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セリエ界隈のカタカナ用語辞典

はじめまして。こんにちは。

今回は、イタリアのセリエAに何となく興味を持ち始めてる方や、ほとんど興味を持っていない方、冨安だけは気になってるような方向けです。

セリエAでは8月末に移籍市場が閉まり、シーズンは既に始まっていますが、ここから本格的にリーグ戦が幕を開けます。さらに、今季からは冨安健洋がボローニャFCでプレーしています。皆さん、セリエAを見始めるなら代表ウィーク明けの今です。いいですか皆さん、

いつ見るの?

今でs(


ちなみに冨安について肝心のセリエファンはどう思っているのかというと↓


というわけで、普段セリエAを中心に見ている人が使う、イタリア語由来のカタカナ語について少し紹介したいと思います。
何順で並べようか迷ったのですが、カタカナ表記にした時のアイウエオ順にすることにしました。その分、関連性の強い語が離れ離れになりましたが、大目に見てやって下さい。
中には英語に似たような綴り(や発音)の語もたくさんあります。そういったものを関連づけてみると親近感が湧いてくるかもしれません。なお、誤り等あればご指摘下さい。

誰でも知ってそうなものから、これらを使えばセリエ通に見えること間違いなし、あるいは使わなくても意味がわかってるいるだけでセリエについて知るのがもっと楽しくなる、というようなものを集めたつもりです。


アズーリ(Azzuri)

イタリア語で「薄い青」「水色」を意味する男性名詞の複数形です。単数形はazzuro(アズーロ)です。サッカー関連で用いる時は男子イタリア代表のことを指し、一文字目を大文字にします。愛称みたいなもんです。
女性名詞になると、女子イタリア代表のことを指します。単数形:azzura、複数形:azzure。

用例:新生アズーリの戦いが楽しみだ。

アリアンツ(Allianz)

これは別にイタリア語ではないのですが、ユヴェントスファンが用いるとユーヴェの専用ホームスタジアム「ユヴェントス・スタジアム」を指します。ドイツの保険会社アリアンツが2017年にネーミングライツを取得したため、こう呼ばれるようになりました。ただ、UEFA主催の大会ではこれまで通りユヴェントス・スタジアムの名前を使うそうです。キャパは4万人程度で特別多いわけではないですが、その分いつも満員です。

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アリアンツというと、バイエルン・ミュンヘンのホームである「アリアンツ・アレーナ(Allianz Arena)」を指すことの方が多いかもしれません。

アルテミオ・フランキ(Artemio Franchi)

フィオレンティーナのホームスタジアムの名前です。基本的に使う場面はないでしょうが、見かけることはあると思ったので入れてみました。

設計したのはイタリアの著名な建築家で、スタディオ・オリンピコ(ローマ/ラツィオのホーム)も同じ設計者によるとのことです。周りが比較的ひらけていることもあり、非常に解放感のあるスタジアムです。

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(画像:Lucas Laermans)

オリンピコ(Olimpico)

スタジアム名が連続します。前述の通り、ローマあるいはラツィオのホームスタジアムを指します。正式名称は「スタディオ・オリンピコ・ディ・ローマ(Stadio Olimpico di Roma)」。

元々は1960年のローマオリンピックのために建設されたもので、所有者はイタリアオリンピック委員会となっています。

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カピターノ(capitano)

イタリア語で「主将」「隊長」「船長」といった意味です。英語ではcaptain(キャプテン)という単語がそのまま対応します。似てるし、まあそのまんまという感じです。
リーガファンの方が使う「カピタン」はそのスペイン語版です(Capitán)。ポルトガル語でも同様の発音です(Capitão)。

用例:ミランの偉大なカピターノであるマルディーニ

カルチョ(calcio)

イタリア語で「サッカー」を意味する名詞です。イタリアにおけるサッカーを指す場合に広く用いられています。元々は「蹴る」という意味の動詞 calciare が名詞化したものらしいです。だから本来の意味は「蹴ること」になるでしょうか。

