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ドリームクルーズ 6戦目(3歳未勝利)  観戦記


過去のノート

はじめに

 勝ったぞやったああああああ!!!!!!!!!!

 ありがとうドリームクルーズ!!!!ありがとう戸田先生!!!!!!ありがとう武史!!!!!!みんなありがとう!!!!!!!!

netkeibaより

 安田記念が開催される2024年6月2日、バヌーシー所属の出資馬・ドリームクルーズが6戦目を走りました。前走、前々走とマイルを逃げて悔しい2着続きでしたが、その手綱を握った横山武史ジョッキーの進言により、距離を1400mに短縮しての1戦となりました。

 狙いとしては、同じマイルを使って騎手の指示で控えさせるよりも、距離を短くしてテンの速いスプリンターに自然と前へ行かせ、自身は好位につけて直線で交わそうという意図のように思われました。ドリームクルーズの近走を見るに、苦手だったスタートがすっかり改善され、ほどよい前進気勢も出てきたので、そうした彼女の良さを活かしつつ、控えて勝つ競馬をしようということです。

 この日の府中は、温帯低気圧に変わった台風1号の影響で曇天模様。夜のうちに降った雨で、馬場は稍重と発表されていました。初モノが苦手なドリームクルーズにとって、雨中のレースを避けられたのは良かったですが、馬場についてはこれまで良馬場しか走ったことがありません。まあ大丈夫だろうと思いつつ、少しの不安がありました。

 パドックでのドリームクルーズは、いつも通り慣れた様子で、ときには愛嬌を振りまきながら周回していました。しかし、返し馬に出ると雰囲気が一変。唸るような手応えで駆け出すと、飛ぶような速さで眼の前を走り去って行きました。今からそんなにスピード出していいのか?いや、これなら今日こそ勝てるかもしれない

 ところで、ドリームクルーズのパドックが終わる頃、カメラを覗き込む視界の下の方で、なにかが横切りました。なんだろうと目線を下げると、見たことがない純白の蜘蛛が、手すりを左から歩いて来たところでした。そして、すぐ目の前で止まり、巣を張ろうと糸を伸ばし始めます。思わず「うわっ」と声を上げ、彼の邪魔をしないよう離れました。しかし、あとで調べてみたら、白い蜘蛛は幸運の象徴。吉兆はすでに手元にやってきていたのです。

レース回顧

ラップグラフ

集計:3歳未勝利(東京芝1400良・稍重)5月~6月開催の直近10戦+今回

 これは、過去5月、6月に東京芝1400良・稍重で開催された3歳未勝利戦のレースを、10戦分集計してグラフにしたものです。黄色が今回のレースです。良が7戦、稍重が3戦という割合になっています。

 ドリームクルーズの勝ちタイム1:21:6は、集計した10戦平均の1:21.4に近いもので、稍重ということを考慮すればほぼ標準的でしょうか。時計からすると順当な勝ち上がりでした。

 ただし、内容はなかなかタフなもので、2F目が10.9ともっとも速い区画になっているのですが、そこをドリームクルーズは外枠から押して押して無理矢理に番手を奪い、道中もあまり緩みがない流れを前で競馬したわけですから、高い勝負根性が必要なレースだったといえます。ラスト1Fのラップの落ち込みがそれを物語っており、まさに力を出し尽くした、現時点での集大成の1戦でした。

序盤

 直近2戦はロケットスタートでしたが、今回はまわりも速く、ゲートは普通の出。いや、武史ジョッキーのプランからすると、むしろ出負けのレベルだったかもしれません。しかし、積極さが持ち味の横山武史。外枠だろうと構わずグイグイ押して先頭に取り付きます。

 先にも書きましたが、2F目の区画は10.9というハイラップ。そこを強引に前に行ったわけですから、ドリームクルーズにかかった負荷の重さはかなりのものだったと思われます。

 そして番手に収まると、それまでガシガシに追われていたのに、ピタッと静かに折り合って追走。ドリームクルーズは完璧な操縦性を発揮します。彼女にはこれまで4人のジョッキーが乗ってくれましたが、まだ競馬に慣れていない頃、勝ち負けよりも教育に徹してくれた大野騎手ピーヒュレク騎手の教えが、今まさに大きな花を咲かせようとしているのを見て、もうすでに少し感動していました。

遠いけど画面中央で輪乗り中
外枠偶数番ということで遅めのゲートイン
どこにいるかわからないけど出遅れてないのでヨシ!

