HALF THE WORLD AWAY~世界一周”ブッダガヤ、バラナシ”の話~

ブッダガヤに着いた私はうろたえていた。完全に周りにびびっていた。しかし観光しなければいけない。なにしろブッダが悟りを得た場所。仏教徒にとって最高の聖地。私は仏教徒というわけではないが、行ってみたかった。

コルカタと違い、街中に野良の牛が出現し始めた。これぞインド、待ってました。かかってこいインド!と思いながら、心の片隅で警戒。とりあえずマハーボディー寺院へ向かった。荷物やスマホを預け入場。そのため写真は撮っていない。その日は休日のためか、五体投地をしている人で埋め尽くされていた。祈りの熱気が伝わってくる。例の菩提樹の木へ行ったり、列に並び本殿の中に入り金色の仏像を見たりした。このような宗教色強い地には惹かれるものがある。

ブッダガヤには他に各国の寺院があり、特に馬鹿でかい大仏が目を引く。まるで鎌倉や東大寺の大仏のようで、日本にいる感覚になった。見に来ているのはインドや他の国々の人々。観光写真を撮っていてどこも変わらないなと思った。世界的に有名なためか、ブッダガヤには洋風のカフェがあったりする。そしてチベット仏教徒にとっても重要な地のため、チベット料理屋があったりと案外食を楽しめた。

次の目的地はバラナシ。勝手がわからず用心深くなっていた私は、旅行代理店で列車のチケットを買った。というか地球の歩き方に載っている鉄道予約センターが無かったのだ。近くにそれっぽい建物があったがそれも完全に潰れているように見えた。地球の歩き方を持っていれば万全というわけではない。その場その場で臨機応変に対応しなければならない。正直言うと、疲れ果てていた私は地球の歩き方を恨んだ。

ガヤ乗り換えの列車だったのでガヤで一旦降り食事をとって散歩した後、バラナシ行きの列車に乗り換えた。ガヤでの食事は非常に簡素な物だった。米に2種類のカレーー、生野菜にジャガイモのカレー風味?庶民の日常食といった感じ。初めて米を手で食べた。

乗った列車はプリーからニューデリー行きだった。3段寝台、SLのクラスだった。A/C(すなわちクーラー)無しの扇風機のみがある。例のコルカタ連中との道中の列車で鍛えられたせいで、なんとも思わなかった。一番上の段だったので快適とさえ思った。乗るなら誰にも邪魔されず盗まれる心配の少ない一番上がいいとその時気付いた。

バラナシには夜着いた。街中に入ると道が狭くなってきて人がたくさんいる。明かりもたくさんある。目星をつけていた某日本人が経営しているゲストハウスへ行った。とても感じのいい女性が出迎えてくれた。いい旅の予感がした。

翌日外出する際に、オーナーに周辺のおすすめスポットを教えてもらったり、同室のお客さんに話を聞いたりした。いつか行きたいと思っていたガンジス川。ついにその時が来た。広い川幅に並んだボート。カラフルな服をまとった肌の濃い人々。晴れ間に差す心地よい太陽の光。探検の始まりだ。

今まで以上に路上に牛が出現してきた。おすすめのラッシーやタンドリーチキンを食べ歩いた。今時のカフェでコーヒーを飲みフルーツサラダも食べた。心も体も休ませるチャンスだった。ガートの沿って歩いて宿へ戻った。寝そべる犬。まるで死んでいるかのように横たわっている。寝相も奇想天外な姿になっていた。穏やかすぎた。

夜に毎日行われているプージャーという大々的な儀式を見た。見た目も美しいし、大規模で圧倒された。これが毎日行われているなんて。ガンガーの朝日を見たり、ヴィシュワナート寺院やマニカルニカー・ガート、ドュルガー寺院を見た。宿に泊まっている他のお客さんも様々な人がいて、何回も来ている旅好きなおじさん、卒業前に旅をしている大学生、とりあえず行動力が半端ない。いろいろ話を聞けた。

バラナシで好きだったのが黄金寺院。本物のヒンドゥー教徒しか入れない雰囲気を醸し出している寺院だ。実際そうだ。入り口からしてどこから入ればいいのか分かりづらい。写真はもちろん禁止。新しいほうのヴィシュワナート寺院も今時の公園の雰囲気でのんびりするのにいい。バラナシでの数日はとても充実していた。これも宿のオーナーと同時期に泊まっていたゲストのおかげだった。ちなみにバラナシで沐浴はしていない。詳しく言うと膝下までは入った。さすがに全身沐浴する勇気は無かった。噂を聞いても体調を崩している人のほうが多い気がした。しかし、どこかで全身沐浴をする予定でいた。バラナシのような茶色く濁った泥水ではなく、清く澄んだ美しき青きガンガーを求めていた。


次回、カジュラーホーへ。


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