イタリアのサッカーくじ「トトカルチョ」はcalcioと、賭け金の合計を指す単語totalizzatoreの合成語です。またSSCナポリやACミランのCはcalcioの頭文字ですし、イタリアのプロサッカーリーグ機構の通称を「レガ・カルチョ(Lega Calcio)」と呼びます。
また2006年にイタリアサッカー界を揺るがしたカルチョ・スキャンダルのことを「カルチョポリ」と言ったりしますが、これはcalcioと、「スキャンダル」を意味するtangentopoliの合成語です。

用例:バロテッリは昔も今もカルチョ界の宝だ。

カンピオナート(campionato)

直訳は「選手権」です。大抵はリーグ戦全体を指します。
用例:優勝争いはカンピオナート最終盤までもつれ込んだ。

クッキアイオ(cucchiaio)

イタリア語で「スプーン」の意味。サッカー用語ではチップキックでPKを決める例のやつを指します。一般的には「パネンカ(Panenka)」と呼びますが、イタリア語圏ではil cucchiaio(イル・クッキアイオ)と呼ぶのが普通らしいです。パネンカの由来は1976年のEURO決勝で当時のチェコスロバキア代表アントニーン・パネンカ選手がチップキックでPKを決めたことによります。ここ最近で大舞台でのパネンカを成功させた選手としては、EURO2000でのトッティ、2006W杯でのジダン、EURO2012でのピルロ等が有名ですが、多くのイタリア人にとってはトッティのに最も鮮烈な印象を受けたようです。筆者はピルロのクッキアイオをリアルタイムで観て、誇張抜きに痺れました。

日本でも、イタリアサッカーファンは(割と意図的に?)クッキアイオと呼ぶことが多いように思います。筆者は、響きがかっこいいという理由で使ってます。

クルヴァ(curva)

直訳はイタリア語で「曲線」「湾曲」を意味します。英語ではcurve(カーブ)に相当します。サッカー用語では本来「ゴール裏の応援席」を指します。陸上トラック付きのスタジアムの場合、ゴール裏がぐるっと湾曲していることに由来しているようです。そこに陣取って応援するサポーターはつまり熱狂的なファン(ウルトラス)であることから、そのファン自体を指すことも多いです。というかそっちの方が多いかも。

有名なものではサン・シーロにおいて、「北ゴール裏」を意味する「クルヴァ・ノルド(Curva Nord)」がインテルサポーターの応援する側、反対にミランサポーターがいる側は「南ゴール裏」を意味する「クルヴァ・スッド(Curva Sud)」という名前で呼ばれます。例えば、インテルのウルトラスグループ(の一つ)は自らの組織を L'Urlo della Nord と名乗っています。

ただこれはサン・シーロに限ったものではなく、例えばスタディオ・オリンピコにおいても、ラツィオのゴール裏を「クルヴァ・ノルド」と呼びますし、反対にローマサポーターの陣取る側は「クルヴァ・スッド」です。単にインテル(ミラン)のゴール裏サポーター自体を指してクルヴァ・ノルド(スッド)と呼ぶことが多いというだけのことです。文脈次第という感じ。回りくどくてすみません。
ちなみに英語のnordic(ノルディック)は「北の」「北欧の」を意味する語で、聞きなじみが多少はあるかと思います。英語のnorthも語源は同じでしょう。
使うときは単に「クルヴァ」で構わないと思います(いつ使うねんって話ですけど)。インテルやミランの場合はウルトラスとほぼ同義で使われています。なお、メインスタンド席のことは「トリブーナ(tribuna)」というそうです。

参考までに、ウディネーゼのホームスタジアムの案内図です。(画像:公式HP)

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コッパ・イタリア(Coppa Italia)

「イタリア杯」のことです。セリエAだけでなく下部リーグからも参加するカップ戦で、日本の天皇杯に相当するものです。TIMが公式スポンサーに付いているため、公式名は「TIMカップ」です。優勝すると次のシーズンのヨーロッパリーグ出場権が与えられます。昨季はラツィオが優勝しました。

