イラスト練習1(2023.8.18)
いつもやってるイラストの勉強を、目に見える形で残しておきたかったので(+共有したかったので)、ここに備忘録として残しておきます。
練習方法は模写です。私の場合、使用されているブラシやレイヤーの分け方まで再現するつもりで模写します。
最近はもっぱらrurudo先生の作品にハマっているので、今回はC100にて頒布された「STIGMA」の表紙絵を模写します。線がとても細かく儚げな印象である一方、彩度の高い赤色が目を引く、魅力的な作品です。(著作権上、元絵は掲載していません。見たい方は是非STIGMAを購入してください(布教)。)
はじめに
ブラシ
rurudo先生は稀にお絵描き配信をされます。いつかの配信画面で見えた限りのブラシツールは以下の通りです。(太文字は実際に配信内で使用したブラシ)
ペン
Gペン
Gペン 筆圧濃度
油彩4
Cody oil
DM PEN
あぶり出し風ブラシ
ざらつきペン
ろGペン
ろGペン2
丸ペン
カブラペン
鉛筆
濃い鉛筆
薄い鉛筆
薄い鉛筆改
濃い鉛筆2
⭐︎線画用水彩
ほっぺぽんぽんブラシ2
DAEPEN2
DAEPEN3
Nacho Pen
Nacho Pen2
⭐︎線画用水彩2
らくがきミリペン
水彩
不透明水彩
透明水彩
濃い水彩
不透明水彩3
ほっぺぽんぽんブラシ
線画用水彩
不透明水彩2
厚塗り1
塗り&なじませ
主線も水彩も厚塗りも一本でやる怠け者ブラシ
楽々混色ブラシ
エアブラシ
強め
柔らか
ハイライト
影
スプレー
トーン削り
にじみスプレー
飛沫
ぼかし
色混ぜ
ぼかし
指先
繊細にじみ
水彩なじませ
コピースタンプ
消しゴム
硬め
硬め2
ざっくり
ベクター用
レイヤー貫通
鉛筆R2
スナップ消しゴム
練り消しゴム
柔らかめ
特に塗に関しては、いつかの配信で、「最近はもっぱら『ほっぺぽんぽんブラシ』を使っている」とおっしゃっているのを聞きました。線画に関しては、Gペンを改良した自作ペンを使っているそう。
レイヤー分け
レイヤーの分け方はおおよそ以下の通りです。
+(細かい修正)
効果(キャラにマスク)
自然な彩度
レベル補正
トーンカーブ
その他レイヤー効果
装飾
線画(色トレスあり)
髪
顔(眉・目・鼻・口の塗りも込み)
体
その他
塗り(色ごとにレイヤー分け)
+
その他
髪
h
影
髪
服(3色ほどにレイヤー分け)
h(ハイライト)
影
服
肌
オーバーレイ
ソフトライト
h
影
肌
BG
レイヤーのブレンドはほとんど「普通」で、乗算等は使われていません。(乗算を使うと色の感覚が鈍る。綺麗な色にしたい時は乗算を使わない方が良いため)レイヤーマスクをよく使っている印象で、クリッピングしたレイヤーは大体結合しています。
構図
元絵は羽・髪の毛・ヴェール等が末広がりになっていて、全体として三角形のシルエットを形成しています。一方、肩より上のフードや蝶のシルエット的な膨らみがアクセントとなって、三角形シルエットの退屈さを打ち消しています。髪の毛などで画面上に逆S字の流れを形成しており、一枚の絵の中で視線が循環するような工夫がされています。
体は逆S字に曲がっており、女性的な腰の曲線が強調されたポーズになっています。顔周りは描き込みが細かく、目の色も相まって目線が引き寄せられます。手を胸の位置で組んでいるのも、上半身に目線を誘導する要因の一つになっています。
配色
ベースカラーは白(薄い桃色)、サブカラーは肌の色、アクセントカラーは目や爪の濃い赤色です。アクセントカラーが顔周辺に集まっており、目線が顔周りに集中します。画面内のほとんどの色が白に近い薄紫でまとまっており、統一感があります。
白がベースなので、アクセントカラー以外は彩度があまり高くありません。落ち着いた選色がrurudo先生特有の清楚な雰囲気を作っています。
ラフ
大ラフ
ここからは実際に模写をしていきます。大ラフの段階ではこんな感じ。
![](https://assets.st-note.com/img/1692439590801-h7nn2LTN2O.png?width=1200)
髪の毛の流れはざっくりとしか描いてませんが、体に関しては、比率を考えながら大体の位置を決めます。肩から腰までの長さは、頭3つ分。肩幅と腰幅は、頭の縦の長さと同じくらい。くびれの位置は、肩から腰の真ん中より少し下…
