの法律は医療的ケアの法律で範囲が定められているもので、今の支援は特別支援教育で定められたところになっている。

久世;どうしても議会で議論となると事前に収集した情報と違う、こうなってしまう。医療的ケア児は医療的ケア児、特別支援教育は特別支援教育と分けられてしまう。
定義にこだわってしまうと、見落としてしまう所があるが、特別支援学校に通っているお子さん、(支援学校に)行けるけど希望して通常の学校に行っているお子さん、より重度になるかもしれないが医療的ケアの必要なお子さんと区別して施作を取っているのか?

滝;私の私見ですが、医療的ケアが必要なお子さんとは、医療行為が必要なお子さんになるため、医療行為は医療従事者、家族のみとなる。それ以外の人が医療行為ができないため配置ができない。介助員をつけるというのは、排泄や食事の介助が必要な子供たちのための介助員である。日常的な生活の支援のための人員だ。
医療的ケア児と介助の必要な子どもの線引きはそこにある。
ただし、犬山ではすべての子どもの学びを保障するという考えなので、保護者の方とよく相談し、協議の上で施作を決めるとしたい。

久世;定義にこだわって線引きをするとおそらく現場で不都合が出るのではないか?命に関わる緊急な事態が起こった場合、介助員ではできないと線引きをするのはどうか?定義を設けるのであれば、幅広く定義を広げたらいいのではないだろうか?という意見だ。
9月議会の最中に報告された件、特別支援教育の奨励費(学校給食費)に関して、支給されない事例があった。個人としてこれは定義付けにこだわったことから漏れが起こったのではないかと感じている。市の見解はどうか?

中村;特別支援教育就学奨励費は国の要項改正に伴い平成26年4月に要項が改正された。それに伴い当市の制度も改正された。支給対象者の範囲も拡大されたが、制度の周知は従来通り特別支援学校に通う対象者のみだった。
今年度(通常学級に通う対象の児童)保護者からの報告により、制度の通知や改正要領の通知もされていなかったことは弁解の余地もなく改めて申し訳なかったと謝罪したい。
原因は担当職員が平成25年度末に退職し、事務の引き継ぎが適切に行われていなかったことに加え、当該施行後も従来通りの事務をおこなっていたことで、弁解の余地もありません。
拡大した制度を利用するにあたり、資格や肢体不自由など障害の程度について法令の基準に対する具体的な判断基準を定めておらず、運用にあたっても支障があることが判明、付属機関での審議を経て、当市の判断基準を整えました。そうした事務上の不備や、関係書類を揃えた上で、対象者だった人に個別もしくは市の広報にて周知しました。

久世;単純な事務の引継ぎができていなかった、要項の確認ミスだったという、市の見解だと思うのだが、やはり定義にこだわっていたからではないか?何らか支援が必要な児童、生徒には、支援の方法を提案できたのではないか?と。幅広く定義を持っていれば、このようなことは起こりにくかったのではないだろうか?という悪癖を今後無くしていきましょう。

これを持って、インクシブル教育の概念から市長の教育論をお聞きしたい。

山田;基本的な大きな方向性は(久世議員と)同じ方向性を持っている。多様性という点は非常に重要で人の成長の土壌はそこにあると思っている。今からの時代は精神性の価値も重要になっているので、(インクシブル教育の概念)は理解できる。
しかしそこに扉は開いているのか?と問われると、当事者と寄り添って対話を繰り返しながら検証していかなければならない。扉は開いているが、こんな環境ではやっていけないというのではダメなので、物理的な環境も人的なサポートも行政側としては配慮して対応していると認識している。
今年度の支援方針でも介助員の運用基準は相当緩和した。時間、人員の増加も試みている。定義にとらわれていては出来ないことを何とか寄り添って施行している。
ただし際限なく支援ができるかと言えば、そこは出来ないこともあるので、十分ではないと感じる部分については当事者と寄り添い、施作として進めていきたいと思います。

以上、YouTube動画から書き起こし。

文責;岩田 武
2021年12月9日

よろしければサポートお願いします。サポート頂いたお金は全額取材やメディア運営費に宛てます。