ちなみに「コッパ」というのは英語でいうcupにあたり、「盃」を意味します。スペイン語ではcopaとなり、そこから「お酒」の意味にもなります。スペイン語で ir de copas と言うと「飲みに行く」の意味になります。国王杯(コパ・デル・レイ)のコパ。

ジャッロ(giallo)

イタリア語で単数の「黄色」を意味します。つまりサッカーにおいてはイエローカードを意味します。別にイエローと言って全く問題ないのですが、Twitterでもたまに見かけます。ベテランのセリエファンが用いてそう、という偏見を抱いております。
用例:またヴェッラッティにジャッロ。

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(画像:Getty Images)

ジュゼッペ・メアッツァ(Giuseppe Meazza)

普通は、ACミランとインテル・ミラノのホームスタジアムを指して用いられます。サン・シーロ(San Siro)と同じスタジアムを指します。正式名称はスタディオ・ジュゼッペ・メアッツァなのですが、向こうではサン・シーロの呼び名の方が一般的みたいです。競技場の公式サイトも近くの地下鉄の駅名もサン・シーロを用いています。なおサン・シーロとは元は近くの教会の名前で、現在はそのあたり一帯の地区を表しています。

日本では「インテル側がホームの時はジュゼッペ・メアッツァ、ミラン側がホームの時はサン・シーロと呼ぶ」という認識が割と浸透していますが(おそらく某サッカーゲームの影響)、向こうでは特にそのような拘りは無く、各々が好きに呼んでいるようです。

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外観が特徴的(画像:Getty Images)

ちなみにジュゼッペ・メアッツァというのは戦前、戦中にインテルで活躍し、その後ミランにも在籍した伝説的FWであり、今でもイタリア史上最高のストライカーとして認識されている選手です。1979年に亡くなった際、功績を称えてスタジアムにその名を冠することになりました。

スクデット(scudetto)

イタリア語で「小さな盾」を意味します。セリエAでリーグ優勝することを「スクデットを獲る」とも言います。優勝したクラブは次のシーズン、ユニフォームにイタリア国旗を模した盾型のエンブレムを縫い付けます。

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(画像:公式Twitter)

なお、アディダスロゴの上にある円形のマークはコッパ・イタリア優勝チームが次のシーズンに付ける紋章です。また、ユベントスロゴの上の星はリーグ優勝を10回するごとに1つ付けることができます。つまりユベントスは既に30回以上リーグ優勝しているということです。

セリエ(Serie)

イタリア語で「一続きの」「一連の」という意味です。英語のseries(シリーズ)に相当する語です。スポーツの世界では「階級」や「カテゴリー」を意味します。Aは一番上のカテゴリー、要するに1部リーグです(一部例外あり)。ブラジルのリーグ等でも使用されていますが、カタカナで「セリエ」と使ったときは大概イタリアのセリエAのことを指しています。なお、イタリアのセリエAを指す時はAを「アー」と発音するのが一般的です。

ティフォージ(tifosi)

ティフォシでもいいみたいです。イタリア語で「熱狂的なファン」を意味する名詞の複数形です。サッカーの世界に限らず用いるようです。男性単数ならティフォーゾ(tifoso)となります。広い意味でウルトラス(ultras)とほぼ同じ意味と考えていいと思います。
Wikipediaによると、元々の意味は「チフス病患者」を指す言葉でしたが、それが転じて、まるで伝染病に罹ったかのように一心不乱に熱狂的に贔屓のチームを応援する人を指すようになったらしいです。ちなみに「チフス」はイタリア語でtifoです。

デルビー(derby)

ダービーをイタリア語読みしただけ。セリエ好き感が出るので筆者も使います。ミラノデルビーとかイタリアデルビーとか。ちなみにイタリアダービーはユベントスとインテルの一戦を指します。ダービーマッチの概要については、Wikipediaが詳しいので割愛。

