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ゆっくり茶番劇の商標登録を巡る愚見

※記事更新ログ
初稿:5/23 0時台
追記:5/24 0時台 (ドワンゴの記者会見を受け追記)
追記:5/24 23時台(柚葉、商標権抹消申請のツイート)

はじめに

2022年 5/15。
ゆっくり実況者として活動をしている柚葉さん(以下敬称略)が
「ゆっくり茶番劇」という文字列の商標権を取得した。

「ゆっくり茶番劇」を始めとする「ゆっくりシリーズ」(以下ゆっくり)は
「上海アリス幻樂団」による「東方Project(以下東方)」のキャラクターが
饅頭フォルムの顔だけになって動画に登場する動画コンテンツであり、
YouTubeやニコニコ動画などで見ることが可能となっている。
(※厳密には東方キャラを使わずに作成しても
ゆっくりカテゴリーの動画とみなすことが出来るが、
今回は一般によく知られている内容であり、
各メディアが取り上げる際にも東方キャラが出てるので
東方キャラを利用したという説明にしています。)
なお、柚葉は東方の制作には携わっておらず、ゆっくり動画を制作する
二次創作者としてもともと活動しているクリエイターのようだ。

二次創作(厳密には二次創作的に作られて饅頭顔を利用した三次創作)のため
キャラクターデザインの著作権の侵害がないかが疑問視されていたが、
制作陣の方々によって創作利用が正式に許可された過去がある。
以来様々な動画が作成され、クリエイターからファンまで
多くのネット民に愛されるコンテンツ、文化として認識されている。
(※営利目的での利用は禁じられているが、広告収入に関しては
営利目的ではないとみなし許可されている。)

今回はこのゆっくり茶番劇の商標登録の簡単なまとめ、
ならびにクリエイター、第三者としての所感・愚見を述べたいと思う。

これまでの騒動のまとめ

商標登録が大きな反発を産む

そもそも「ゆっくりとはなにか」、「どんな問題なのか」については
下記のサイトをご参照願いたい。

端的に言えば、誰も商標権を持っていない二次創作コンテンツで
ネット上では共有財産的コンテンツとして認識されている
「ゆっくり茶番劇」というジャンルの動画があるが、
その「ゆっくり茶番劇」の商標登録を行ったものが現れたという事だ。

商標権とは、そのコンテンツを他者のコンテンツと区別し、
排他的に独占利用できる権利
であり、著作権とは別である。
例えば、筆者がTwitterのフォロワーにスマホの設計図の作成を依頼し、
その設計図を基に筆者がスマホを製造し、
「inucolon1」という文字商標を取得し実際に販売したとしよう。
この場合、設計図の著作権は設計図を書いたフォロワーに自動的に発生し、
商標は自ら出願した筆者が持っている
ことになる。
よって、設計図を書いたフォロワーでも、商標を持っている筆者に無断で
「inucolon1」というスマホを販売はできない

たとえ同じ名前だが中身は違うスマホやタブレットでも販売できない。
(※と思って書いてるけどほんとに合ってるのかこれ←)

柚葉(商標登録上では石氷氏の名前があるが柚葉本人か不明)は
元ネタになっている東方とは関係がない第3者であることや、
商標を得たと一般に公表したのが商標登録後、異議申立期間を終えた後の為
クリエイターやファンから厳しい批難を受けている。
共有財産であるゆっくり茶番劇の私物化だとして講義しているのだ。
「謎解きクリエイター」として活動されている松丸亮吾さんのツイートは
大きな反響を呼び、僭越ながら筆者もRTさせていただいた。

筆者もそうだが、Twitterのユーザー名に「ゆっくり茶番劇」を入れた方が
このところ増えていることだろう。(有名なところではひろゆき氏。)
ゆっくり茶番劇の商標は商用目的でなければ利用に問題はないとされる。
なお、文字商標なのでタイトルとしての利用はできないが、
「ゆっくり茶番劇というジャンル」として扱ったり、動画等の内容自体が
従来のゆっくり茶番劇と同様の内容であるコンテンツを配信することは
全く問題ないと言って良いと考えられる。
(※一部はドワンゴの声明を咀嚼した個人的な見解。)