蝶も描いていきます。大きさを気にしながら、蝶の位置を決めます。
![](https://assets.st-note.com/img/1692439618253-rzCElyy8Ry.png?width=1200)
ラフ1
先ほどの大ラフを元に、ラフを描いていきます。大ラフがオブジェクトの位置決めだとすると、このラフは線画のラフです。
![](https://assets.st-note.com/img/1692439689265-gtebHX8FB0.png?width=1200)
オブジェクトとオブジェクトの位置の関係を考えながら、ラフを描きます。ラフを太い線で描くと、線画を描くときにラフ線のどの位置に主線を引けばいいか迷ってしまうため、ラフはなるべく細い線で描きます。
特に顔まわりは少しでも違うと大きく印象が変わるので、時間をかけて丁寧に描いていきます。
ラフ2
ラフがひと段落ついたところで、元絵と比較します。元絵を重ねて、どこがずれているのか確認します。
![](https://assets.st-note.com/img/1692439736818-HiziqZE9vN.png?width=1200)
みたところ、顔の大きさと体の大きさの比率が違っていたようです。体に比べて顔が小さく、腰回りのラフ線が元絵より大きく膨らんでいます。髪の毛の長さなども違いが目立ちます。
時間をかけた甲斐があったのか、顔に関しては8割ほど正確に描けていました。
この比較を元にして、歪みツールや選択ツールでざっくりラフを修正します。顔を拡大し、髪の毛の位置も直します。
![](https://assets.st-note.com/img/1692439767498-yzD0DPbmB7.png?width=1200)
修正後のラフを、もう一度元絵と重ねて比較します。おおよその位置は合っているようです。このラフをもとに、線画に入っていきます。
![](https://assets.st-note.com/img/1692439843763-a3vcNhL7n1.png?width=1200)
線画
顔
主線は、2~5pxとかなり細めのカブラペンで描きます。後から色トレスするので、主線の色は黒です。
顔レイヤーに描くのは、目・眉・鼻・口・頬・瞼です。今回の元絵には頬の斜線が入っていないので、エアブラシのチークのみ載せます。
まつ毛は線画の段階からはっきりと描きます。下まつ毛も忘れずに。
![](https://assets.st-note.com/img/1692439883290-FoQTxTuZTl.png?width=1200)
体
顔まわりや服も含めた体を描きます。耳の内部構造は塗りで表現するので、主線は引きません。
体の線画で苦労したのは腰回りでした。ただ元絵を見ながら描くのみだと、パンツのハートマークや紐部分が平面的に見えてしまいます。ラフをなぞるだけではなく腰回りの立体を意識することで、柄や紐を体の曲面に沿わせることができます。
![](https://assets.st-note.com/img/1692439982147-NC5T0khPrY.png?width=1200)
髪の毛
髪の毛はもっと細いペンを使います。特に前髪は、色が濃くて細い線で描かれているところが特徴です。
髪の毛は流れが大事なので、1本のストロークで主線を引きます。主線がV字に重なっているところは線を太くして影を落とします。
髪の毛の形や長さは元絵と見比べながら調整します。ラフの段階でざっくりとしか描いていなかったのが反省点です。
![](https://assets.st-note.com/img/1692440010401-T73muXspIB.png?width=1200)
その他
ヴェールや翼などを描きます。ヴェールの穴は塗りで表現するので、この段階では描きません。翼の部分は、左右のバランスを見ながら描けばよかったと後悔しています。
![](https://assets.st-note.com/img/1692440036303-KoLaTb814G.png?width=1200)
塗り
色分け
各パーツのベース色をレイヤーごとに塗り分けます。「塗り」フォルダでは、上から+・ベール・髪の毛・ベール下(肩部分のヴェール)・手袋とか・服・肌・羽・後ろ(背中側にあるヴェール)にレイヤー分けしています。