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ミラノダービーを毎回彩る、どでかいコレオグラフィー。画像は2017年のもの

ドッピエッタ(doppietta)

「1試合で同じ選手が2得点決めること」を意味します。イタリア語で「二重」とか「二倍」を意味するdoppio(ドッピオ)に由来します。英語のdouble(ダブル)に相当します。似てるっちゃ似てます。スペイン語ならdoble(ドブレ)です。リーガファンの方は1試合2得点のことを「ドブレーテ(doblete)」と言う方が多いと思います。意味はドッピエッタと同じです。でも響きはドッピエッタの方がかっこいいですよね。ということで皆さんこれからはドッピエッタと言いましょう(暴論)。日本でも1試合2得点を表す時はドッピエッタが最も浸透しているような気がします。まあこれは、英語で相当する語が見当たらない(浸透してない)ことによるのが大きいと思っています。

ドイツ語ではドッペルパック(doppelpack)、フランス語ではドゥーブレ(double)と言います。どれもこれも英語のダブル(double)の親戚です。

トリプレッタ(tripletta)

「1試合で同じ選手が3得点決めること」、つまりハットトリック(hat trick)のことです。3を意味する接頭辞tri_が付いているので知らなくても想像できるやつです。英語のtriple(トリプル)に相当するイタリア語triple(トリプレ)から来ています。ちなみに1試合4得点は(ほとんど使う機会がないのですが)、「ポーケル(poker)」といいます。数字の4を意味するクアトロ(Quattro)から来るものとして「クァテルナ(Quaterna)」も同じ意味です。

トレクァルティスタ(trequartista)

直訳は「4分の3の人」、サッカー用語としてはピッチを横に4分割した時の3つ目、つまり「中盤の、よりゴールに近い位置でプレーする選手」を指します。日本語ではトップ下、ウイイレ語ではOMFがこの語に対応しますが、日本人のイメージするトップ下よりはもっとゴールに直接絡むイメージ、らしいです。典型例としてトッティやカカーが挙げられることが多いです。ミッドフィールダー(イタリア語で「Centro Campista(チェントロカンピスタ)」)の中の1カテゴリーと捉えてよいかと思います。

イタリアにおけるポジション呼称については、以下の記事に詳しいです。

ポジションによって様々な呼称がありますが、この語はカタカナで用いる方もそこそこいるので今回載せることにしました。インサイドハーフを指す「Mezzala(メッザーラ)」も使っている人をたまに見かけます。

ネラッズーリ(Nerazzuri)

直訳は「黒と青」。黒を意味するneroと水色を意味するazzuroを組み合わせた語の複数形です(男性単数形はnerazzuro)。サッカー関連ではインテル・ミラノの愛称で用いられます。要するにホームユニフォームの色です。愛称として「ビショーネ(biscione)」を使う人もたまにいます。本来の意味は、かつてミラノを支配したヴィスコンティ家の紋章である、"人を飲み込む蛇"を指し、現在ではミラノ市のシンボルマークのようなものになっています。インテルのデザインによく蛇が出てくるのはこれです。昔のエンブレムにもデザインされていました。また、ユニフォームにも度々デザインされており、2010-11シーズンのアウェイユニフォームには左肩に大胆に描かれました。蛇というよりはドラゴンですが、筆者の最も好きなデザインの一つです。

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今季のチャンピオンズリーグ出場を決めた時に公式Twitterが用いた画像にも蛇が登場します。ビショーネです。

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バンディエーラ(bandiera)

