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インテル・ミラノの監督について

はじめまして。こんにちは。

ご存知の方が多いと思いますが、1ヶ月ほど前から継続して新監督招聘の可能性が報道されてきました。アントニオ・コンテ(Antonio Conte)監督です。かなり可能性は高いです。ほぼ確定とも思っています。どちらにせよシーズン終了後に動きがあると思うのでその前に思っていることを、という感じです。断っておきますが、真新しいことも深いことも述べてないし単なる個人の思いです。ご了承下さい。
補足:一応、普段インテルやセリエAを見ていない人にも伝わるように心がけました。その分だらだらしたものになりました(言い訳)。

前置き;チームの現在

今の順位等のおさらいなので知ってる方は読み飛ばしてもらって構いません。笑
今季インテルは最終節を残して4位に位置しています。上位6クラブの現在の順位表です。

ちなみにこちらが30節終了時点での順位でした。

手短に言うとこの1ヶ月半でしっかり4位争いの波に飲まれていったんですね。31〜37節の成績は2勝1敗4分でした。来季のCL権獲得は最終節の結果まで持ち越しということになりました(去年もそうでした)。一応擁護しておくとこの間には上位との対戦が多く、7試合の中にアタランタ、ユベントス、ローマ、ナポリとの対戦が含まれました。1敗3分でした。CL権をかけた残りのイスは2つで、現在3〜6位の4クラブに可能性があります。インテルは最終節で勝てば自動的にCL権獲得となります。ここでは細かくは言及しませんが負けたら引き分けたりすれば他クラブの結果次第ということになります。
参考:その勝ち抜け条件は下記ニュースサイトに詳しく載っています。

最終節の相手はエンポリです。なーんだ上位じゃないやんヨカッタネ!…と言えれば良かったのですが、エンポリはエンポリで残留争い真っ只中で、最終節勝てば残留が決定します。モチベ5000兆%同士の戦いです。しかも直近を3連勝しており、残留する気満々です。非常に厄介です。本当に厄介です。

前置き2;ファンによる現監督の評価

現在のインテルの監督はルチアーノ・スパレッティ(Luciano Spalletti)です。2017年夏に就任し、今季は2年目となります。

眩しいですね☆


現地での評価は詳しく知らないのでさておき、日本のインテルファンの間では今季終了後における解任派と続投派でかなり分かれていました。あくまで個人的感覚ですが、前節終えるまではほぼ半々、前節ナポリ相手に大敗してからは7:3ぐらいで解任派が多い感じ。
確かに今季のインテルは開幕前の期待値からすると平均より下の評価になります。ナインゴラン(Radja Nainggolan)、デ・フライ(Stefan de Vrij)、ヴルサリコ(Šime Vrsaljko)をはじめ主力となる選手を獲った割には、成績を見るとCLの組み分けが不運だったことを差し引いてもイマイチです。そこが解任派の一番の理由でしょう。個人的にはELフランクフルト戦1stレグをドローで終えた後の会見で、ドローで満足している的なことを言ったのはいただけなかった。相手へのリスペクトとかは一旦置いといて、おいおい仮にもインテルの監督がフランクフルト相手に勝てなくて満足なのかよ、ということです。
解任派の他の理由として、以下が挙げられると思います。

・結局去年と同じで最終節までCL権が決まらず、進歩がない
・試合を見ても面白みがない
・交代策の意図がよくわからない
・そもそも選手起用の意図から不明
・タイトルを獲得するには不十分
・チームとしてこれ以上の成長が望めない
・スパレッティのサッカーがもう無理(?)