なお、前述の通り5/15に商標登録をした旨が公開されているが、
商標登録に至るまでの時系列はJPPのサイトで確認できる。
当該商標の登録番号は6518338である。

商標権の詳細は柚葉本人の動画でその詳細が説明されている。
なお、商標利用料が年間10万円/税別から無料になったことに伴い、
一部動画上の文字列が白紙に修正されたように見受けるが、
音声では商標利用料は年間10万円/税別のままである。

今後の見通し

この騒動を受け、多くのゆっくり動画が公開されているニコニコを運営する
ドワンゴからも声明が発表されている。
ドワンゴとしても、「コミュニティが築き上げてきた文化を
独占・私物化するような行為に憤りを覚えています」としている。
東方の生みの親であるZUN氏等と話し合いつつアクションを起こすとし、
詳細は5/23に記者会見を行うとのことだ。

なお、記者会見は下記URLのページにて放送される。
5/23 15:00より開始となっている。

5/21朝に、柚葉が加入しているライバーコミュニティ「Coyu.live」より、
柚葉から商標の放棄手続きに入る旨連絡があったとされている。
しかし、柚葉本人が石氷氏ではない場合、そもそも石氷氏の意志で
商標破棄を行うか否かということになるだろう。

以下、しばらくは筆者の解釈的内容が続く。

仮に商標登録が自主的に破棄されなかった場合、取り消し可能か否かは
「無効審判」が可能かに全てがかかっていると見えよいだろう。
商標登録後の異議申立期間を過ぎてしまった以上、
他の手段はないと思われるためだ。

一部の情報では除斥(じょせき)期間の「5年」をすぎてしまうと
永久的に商標権を取り消すことはできないとされている。
だが、根本的に本人が更新しなければ商標権は10年で期限切れになるし、
その期限を過ぎたあとでも無効審判請求は可能という見方もできた。

なお、除斥期間を過ぎた後に関しては無効審判請求を行うに当たり、
理由と出来る規定違反の内容が限定されるというのが事実のようだ。
除斥期間を過ぎても規定違反として指摘できる内容には以下等が有る。

商標法第4条第1項第15号
他人の業務についての商品・役務と混同を生ずるおそれがある商標

ライトハウス国際特許事務所より引用
前述部分はサイトの内容から独自に咀嚼

法律を専門としないため上記が無効審判の適応に有効かはわかりかねる。
以下数行は個人的な解釈であることをご容赦いただきたい。

「ゆっくり茶番劇」というワードが商品や役務として認定されるか、
ここがなんとも判断が難しい。
一般的な認識として、ゆっくり茶番劇で広告収入を得る動画があり、
1つの「業務」という捉え方も出来るが、東方の二次創作ガイドラインでは
「広告収入を得るコンテンツでの利用は商用目的と判断しない」とされる。
それが影響するか否かは別として、法的に広告収入を得る動画は
著作物では有るが、商品や役務と捉えられるかはわかりかねる。

この一件に関する批判

前述の通り、この一件にはゆっくりファンや
ゆっくり動画のクリエイターを中心に批判が殺到している。

商標権を得たことで使用料を定めていた初期段階だけでなく、
使用料を無料とする旨に改定されたあとに関しても批判は止まなかった。
今後商標利用に関する規約がいつでも改定できる状況のため当然だが、
実際のところは「ゆっくり茶番劇」の商標独占そのものが批判の的だ。
全員の共有財産、一つの文化として多くのものに愛されていることが
このような一体感から強く伝わってくる。

一方、この批判の中でいくつかの犯罪が起きている。
恐らく広く知られている内容は、「田代砲」によるサイバー攻撃や、
この一件に関わったものへの爆破予告などだ。

厳密には、サイバー攻撃の一件については事実かどうかはわからない。
普通に考えればDOS攻撃であったと推察できるが、その証拠はないし、
柚葉やCoyu.live側からもDOS攻撃を受けたという声明を見受けない。
(※あったらごめんなさい)