![](https://assets.st-note.com/img/1692440095749-Ft5UeohmdT.png)
極力真っ白は使わないようにしています。スポイトやカラーセットは使わず、元絵を見ながら自分で色を作ります(果たしてこれが正解の練習方なのかは不明)。
顔
顔の塗りは線画フォルダ内で完結させます。塗りに乗算等のブレンドは使いません。すべて自分で色を作って、普通のレイヤーで塗ります。
瞳孔は彩度の高い赤で塗ります。白い輪っかは、Gペンで描いた輪をぼかして作りました。瞳孔の上半分には影が落ちています。影色には若干青が入っているので、カラーサークルの青部分に寄せて明度を下げた色を使います。
髪の毛と目が重なっているところは、後でマスク処理をします。まつ毛部分はエアブラシでグラデーションをかけます。上まつ毛には線画の上から赤いハイライト(?)が乗っています。
眉は主線一本で表現されているわけではなく、きちんと形取られています。
口にはリップが淡く載っており、ハイライトもあります。
鼻にはハイライトと影が載っています。ハイライトは円錐形を意識して描きます。
![](https://assets.st-note.com/img/1692440139655-QdtF0wGieD.png?width=1200)
肌
先に顔から塗ります。塗りにはほっぺぽんぽんブラシを使います。眉や瞼の立体を意識しながら影を落とします。顔については全体にざっくりと影を落としたのち、ハイライトを塗ります。耳も形を考えて塗ります。
首は若干濃い色で影を落とします。モニターによって彩度が違って表示されるので、色を合わせるのに苦労しました。
お腹部分はフェチを全開にして描きます。立体を意識しながら、肌の柔らかさを表現します。
太ももや股のところには点画のようなハイライトが載っています。元絵ではおそらく加算発行等のブレンドがかかっていると思いますが、元絵の鮮やかさを再現しきれなかった点は反省です。
![](https://assets.st-note.com/img/1692440160213-GWlAwRfRZ3.png?width=1200)
髪の毛
髪の毛は硬いブラシを使って塗っていきます。ベース色は頭側が灰色、毛先が薄紫と、若干のグラデーションがかかっています。
肌塗りの時もそうでしたが、影色を作るのに苦労しました。頭の後ろの毛や左側の毛先など、反射光に青色が混ぜられています。頭には、ヴェールから落ちた影が複雑な模様を作っています。
影塗りでは結局ぼかし等は使わず、ほとんどGペンで塗りました。
![](https://assets.st-note.com/img/1692440189529-fT66F22oOB.png?width=1200)
服
衣装は、胸と手袋に分けました。胸の肋骨のようなパーツは、青い反射光が入っており、影とハイライトの境界がはっきりとわかるようになっています。パンツ紐の部分も同じく金属光沢のようになっています。
手袋には白線で模様が描かれています。シワは細いほっぺぽんぽんブラシで描きました。
![](https://assets.st-note.com/img/1692440212290-MfprP6zSQz.png?width=1200)
ヴェール
影をほっぺぽんぽんブラシで塗っていきます。マスクでヴェールの穴を削っていきます。その後に、穴の淵を主線でなぞります。元絵のこのレースの模様は、特殊ブラシ等で描かれたものかもしれません。
![](https://assets.st-note.com/img/1692440237874-ugg7DB9yqm.png?width=1200)
翼
翼は、骨格と翼膜にレイヤー分けします。骨格は薄青色の反射光が当たっており、影の淵が一段濃い色で塗られています。ベース色にクリッピングした1影レイヤーを作り、その1影レイヤーを範囲選択したマスクレイヤーを2影レイヤーとして作ります。クリッピングだけでなくマスクも使うことで、1影レイヤーからはみ出すことなく2影を塗ることができます。
翼膜はベース色に若干のグラデーションがかかっています。翼膜の模様は公開されているパターン素材を拝借しました。元絵と同じ素材を見つけられなかったのが残念です。
![](https://assets.st-note.com/img/1692440271825-VJ09WfGHQ2.png?width=1200)