これらの意見はよくわかります。そこまで言わんでも、と思うのもありますが納得できる部分もたくさんあります。実際試合を見ていてもどかしく感じることが非常に多いからです。
では私も解任すべきだと思っているのか、というとそういうわけでもありません。じゃあどっちやねん、となりますが私自身非常に迷っております。正直なところは「6:4くらいで続投していいんじゃないか、但し来季も同じならそこまで」という意見です。まあ私がいくら迷ったところで監督人事には1ミリも響かないんですけどね。

(ようやく)本題;私が解任派に傾ききれない訳

チームとしてこれ以上成長が見込めない、と言ってしまえば元も子もない気がしますが、それでも「どちらかというと続投」とする理由を以下に挙げていこうと思います。

①3冠以降の監督を振り返ると
モウリーニョ(José Mourinho)監督のもと、インテルがリーグ、カップ、CLの三冠を成し遂げたのは2009-10シーズンでした。以下はその後の監督とリーグ戦順位です。

ジョゼ・モウリーニョ 2008-2010
ラファエル・ベニテス 2010
レオナルド 2011.1-2011.6
ジャン・ピエロ・ガスペリーニ 2011.7-2011.9
クラウディオ・ラニエリ 2011.9-2012.3
アンドレア・ストラマッチョーニ 2012.3-2013
ワルテル・マッツァーリ 2013.5-2014.11
ロベルト・マンチーニ 2014.11-2016.8
フランク・デ・ブール 2016.8-2016.11
ステファノ・ピオリ 2016.11-2017.5
ステファノ・ヴェッキ 2017.5-2017.6
ルチアーノ・スパレッティ 2017.6-
2009-10 優勝
2010-11 2位
2011-12 6位
2012-13 9位
2013-14 5位
2014-15 8位
2015-16 4位
2016-17 7位
2017-18 4位

10季分にしてはまあ監督の多いことです。三冠以降、酷いシーズンを送ってきました。その要因は多々あるのですが、私は監督人事の不安定さが間違いなく主因の一つだったと考えています。イタリアらしく目先の結果で一喜一憂した結果、戦術は浸透せず、モチベーションにも影響が出て結果が出ずコロコロと監督を交代する悪循環で実りのないスクラップ&ビルドを繰り返してきました。この間、同じ監督で2年以上続いたのはマンチーニ(Roberto Mancini)監督だけです。2016-17なんて酷いもんですよまったく。。。
翻ってスパレッティ監督です。4位までCLに出られるようになったことなどもありますが、就任一年目で(なんとか)4位に入り7シーズンぶりのCL権を獲得したことはもっと評価されるべきです。しかも大した大型補強もしていないのに、です。そして強調したいのは、ここからインテルが目指すのは、まず継続してCLに出られる安定性を確実なものにすることではないのかということと、たとえコンテであろうとここで監督を変えることは少なからずリスクになりうるということです。そしてそのリスクは今必要なのかということです。来季もスパレッティなら最低限CL権は獲ってくれると(勝手に)思っています。一方でそれ以上を望むのは難しいという意見もわかります。コンテであれば来季スクデットも夢ではないかもしれません。それくらいの高い期待値が彼にはあります。ただここで監督を変更することによって来季CL権を逃す可能性もあり、その可能性は監督を変えない場合よりは大きいと思うのです。どっちに転ぶかなんて誰にもわからないのです。この両者を天秤にかけたときに、今のインテルには安定性の基礎を築いてほしいという点で、"転び方がある程度わかる"前者をとるべきなのではないのかな、というのが私の考えです。要するに、「再び2年前までの暗黒期に戻るのだけは勘弁してくれ」という不安が自分の中にあるのです。ここでコンテが失敗すればまた"監督ガチャ"に逆戻りすることすら考えられます。

②そもそも…
上で述べたことが私の言いたいことの大体なのですが、そもそも論としてインテルがこれより上を目指すには陣容が不十分すぎると思っています。確かに数年前の小粒さと比べたらかなり人材は揃いました(あの頃の小粒さたるや!)。それでも不足しています。これは誰が監督であったとしてもそうで、特にコンテなら実際に今のスカッドを指揮すれば文句たらたらだと思います。全体的に戦力の底上げが必要です。となるとかなりの選手を入れ替えることになります。そこに監督も変われば大幅にチームを変えることになります。繰り返しますが今はそれをする時ではないと思っています。今夏の選手補強は必須としても全員を変えるわけではないのです。監督を変えるのは、そのスカッドの練度(≒安定性)をスパレッティのもとでもっと高めてからの方が良いと考えます。ここで選手も大幅に変更、監督も変える、というのは少し順序を飛ばしすぎな気がするんですね。それをして化けるのはチームとしての強さ(漠然としていてすみません)を構築できているクラブだと思っていて、そしてそれに耐えうるだけの強さが今のインテルにはまだ無いと思っているということです。