バンディエラとも書きます。イタリア語で「旗手」「旗頭」を意味します。応援の横断幕のことを指す場合もありますが、稀です。現地での正確な定義を知らないのですが、日本で使う場合は「デビューから引退まで長期に渡って一つのクラブに在籍し続けた、シンボル的な選手」を指します。集団の先頭に立って旗を振っているイメージです。ワン・クラブ・マンとほぼ同じような意味と捉えて問題ないです(違いにこだわる方もいらっしゃいます)。イタリアではローマのトッティやミランのマルディーニ、インテルのベルゴミなんかがこれに該当します。日本では川崎の中村憲剛など。ただ、キャリアで2つ3つのクラブに所属していたとしても、その中の一つのクラブで非常に長い期間在籍していたりする場合もこの語が用いられます。
また、このような選手のことをアメリカではフランチャイズ・プレーヤーと呼び、NFLでは制度化されていたりします。ちなみに反対語(いろんなチームを渡り歩く選手)は英語で「ジャーニーマン」と呼ぶみたいです。

ビアンコネリ(Bianconeri)

直訳は「白と黒」。白を意味するbiancoと黒を意味するnerroを組み合わせた語の複数形です(単数形はbianconero)。サッカー関連ではユベントスの愛称です。要するにユニフォームの(以下略)

別呼称としては「老貴婦人」「シマウマ」などもあります。

フィーノ・アッラ・フィーネ(Fino Alla Fine)

イタリア語で「最後まで」の意味です。英語にすると"Till The End"となります。この言葉はユベントスのクラブモットーというかスローガン(のようなもの)として存在しています。選手もサポーターも最後の1秒まで勝利を目指して諦めない姿勢をこの言葉によって体現する、みたいな。ユベンティーノはもれなくこの言葉が大好きです。アルファベット表記やタグでよく見ます。カタカナ表記はあまり見ません。

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サポーターによるコレオグラフィー(奥)。よく見ると黄文字で"TILL THE END"が確認できます。なぜかわからないけど英語です。

フォルツァ(forza)

イタリア語で「頑張れ」の意味です。「フォルツァ 〇〇(応援するクラブ名)」と書くことで、自分はこのクラブを応援してるんだぜ、ということを表します。他にも、誰か選手を応援する時など色々と使われます。セリエに詳しくなった気分になれるのでおすすめです。Twitterでは、ハッシュタグでも非常によく使われています。#ForzaInter とか#ForzaJuve とか。

気になるチームがあったらとりあえず使ってみたらいいと思います。

プリマヴェーラ(Primavera)

直訳はイタリア語で「春」です。サッカー用語で使うときは「イタリアサッカークラブの育成部門(下部組織)の最上位」を表します。要するにトップチームの一つ下のカテゴリです。中でも特にセリエAとセリエBに所属するクラブに対して用いるみたいです。主に20歳以下、17〜18歳くらいで構成されており、トップチームで怪我人が出た時などに召集されても大丈夫なくらいの練習・準備をしています。

ちなみにprimaveraの語の意味は「第一の」を表す英単語primeからも予測できます。元々はラテン語です。プリマ・ドンナ(Prima donna)のプリマも同じ。
★参考:四季(le quattro stagioni)のイタリア語
春:primavera(プリマヴェーラ)
夏:estate(エスターテ)
秋:autunno(アウトゥンノ)
冬:inverno(インヴェルノ)

プロヴィンチャ(provincia)

プロヴィンチャーレ(provinciare)とも言いますが、日本語ではプロヴィンチャ(プロビンチャ)の方が定着していると思います。意味はざっくりと「中小クラブ」、もう少し丁寧にいうなら「イタリアの地方都市にある(比較的)規模の小さなクラブ」です。日本語では「いつも中位に甘んじている小さなクラブ」としての誤用が多いですが、別に順位は関係ありません。英語ではprovinceです(ただ英語では主に「(行政区画としての)州や省」の意味で用いられ、「地方」「田舎」の意味はそこまでメジャーじゃない印象です)。

セリエAではアタランタやウディネーゼ、ボローニャ、カリアリ、パレルモなどが典型的なプロヴィンチャとしてよく挙げられます。反対にミランやユベントス、ローマ、ジェノア、フィオレンティーナ といったクラブは大都市にあるのでプロヴィンチャには該当しません。いくらジェノアが中下位をさまよっていたとしても、です。ちなみにジェノアやサンプドリアの本拠地がある都市ジェノヴァは、古くはジェノヴァ共和国として栄え、現在はイタリア最大の貿易港を持つ都会です。
とはいえ、その都会と田舎の明確な線引きがあるのかどうかは、筆者もよくわかっていません。