一方、爆破予告のような恐喝関連については正式に公表されているだけでも
「海特許事務所」の弁理士が公開しているものが有る。

「ゆっくり茶番劇」を愛しているからこその行為かもしれませんが、
冗談ではすまされませんので直ちに通報致しました。

海特許事務所より 原文ママ

筆者本人の愚見

様々な意見がある一見だと思うが、筆者の個人的な愚見について述べる。
愚見でもあり、関わった方々へのメッセージも込めることになると思う。

批判していた方々へ伝えたいこと

今回の一件に限らず、現代ではSNSで様々な声を挙げることが出来る。
商標登録反対もそうだし、戦争反対もそうだし、政治に対する批判もだ。

こうした一つの話題がSNS上のトレンドになった際、懸念材料のひとつが
デマや出所不明の不確かな情報が広く伝わってしまうことだ。
批判の的になっている張本人から飛び出すことも有るし、
批判している者同士で広まることもあり混乱を招いてしまう。

このような状況の場合、「確証バイアス」と言った、
自分に都合のよう情報を正しいものとする本能が働きやすい。
本件に関しては筆者が批判側の人間でないとしても
批判している側は真っ当だと考えていただろうが、
だからといって都合の良い情報だけを鵜呑みにするのは危険だ。
ドワンゴ、Coyu.live、弁理士の方々はその点には死ぬほど注意しつつ
ユーザーの利益を守ろうとしている。筆者も含め、見習うべきだ。

また、前述の通り犯罪や犯罪と思われる事柄も起きている。
弁理士の方も言っていたように、ゆっくり愛が引き金なのはわかるが、
せっかくの愛情が行き過ぎてはやはり勿体ないし、僕らも養護できないし、
それだけにとても心苦しいと個人的には思っている。
皮肉にも、現時点で犯罪を犯しているのは真当な批判をしている側のみだ。

そうした心情を汲んだ弁理士のコメントだということを肝に銘じて、
今後同じことが絶対に起きないようにと一人一人が考えるべきだ。
そんなクリエイターやファン各位と寄り添い、一員でありたいと言う想いが
今回筆者がこの記事を書いている原動力であるとご承知いただきたい。

柚葉へ伝えたいこと

柚葉に関してはいくつか申し上げておきたい。

まず、今回の一件について、現段階では合法な手段で商標を取り、
何ら不正をしてはいないだろうということは批判側の大勢も承知している。
今回の批判は法的におかしいというのではなく、「モラル的におかしい」と
批判側が訴えているのだということを理解してほしい。

商標登録を行ったことで批判が起きた理由は本稿にも有るように、
またメディアで報じられているように、「ゆっくりの独占」だと
クリエイターやファンが憤慨しているからだ。
使用料が無料でも関係はないことだ。

既存コンテンツを守るためだという主張をしているが、
仮にそれが本心だとしても理解は得られないだろう。
間違って使ってしまわないようにとお年玉を預かる親から
お年玉が返ってきた人がどれだけいるだろうか?
仮にあなたがいい人だと誰もが知っていてもこのやり方では
信用を集めることは難しいことだろう。

リプライを制限し、RTによる拡散だけが進んでしまう環境を作ったのも
かなりの批判を浴びたのではないかと思う。
ツイートそのものの内容を度外視しても、その行動自体が煽っている。

言論だけが表現じゃないということはよく知っておくべきだ。
それは批判を呼ばないための心得でも有る顔しれないし、
今後クリエイター活動を継続するのであればより広い視野で
表現の自由を謳歌することも出来るのではないかと思う。

前述の通り、批判側から犯罪行為があったことは認めなければならない。
どのような経緯があれ裁かれるのは犯罪を犯した側であるし、
この点に関しても柚葉や商標登録に関わった各位がお咎めを受けない。