③今季のインテルもピッチ外で
解任派の理由の1つに、「今季この順位にいられるのは他クラブが取りこぼしてくれたおかげだ」というのがあります。確かにそうです。金曜日にインテルだけ試合をして負けて次の日他のクラブが試合をしたらユベントス以外軒並み勝点を落としてて拍子抜けした、なんてこともありました。とにかくミラン、ローマ、ラツィオに勝ちきれない試合が多く、かなり助けられたシーズンでした。ではインテルが勝点を落とした理由はピッチ内にしかないのでしょうか。まず夏の移籍市場で、スカッドを確実に底上げできる大物の加入を逃しました。また年間を通して主力に怪我人が出ました。スパレッティの一番の誤算は「勝手知ったる」間柄といえるナインゴランが細かい怪我離脱を繰り返して継続的にプレーしきれなかったことだと思います。元々調子の波が少ない選手なので本当はシーズンを通してフル稼働してもらうことを前提の上でラフィーニャ(Rafinha)を買い取らずナインゴランに「賭けた」のでしょう。ヴルサリコも結局はシーズンの大半を怪我で離脱していますし、なかなかメンバーが揃いませんでした。加えて冬にはペリシッチが移籍志願をしたとかで騒ぎになり、挙げ句の果てにはシーズン途中でキャプテンが強制的に交代するというドタバタぶりでした。このイカルディ(Mauro Icardi)のキャプテン剥奪の原因も"銭闘"騒ぎだったのでタチが悪く、よくこれでロッカールーム内がまともに保たれたな、というレベルのものでした。剥奪から1ヶ月以上、チームはイカルディがメンバー登録外のまま試合をすることになりました。また来季以降は通用しない言い訳ですが、CLのような大きなコンペティションをほとんど未経験の選手で臨んだことによるチーム全体の疲れもあったでしょう。
他チームの取りこぼしに言及されがちですがインテルにも取りこぼす要因はピッチ外において多分にあり、それを考慮すればこの勝点はまあ妥当だと思います。これらピッチ外のトラブルの原因もスパレッティにあるのでしょうか。主力が離脱したならしたで最適な代替策を実行するのが一流の監督だと言われたらそれまでですが。余談ですが2月のヴィオラ戦での誤審が無ければすでにインテルのCL権は決まっていますし。
参考:誤審というのはPA内でダンブロージオ(Danilo D'Ambrosio)の胸に当たったボールがハンドの判定を受け、引き分けに終わった件(下画像)

④選手の起用と戦術面について
ここに関してはかなりスパレッティ擁護目線で書いています。
まず選手起用と交代策について。ここでは「1)ペリシッチ(Ivan Perišić)の使いすぎ」「2)ケイタ・バルデ(Keita Baldé)の起用法」「3)システム4231におけるブロゾビッチ(Marcelo Brozović)の相方」の3つに絞ってみます。

1)今季のペリシッチはどうにも歯切れが悪かったです。最初のうちはW杯の疲れだろう、で片付けていたのですがそれがいつまでたっても続き、そろそろ調子良くなるかな、と思っているうちに今に至ってしまいました。その理由の一つはモチベーションにあると思っています。冬に移籍志願騒ぎがあったことからも、インテルでの生活がマンネリ化しているように感じます。それでも左サイドにおいて現状彼以上のクオリティを別の選手に期待することも無理があります。なんだかんだで今季も8ゴール挙げていますし、要所で一段上のクオリティを見せてくれていたと思っています。しかし確かにペリシッチにこだわり過ぎている面は否めません。もう少し柔軟なスタメン選考にして良いと考えています。

2)ケイタに関してはスパレッティ自身、チームの中で、そして自分の戦術の中でどうすれば最適に活かせるかを探りながらの起用が続いていた印象です。怪我で離脱していたこともあって残念ながら彼を活かしきれたとは到底言えないのですが、今季彼が起用されたポジションはどれも前所属のモナコで起用されていたポジションでもあり、特に違和感のある起用はされていません。