BG
背景は公開素材の砂嵐を使います。左上にオーバーレイで光の筋を描き、下半分にかけて暗くなるようグラデーションをかけます。
![](https://assets.st-note.com/img/1692440739762-ThNGkrBOGW.png?width=1200)
その他
手元の真珠や黒リボンを描きます。手首の真珠はビーズのブラシを使いました。おそらく元絵のリボンは何らかのブラシを使用していると思われますが、同じブラシを見つけられなかったため、ブラシを使わず描きました。まずリボンの縁を、筆圧無効にした細いGペンで描きます。次にリボンの内部をマスクし、BGで使用した砂嵐の輝度を透明化したもので埋めます。最後に、リボンが重なっているところや曲がっているところを乗算で暗くして完成です。
頭上の蝶も、砂嵐の素材を使用しました。
![](https://assets.st-note.com/img/1692440782285-Fb01oRnTj6.png?width=1200)
仕上げ
色トレス
線画を馴染ませます。肌については、肌同士が重なって作られている線を薄めの赤色で、輪郭を形成している線を濃い目の赤色で塗ります。
服に関しては、比較的薄めの水色で塗り、影になるところ、ならないところのメリハリをつけて表現します。
髪の毛は、頭側にはあまり塗らず、毛先を薄めに塗ります。線画が見えなくなる程度の色で塗ります。
頭上の蝶も、線画がほとんど見えなくなるまで塗ります。
![](https://assets.st-note.com/img/1692440821887-9v6aarvc7k.png?width=1200)
比較・改善
以下、模写をしてみて気づいたことや今後の改善点を挙げていきます。
立体感
フードや頭、お腹あたりの立体感が元絵より感じられません。まだまだ「元絵の線だけを追っている」状態です。線じゃなく立体を意識して描くよう改善する必要があります。
ラフの段階でグリット線を引いておくと、より立体感がつかめるのではないかと思いました。今後はグリット線も引くようにします。
色
乗算を使わず全て自分で色を作ったため、どんな色を使えば良いのかかなり悩みました。何回も色調を調整しつつ色を合わせていきましたが、結局どの色が正解だったのか最後までわかりません。今回は元絵が紙媒体だったというのもあり、YMCKとRGBで色に差があったのかもしれません。自分の感覚としては、紙媒体で見た色より、液晶画面で見た色の方が若干鮮やかで薄いように感じました。
影色やハイライトの色を自分で作るのは、良い色の訓練になると思います。今後も乗算レイヤーは使わない方向で行こうと思います。
髪の毛
ラフの段階で、髪の毛の流れだけでなく、より細かい位置まで決めておくべきでした。先ほども記述しましたが、元絵の線だけを追ってしまっているので、左右のバランスにまで気が配れなかったように思います。
特に髪の毛などのよく動くオブジェクトを描くときは、勢いに任せてサラサラっと描いてしまう癖があります。動きがある描写も、勢いに任せず冷静になって、構造を考えながら論理的に描くよう気をつけます。
細部
元絵を丸々コピーするつもりで描いたはずなのに、顔周りの髪の毛の長さや手首のリボン、その他細かいところの位置がずれています。原因は2つで、1つ目はオブジェクト同士の比率や位置を正確に把握しきれていなかった、2つ目は途中で絵を描くのに疲れて、妥協してしまったからです。1つ目については散々記述した通り、元絵の線だけをなぞらない。2つ目に関しては、もっと絵の体力をつけることで改善されると思います。
なるべく机に向かう時間を伸ばす。もし集中が途切れそうなら、早く完成させることよりもクオリティを上げる方を優先し、一旦休憩を取る(これに関しては、実際スピードとクオリティのどちらを優先させるべきか、自分でもわかりません)。今回の模写にかかった時間は、約3日*10時間でした。早寝早起きも心がけており、自分の中ではかなりの健康的な生活を送れていたので、集中も比較的長く続きました。今後も生活リズムを崩さないよう心がけます。
以上です。最後まで読んでいただきありがとうございます。
犬吠埼いつき
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?