ただし、個人的に述べるのであれば、柚葉本人の責任は重大だ。

根本的に今回の爆破予告などの引き金になっているのは、
「ゆっくり茶番劇の商標登録」に他ならない。
その一件がなければこのような事件が起きる可能性はなかっただろう。
犯罪行為に及んだ者を養護するつもりはないが、
道を踏み外さずに済んだ可能性のある者に踏み外させた、
その張本人が柚葉と言っても大衆から対して異議は無いだろう。

「ソーシャルメディアインフルエンサー」を名乗る以上、
自分の行動が人に良くも悪くも影響を与えることは自覚するべきだ。
「自分は誹謗中傷をしていない」という趣旨の発言は正しいが
今回の場においては相応しく無い。その考え方については糾弾する。

以上が、この一件を通して柚葉に対し覚えた憤りだ。
その上で改めて申し上げるが、ゆっくり茶番劇の商標権は破棄すべきだ。
既にCoyu.liveからの発表で、柚葉より商標破棄の意志を確認したと有る。
その通り、一刻も早く破棄するべきである。
そしてなにより、ゆっくりのクリエイターやファン、
関係各位に謝罪をするべきであろう。

謝罪するべきと言っても、何かを持って罪を償う必要はないと考える。
そもそも法的に罪に問えない状況であるし、法が裁かないのに
一般の民が謝罪以外の具体的な償いを求めるのは適切でないであろう。

このような一件を引き起こすまでにどのような経緯を柚葉が辿ったのか、
そういうところまで踏み込めない以上人格まで否定はしない。
ただ今回起こした騒動についてどれだけ人が心を痛めているかを認識し、
今後の振る舞いが改心されることを祈りたいと思う。

【追記】ドワンゴによる記者会見の内容

5/23 15時より、ドワンゴによる記者会見が行われた。
内容は大きく2点、「ゆっくりとはなにかとその歴史」、
そして、今回の商標登録の一件に対する「ドワンゴのアクション」である。

詳細は記者会見をご覧頂くのがベストだと思われるが、
ここにドワンゴのアクションとして紹介された内容を振り返る。

ドワンゴは、
東方Project原作者のZUN様とコミュニケーションを取りつつ
以下4つのアクションを行います。
①商標権の「放棄交渉」
②ゆっくり茶番劇の商標登録に対する「無効審判請求」
③使用料を請求されてしまった方への「相談窓口の設置」
④商標登録による独占の防止を目的とした
 「ゆっくり」関連用語の商標出願

ドワンゴ記者会見で提示されたフリップの原文ママ

1つずつ、ニコニコ代表の栗田穣崇氏の説明などを振り返りつつ
咀嚼した内容を以下に掲載する。

①商標権の放棄交渉

本稿でも掲載しているように、柚葉が所属するCoyu.liveより、
柚葉が商標権破棄の意向を示している旨が公表された。
このドワンゴの会見当日には、柚葉より弁理士宛に
商標権の抹消依頼、特許庁への提出要請があったとされる。
なお、受理から二週間ほどで通知が届く見込みとのことだ。

このことからドワンゴとしても、自主的な商標権放棄が行われれば
最も平和的な解決だと認識が示された。
そのとおり、「ゆっくり」のイメージに沿った牧歌的な解決策だろう。

しかし、「商標権者は柚葉本人かわからない」為、
その点の事実なども含め確認を取りつつ、もし商標権者が別人であれば
権者本人も含めて、商標放棄のコンセンサスを取りたい意向と見受ける。

②商標登録の無効審判請求

仮に商標放棄に応じられない場合、商標登録の無効審判請求を行う
会見内で明言されていた。

繰り返すが、商標権者が柚子は本人ではない場合、そもそも商標放棄は
商標権者である石氷氏の判断に委ねられる。
現在の状況を鑑みて、その別人石氷氏が商標放棄に応じない理由はないため
交渉には応じられるであろうと筆者も考えているが、
万が一のことも想定し、無効審判も視野に入れるという構えなのだろう。