3)ブロゾビッチの相方ですが、厳しく言えば、さらに上を目指すにはベシーノ(Matías Vecino)でもガリアルディーニ(Roberto Gagliardini)でもまったくもって不十分です。むしろ皮肉なことに、シーズン開始当初はバックアッパー扱いだったボルハ・バレロ(Borja Valero)の方が、相手が強い時ほどベテランらしい落ち着きを与えてくれてよっぽど力になっていました。バレロは一列前でナインゴランの代役も果たしていました。現状このポジションはスパレッティが誰を選択してもどこかから文句の出るクオリティの選手層と言わざるを得ません。

次に試合中の戦術について。詳しいことはとても言えないのですが、昨季から今季にかけて(私でもわかるほどの)明確な戦術のアップデートがありました。これはCLで戦うことを念頭に置いたものであり、その選択は悪くなかったと思います。おそらく似たタイプであるポリターノ(Politano)やケイタを獲ったのもその戦術を軌道に乗せるためです。ただ見ている限りスパレッティの戦術が各選手に浸透しているとは言い難いです。とりわけ攻撃面でプレー原則が確立しきっていない、あるいは個々の選手で理解にバラつきがある、と言えるでしょう。格下の相手にはポゼッションを高めていい形の攻撃もできますが実力ある相手によってはプレッシャーをかけられると自陣ですらミスが多発してビルドアップがおぼつかなくなってしまっているのが現状です。
また、これは監督業の宿命かもしれませんがスパレッティの場合特に、的確な交代や良い試合をした時の評価がなされていないと感じます。良かった時はスルーされて悪かった時には批判されるということです。一つ一つ例を挙げたらキリがないのですが例えば昨季の最終節、勝利が絶対条件の中、中盤で試合を優位に進められたのはスパレッティが相手の弱点を突くことに成功したからです。監督を評価する際は悪かったことに焦点を当てがちですが(どうしても目立つので仕方ない面はあります)、良かったところも加味するべきです。

ことあるごとにスパレッティは無策無能と言う人がいます。私に言わせればどう考えてもその逆です。当たり前ですがモチベーター型より戦術型寄りの監督が戦術を考えていない訳がないのです。交代一つにしても何らかの意図があるんだろうなと思って私は見ています。とりあえずは。

⑤最後に
ここまで書いて随分スパレッティ擁護になってしまったと思っていますが、現在のインテルの試合内容にはうんざりすることが多く、ストレスが溜まることも多いです。また、仮にコンテが来たら私自身ワクワクするし期待するであろうということは否定しません。実績は申し分ないですし、モチベーターとしてハマった時のチームの爆発力は凄まじいものがあります。それでもせめてもう1シーズンはスパレッティのチーム作りを見たいし、見るべきだと思うのです。だってまだ就任して2年も経ってないんですよ?就任1年でCLの舞台に戻してくれた監督が2011年以降いたでしょうか。始めに与えられたスカッドがそこまで強くなかった分、監督にはもう少し継続性を持たせても良いのではないか、というのが私の主な意見です。

何にせよ最終節の結果でCL権を逃せばこの擁護も無意味です。その結果次第で色々変わるのですが(と言いながらその結果を待たずして色々変わりそうですが)それまではコンテがどうこう言うのはできるだけ避けたいと思っています。スパレッティ監督への最低限のリスペクトは欠きたくないので。


追記:これを書き終えた後に「スカイ・スポーツ」よりコンテのインテル監督就任が間近と報じられました。ということでここまで書いたのもあまり意味がなさそうです。じゃあなんで載せるかって?書いたのがもったいないからに決まってるやろ!!!!!

ユーベ関連で最も信頼できるらしいジャーナリストさん(とスカイ・スポーツ等の記者さん)による昨晩のツイート。どうやら3年契約でほぼ確定みたいです。

年俸は約12億円らしいです。2年前にアッレグリ(Allegri)監督がユーベで契約延長したときは約8億円でした。高いよねー、高い高いっ。


まとまりのない冗長なものになったと自覚しています。コメントでもTwitterでも感想とか頂けると嬉しいです。ありがとうございました。

以上

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