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共犯社会 殺される労働者

見た。
電子機器(スマホなどね)製造工程での健康被害についてのドキュメンタリー、舞台は中国。

恥ずかしながらベンゼン被害のことは全く知らなかった。
現代日本を生きて間接的加害者になっていない人はいないんではなかろうか。

コストをカットするために、労働者が使い潰されたり身体を壊していくというのはここ500年くらいは続いているのだろうか。
人間というのは「他人事」の問題を解決するのがとことん苦手なのだと痛感する。

中国でのドキュメンタリーなのだけれども、自分のイメージしていた現代の中国ともすこし異なる箇所が多々あり興味深かった。

まず親子の愛というか紐付きというか結びつきが濃ゆい。
親は子供に立身出世を望み、子供は親の期待に答えようとする、現代日本ではなかなか見ない風景だ。一人っ子政策も関連しているのだろうか。

また、中国の親はもっとこうスパルタ的な厳しい封建的な父親像をイメージしていたのだけど映像に出てくるのは、口数少なく弱々しく微笑むような父親が多かった。(逆に女性は苛烈かつ、強い!)
これは時代の変化に「ついていけなかった」父親の哀しさなのかも知れぬ。

取り上げられている事件は救いが無いケースも多いのだけど
不思議と、本当に不思議なのだけど乾いた少し心地よい読後感があるのである。
なぜだろうか、根底に「しかし、生きる」というムードが漂っているような。
タフな環境でそれでも生きる人たちの、それはやっぱり生命の強さというような
そういう感触があるのですよ。

総評
おすすめ度:6 割と見やすいし、身近な問題。ややライトな喉越しか?
共犯度:10 日本でも、いつでも、どこでも、似たような問題はあるのだろう。
読了感:6 そこまで鬱々感はない、20代の子供がいる人にはあまりおすすめできぬか。

共犯社会 殺される労働者 【日本初公開】 https://asiandocs.co.jp/con/411