商標登録の無効審判を請求できるのはその商標を本来取得すべき者など、
利害関係に有ると考えられる者とされているが、この点については
ゆっくりという文化を支えているプラットフォーマーとして、
その文化が脅かされること
」や「そもそも商標侵害で訴えられる可能性がある立ち位置に有るため」と説明がなされた。

「ゆっくり」という文化がこの一件で衰退するようなことがあった場合、
その文化の中心地とも言えるニコニコ動画の損失は大きい。
十分に利害関係が有ると捉えることが出来るため、
無効審判請求は可能という見立てが立つ。
YouTube等のプラットフォームに関しても利害関係にはあるといえるが、
もっとも影響が大きいのがニコニコ動画と考えられるであろうし、
無効審判請求を行うに最も相応しい企業がドワンゴと言って良いだろう。

③相談窓口の設置

商標登録関連の請求があった場合のために無料相談窓口を設けるとのこと。

筆者がツイートでも述べたが、今回のような事が起きた場合、
本件とは全く関係ない悪意を持ったものが、便乗した詐欺を働くことも
十分留意しなければならない。

記者会見内でも述べられているが、ゆっくりのクリエイターには
非常に若い方も多く、中高生が活動しているケースも少なくないため、
特殊詐欺と解っていても、脅しに屈してしまう可能性は否定できない。
最近トレンドであっただろう、現役女子高生で成年のものが
性的搾取を受ける可能性が懸念されている、それに近い事件も
十分に起きうると考えられる。

そのような懸念、また、万が一正当に商標侵害の指摘を受けた場合も含め、
クリエイターが相談できる無料窓口を設けたということであろう。
現状個別相談はなく「栗田頑張れ」の声が挙がるだけのようだ。
そのまま被害が起きないことを心から願いたい。

④「ゆっくり」関連の商標出願

今回の一件を受け、「ゆっくり茶番劇」のみならず、
複数のゆっくり関連の文字商標を出願する意向が示された。
東方生みの親であるZUN氏は了承済みとのことだ。

商標出願を行ったとして、このゆっくり茶番劇を前例を加味し
商標権を取得できなかった場合に関しては、
そもそもその文字列に関しては第三者に商標権を取得され
独占されることは今後なくなったと判断できる

また、「仮に商標を取得できてしまった場合に関しても、
将来にわたり商標権の権利行使を行わないことを約束する
」とのこと。

この点に関しては以下のような質問も飛び出した。
「他のプラットフォームと競争関係に有る中で、ゆっくり関連の商標を
ドワンゴの商標として権利を取得することは問題ないのだろうか?
また、他のプラットフォームと協力しコンテンツを保護するような
何らかの枠組みを設けていく考えは有るか?」という内容だ。
「今後他のプラットフォームからそのような声がかかれば」と
具体的な内容までは回答が用意できずとも前向きな回答が見られた。

また、商標権を行使しないのがニコニコ動画へ投稿される動画だけでなく、
あらゆるプラットフォームに存在する動画に対してのことと考えられる。
枠組みのような物ができるか否か別として、多くのクリエイターにとって
非常に有意義なコンテンツ創造環境の保護として強力な措置だと思う。

【追記2】柚葉:商標権抹消申請をTwitterで報告

柚葉本人より、「ゆっくり茶番劇」の商標権抹消登録の報告があった。
Coyu.liveのTwitterでもその旨を確認しているとの報告がされており
信憑性は高いものと考えられる。

ドワンゴが示したアクションに商標権放棄の交渉があるが、
このまま商標権抹消が完了した場合、ほぼ自体は解決と言ってよいだろう。

また、ドワンゴからもアクション④に示していた、
「複数のゆっくり関連の商標登録出願」が完了したと公表された。

これで安心してクリエイターの創作活動は進みそうだと筆者は見るが、
ドワンゴが無料相談窓口を設けているように、便乗した詐欺には
今後とも十分に注意していただきたいと思う。