中盤

 リアルタイムではラップを見ていないので、序盤にやや無理をしていたことはわかりません。ただ、武史ジョッキーがプラン通りに好位につけたことを確認し、まずは一安心していました。あとは馬がそれに応えられるかどうかです。

 ドリームクルーズは番手に収まってからも、集中力高く追走を続けます。逃げても真面目に走れる仔ですから、前に馬がいるなら、なおさら負けん気は高まっていたことでしょう。

 200mの距離短縮のため、すぐに3コーナーを迎えます。予定通り、前に馬を置いてここまで来ました。じわりと後方の馬群が差を詰めてきます。いや大丈夫。まだ溜めろ。そうだ、溜めろ。いいよ。いい。直線で弾けるために、まだガマンだ

残り800m、番手を追走
勝負どころを迎え、馬群がギュッと詰まってきた

終盤

 4コーナーを回り、いよいよラストの直線を迎えました。半馬身先を3番が逃げ、ドリームクルーズが捉えにかかる格好。一方で、半馬身後ろから7番が追いすがって来ます。目標にしつつ、されつつ、という攻防戦になりました。

 もっとあっさり交わすところをイメージしていましたが、頑強に逃げ馬(3番)が抵抗します。今にして振り返れば、序盤の無理がドリームクルーズの最後の伸び脚に響いたのでしょう。でも、現地ではそんなの知る由もありません。200mを過ぎても前を捉えきれず、何度も味わった敗北の苦い味が口の中に蘇ります

 勝負は最後の最後までもつれました。前の3番は捕まらず、後ろからは5番と12番が勢いよく追い込んで来ます。しかし残り100m、ドリームクルーズの二の脚が勝りました。逃げ馬を競り落として半馬身前へ。そのまま差し馬と同じような脚色でゴールを突き抜けました。

4コーナーを回って最後の直線へ!
さあ来いドリームクルーズ!!!!
なかなか前を交わせない
頼む!お願い!!がんばって!!!
抜けた!!!!!突き抜けた!!!!
ありがとう!おめでとう!!ドリームクルーズ!!!!

感想

 振り返ってみると、瞬発力要素はほぼなくド根性での勝利って感じでしたが、ドリームクルーズが現状できるすべてを尽くして勝った、という意味では、今も同じ感想です。

 出資馬の初勝利としてはウィープディライトが今年の1月に飾っていますが、彼にはあふれる素質があり、最後の100mだけちょろっと本気を出したら勝ってしまった逸材です。そのレースぶりは奇跡とすら感じました。

 ドリームクルーズはそれとは正反対で、敗北が続く毎レースを無駄にすることなく、ひとつひとつじっくりと積み上げてここまで来ました。

 新馬戦では緊張し通しのなか、ラストにいい脚を使って9着。2戦目は馬群に包まれて、ガマンを覚えこませながら4着。3戦目は中団からの競馬で、直線で思ったように伸びず3着。4戦目で初めて逃げるも、勝ち馬の目標にされて2着。5戦目は理想的なリズムの逃げだったが、東京の長い直線に甘さが出て2着。そのすべてが今日の勝利に繋がっています

 ドリームクルーズは、サラブレッドがひとつ勝つことの難しさを身を持って示してくれました。しかし、だからこそ、ひとつ勝つことがこんなにも嬉しいということも教えてくれたんです。

 そして、今日の勝利を導いてくれた、戸田調教師をはじめとする厩舎の皆様。これまで騎乗してくれた大野騎手、ピーヒュレク騎手、坂井騎手、そして武史騎手。”チームドリームクルーズ”が一丸となって勝ち取った1勝ということに、ウィープディライト勝利ときの高揚感とはまた別の、静かな感動を抱いています

写真館

パドック

返し馬

レース後

おわりに

 ということで、ドリームクルーズの初勝利が、横山武史騎手の600勝でもあり、記憶にも記録にも残るレースとなりました。武史騎手、おめでとうございます!これからもドリームクルーズをよろしくお願いします!!

 さーて、ようやくこれを書き上げたし、「ドリームクルーズ」、「ドリクル」で検索しては「いいね」を押す仕事に戻るぞー!

 ここまで読んでいただいたのは、同じ出資者さんくらいですよね?皆様も本当におめでとうございます!これからも仲良くしてください!

 ドリームクルーズ最高!!イェーーーーイ!!!!

使用機材

カメラ CANON EOS R10
レンズ RF100-400mm F5.6-8 IS USM

注意事項

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