第7回みりおんゑあ墓場

もう音楽は辞めよう。
そう思いつつも未練がましくライブハウスに来てしまう。
ギターも背負わず、ピックだけを手のひらで転がしながら。
不意に指のすき間からこぼれ落ちるピック。
拾おうと手を伸ばすと、先にそれを拾い上げてくれる一人の女性。
「落としましたよ」
「ありが......と...…えっ??もしかして美里ちゃん??」
「えっ?ひょっとしていぬかなにか君??
わー!そうだ!こんなところで、小さいころ親の転勤の都合で離ればなれになった幼馴染と再会できるなんてすごい偶然だね!まるで奇跡だよ!」
「本当だね、あの時たしか急な転校が決まってお別れの挨拶もろくに……」
「あっ!そうだ積もる話は置いておいて、再会の記念に一緒に写真撮ろうよ!」
話をさえぎるようにカメラを撮りだす美里ちゃん。
せっかちなところは昔から変わってないみたいでなんだか安心する。
「えっ、こんな人の多いところで?恥ずかしいよ…」
照れる僕に近づき「何言ってるの?いいから、いいから!時間も無いし!」と急いでシャッターを押す美里ちゃん。グイグイ来るところも昔のままだ。
その時ピピピッとどこからか電子音が聞こえる。
時計に目をやる美里ちゃん、この後の予定でもあるのだろうか。
写真はすぐにプリントアウトされ、美里ちゃんが急いで何かを書き込む。
「はい!これ!今日は再開の記念日だね!」
受け取った小さな写真には”2023年6月14日 再開記念日 大好きだよ”の文字。
「美里ちゃん!僕も昔から君の事が……」
その時不意に近くにいた女性に声をかけられる。
「美里ちゃん、お時間で~す」
「あっ、はーい。じゃあありがとうね~。また来てね~!」
「あっ...はい……また来ます。これからもがんばって…。」
こうして、僕と美里ちゃんの幼馴染再会コーデ特典会の時間は終わった。
でもアイドルに告白されました。
チェキに「大好き」って書いてありました。
本当です!!信じてください!!!小清水好きだ!!!!!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?