最後に

筆者が日常において自らを律したい時に心に置く言葉がある。
「ノーブルオブリゲーション」、日本語に直訳すると「貴族の責務」という
社会心理学の言葉になる。

力を持つものは、力を持たない者のためにその力を使わなければならない。
現代の政治で言う「公助」に近い考え方であろうか。

「使わなければならない」とあるように内容自体は義務的なものであるが、
その本質は貴族の誇りを誇示するための戒めに近い意味合いがあり、
即ち、「貴族の誇り」と要約してもよいものだと言える。

筆者のお気に入りのアニメ「ソードアート・オンライン」の主人公キリトは
この言葉について以下のような言葉を続けた。

「たとえ、法で禁じられていなくてもしてはいけないことはあるし、
また逆に、法で禁じられていてもしなきゃいけないことだって
有るかもしれない。」

ソードアート・オンライン アリシゼーションより
筆者の記憶に基づく記載

先程、SNSで声を挙げる場面の例に反戦を唱えるような例を挙げた。
読者各位も報道でご存知だと思うが、ロシア国内では言論統制が激しく、
反戦のプラカードを持てば即時拘束されるし、SNSで声を上げることも
非常に危険を伴う状況にある。

しかし、それでも反戦の声を挙げ続けるのは法で禁じられていても
それが正しいことだと信じているからに他ならない。
そんな彼らは「自分のあとの世代になってもこんな世界があり続けるのは
絶対に間違っている。」と、まだ声を挙げることができない、
どのような事情なのかもわからないか生まれていない子どもたちのために、
危険を省みず自分たちが持てる力を使っている。

筆者のツイートにも記載しているが、このように法で禁じられていても
しなければならないことの中に「爆破予告」はない。
ただし、法で禁じられていなくてもしてはいけないことの中に、
今回のような商標登録の一件は間違いなく当てはまると思っている。
戦争とは違うと言えど、爆破予告のように人命を脅かしかねない事が起き、
それが現実にならずとも、逮捕者が出ればそのご家族を含め
大きな影響を受ける可能性は十分に考えられる。

先程、ソードアート・オンライン主人公のキリトの言葉を掲載したが、
その言葉に対し、キリトの弟子のような立ち位置にいるロニエが
このような解釈をしてみせた。

「つまり自分の中の正義ということですよね?
ただ法を守るのではなく、その方が何のために有るのかを考えて、
自分の正義と照らし合わせて考えることが大事なのかなって。」

ソードアート・オンライン アリシゼーションより
筆者の記憶に基づいて記載しています

最後の最後は法律ではなく自分の中にある正義に従って行動する。
自ら考えて、自ら決断し、自らの思想を言動で表現すること。
「表現の自由」というものは本来そういうものなのだろう。

この記事がどれだけ多くの読者に届くだろうか?
また、この記事は柚葉本人の目に触れるだろうか?
仮にこの思想が人の役に立ちうるものだったとしても、
多くの目に留まらなければ役に立っていないも同然かもしれない。
そういう現実は時に、自分に無力さを突きつけてくるものだ。

しかし、自らが発信する立場である以上、
筆者も含めクリエイターは人に影響を与える立場に有るし、
その小さな積み重ねが人に大きな影響を及ぼす可能性もある。

ゆっくりのコンテンツは多岐にわたるが、そのボイスの特性上、
牧歌的に心和むコンテンツが多いものだと感じる。
その一つ一つが大きな影響を及ぼすことがないにしても、
たくさんの動画を視聴するファンにとっては、ゆっくりを見て
なんでも無いことにくすりと笑って過ごした時間は
やがて大きな財産の一つになることだろう。

どのような文化もいつかは廃れてしまうが、今回の一件を乗り越え、
いつの日か惜しまれつつ文化が途絶える日まで、
皆さんと一緒にこの文化を楽しめる未来であってほしい。

そう願いつつ、この記事の終結とする。

記事をご覧頂きまして、まことにありがとうございます。 「缶コーヒーの差し入れ」くらいの気持ちでサポートをしてくれされば とても励みになります。