だけどわたしはカレーが好きだ

 18歳の時のことだったか19歳の事だったかは忘れたけれど、人間とご飯を食べに行くとことになりわたしは料理屋を考えていた。そして軽い気持ちで「カレーはどう? インドカレーなら何人かいたらシェアできるし楽しいよ」と言った。そこで帰ってきた答えにわたしはひっくり返ることになる、曰く、「私カレー嫌いだから別のお店がいいなあ」

 わたしはものすごくびっくりした。お恥ずかしいことにその時までカレーがきらいな人間がこの世に居るということを理解していなかったのだ。だって考えてみてほしい、例えばキャンプだとか林間学校だとかそういった大人数で料理をするようなシチュエーションで決まって出てくるものといえばカレーである。学校の給食でも人気メニューだったと思う。他に好きな食べ物がいくつかあってカレーの優先順位が低いという人ももちろんいるだろうが、「嫌い」という人には私はその年齢まで会ったことがなかったのだ。今思うとたまたまだったのだな、と思うがとにかくそのときはものすごくびっくりしてそんなことがあるのかと大いに戸惑い、かわりに何を食べに行ったのかはまるで覚えてない。

 そうしてわたしはこの世にはカレーが嫌いな人間もいるということを知り、その後の人生の中でも何人かのカレー嫌いたちに出会ってきた。意識をしてみると割とカレーは嫌いな人間というのはいて、私は自分が住んでいた世界の狭さを知ったような気持ちになった。

 この一件をわたしはこの世にはカレーが嫌いな奴もいる案件略してKCK案件と呼んでいて、すぐみんなカレー好きでしょうというような気持ちを浮かべてしまうときの教訓として生きている。類似語としては「あなたはわたしではない」くらいが近い言葉だ。しかしわたしはカレーが好きな方の人間なのだ。あなたがカレーを好きな人か嫌いな人か分からないが、わたしはカレーが好きなのでちょっと私のカレーと外食の話に付き合ってほしいと思う。カレーブロガーとかじゃないから他の食べ物の話もします。

 食べ物だ。食べ物を食べるのがすきだ。昔から口は卑しいと親が笑うくらいには好きで、まあ節操なく食べる。やたらご飯を美味しそうにたべると言うことにも定評がある。好き嫌いも重大なアレルギーも、そこまではない。(好んで食べないくらいのものは在る)というかんじです。美味しいものもすきなのですが、コンビニのご飯も好きで、コンビニのご飯はソイレントグリーンの味がすると思っています。

 ソイレントグリーンというのは昔のSF小説(映画にもなった)にでてくるものでして、食物が不足した世界で貧乏人が食べている配給食です。じつは原料は●●で、これはまあググったらすぐ出てくるのですが、最近アメリカのベンチャー企業がこれと同じソイレントという栄養の計算された流動食を売り出していて、なかなかいいセンスの名前をつけるなあと思っています。

 彼らはべつに皆がいつでもそれを食べればいいと思っているわけではないようで、たとえば週末のご飯もちよりパーティとかはパーティですればいいじゃないのと、昔読んだ記事では言っていました。家で食べる普段の食事、仕事が忙しいときに適当に食べるインスタントラーメンをソイレントに置き換えると栄養的によりよいですよ、という話になるほどなあと思いました。たしかにそういう食事はある。

 2016年です。日本の大体の場所にコンビニやファミレスがあって、企業努力というものはすごく全国どこでもよくできたハンバーグやパンをすぐ買える。野菜やお肉を買ってきて料理をするのと、手間とお金といろいろ考えたらあんまり変わらない値段のような気がします。キャベツ半玉だって一人暮らしには多いからチンしてジップロックにつめて冷凍します。ソイレントが安く日本で買えるなら興味もあります。美味しいものはすきだけど、毎日家でひとりでもさもさ食べるご飯は、正直そんなのでいいような気もする。食べたもので生きている、それはそう。じゃあ、なにを食べているのか? そのたべものは、なんですか? 秋田県産あきたこまち、奈良のきゅうり、オージービーフ、タイで出来たカレーの缶詰。実家から貰った瓶詰めのアンチョビ、ともだちの家の畑で取れたジャガイモ。おなかが減って食べた。なにか食べようと思って食べた。夕食の時間だった。生きていくために?

 まあそんなことを考えながらきょうもごはんを食べました。

 あしたも食べると思います。

 下記はおまけと言うか、ものすごくかんたんにすぐ出来る酒のアテ「嘘からあげ」の作り方手引きです。

(属人性が高いので適宜やってつくってください。分量とかは書いてないです)

から揚げが食べたいけど揚げ物なんか一人暮らしでやるわけない。そんな人間がお送りする嘘からあげです。

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