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栞を挟むみたいに画鋲を刺す


ヴィレッジヴァンガードというお店がある。
通称ヴィレヴァン、「遊べる本屋」とも言う。

地元の商業施設の2階、
婦人服や靴のワゴンセールの近くにあった
薄暗くて変な匂いがするお店。

中学生のときに友達に誕生日プレゼントを買った
場所で、高校生になってもたまにふらっと立ち寄ることもあった。


いわゆるサブカルチャーのものがたくさん置いてあったり、パチモン(だとおもっていたけどそうじゃない気もする)のブランド物があって、
奥へ進めば、ずらっと本が陳列されている。
小柄なともだちと同じくらいのさめのぬいぐるみを背負って遊んだり、地元の本屋さんには置いていなかったモモコグミカンパニーさんの『目を合わせるということ』を買ったり、わたしにとっては「遊べる本屋」の名に恥じぬお店であった。


ダウ90000「パンダを見るには早い方」というコントを見た。


「どっちか選んで。どっちかにさっき渡せなかった一円玉入ってる。入ってる方選んだらそのまま渡すけど、入ってなかったら渡さないから。横でずっと金の蔵の話して。」


「これからラーメン食べに行って、その後区役所行きませんか?」と同じくらい衝撃を受けて、
心臓がぎゅっとなった。

恋人という関係性は何かの拍子にあっけなく崩れるもので、終わってしまえば過去になりうる。
その点、片思いは何か明確な終わりもない、
感情だけがぼんやりと宙に浮いている感じがする。


思い出と感情を繋ぎ止めて、
一緒に映画を観るような生活に宿る、
太陽系で最も美しい恋。



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