ベルガモ(Bergamo)

イタリアのロンバルディア州(イタリアの北のほう)にある都市の名前ですが、セリエファンが使うときは大抵、この都市を本拠地とするアタランタ、あるいはアタランタのホームスタジアムを指しています。ここ最近は特にアタランタはホームで滅法強く、自分の贔屓クラブがここでアウェイ戦を行う時に『ベルガモは鬼門』とか『ベルガモなら勝点1でも御の字』とかいう文脈で使われています。

マルカトーレ(marcatore)

「ゴールを決めた選手」を表します。使う人はほとんど見ません。英語のmarker(記録する人、マークする人)に相当する語です。日本では、みんな大好きなフジテレビの青嶋達也アナがサッカー番組内で「マルカトーレ青嶋」名義でクセの強い実況をしていたのでお馴染みでしょうか。「セリエAダイジェスト」という番組から、それが終了した後も「すぽると」のJリーグゴールハイライト集のコーナー内でしゃべくり散らしていました。

ミステル(Mister)

サッカー用語ではイタリア語で「監督」を意味します。英語の「ミスター」です(読みが違うだけ)。選手やチーム関係者が監督を呼ぶ時に使っているイメージです。

注)ミハイロビッチ監督は、ACミラン時代に本田を指導していました。このツイートはミハイロビッチが白血病を患ったというニュースを受けてのリアクションです。


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(『ファンタジスタ』単行本18巻より)


メルカート(mercato)

イタリア語で「市場」の意味です。サッカーで市場といえば移籍市場なので、普通それを指します。英語ではmarket(マーケット)、スペイン語ではmercado(メルカード)と、よく似ているのですぐわかります。「カルチョメルカート」というとイタリアにおける移籍市場(あるいはその動向)のことを指します。

リゴーレ(rigore)

直訳は「厳格」「厳しさ」といった意味の名詞です。音楽用語でもあり、その際は「テンポを正確に守るように」という指示を表します。サッカー用語では、「ペナルティーキック(PK)」を意味します。これもベテランのセリエファンの方が使うのをたまに見ます。正確にはcalcio di rigore (カルチョ・ディ・リゴーレ)と言います。
用例:VARの結果、ユーベにリゴーレ。蹴るのはロナウド。

ちなみにイタリア語でペナルティーエリアのことはarea di rigore(アレア・ディ・リゴーレ)、PK戦のことはtiri di rigore(ティーリ・ディ・リゴーレ)と言います。

レーテ(rete)

「ゴール」のこと。イタリア語の「gol」、英語の「goal」と同じ意味。使うというより実況で聞くことの方が多いかも。

レジスタ(regista)

直訳は「演出家」。中盤の選手の中でも特に、攻撃の組み立てを行うゲームメイカーとしての役割を担う選手を指します。レジスタとして成功した選手の代表例としてピルロやシャビが有名です。少し前までと異なり最近は役割分業制というよりはオールラウンダー的な能力が重視されるため、このような役割ごとの名称で選手を一括りにすることは難しい(というかナンセンス)になりつつありますが、中でもレジスタは日本でも結構浸透している用語だと思います。
何の参考でもないですが参考までに、過去にピルロがレジスタについて語ったインタビュー記事を引用しておきます。

(スピード重視の現代サッカーにおいて、レジスタの役割をこなすのは難しくなっているのではないかという問いに対して)ピルロは、「頭のスピード次第だ。それが速くなければいけない」と、重要なのは"考える速さ"だと明かした。「ボールを受けたときには、誰に渡すか、仲間がどこにいるか、その時点で分かっていなければいけない。チームのプレーバランスを取るのだからね。チーム全体があのポジションに懸かっている。レジスタのボール回しが遅ければ、全体が遅くなるんだ。レジスタがプレーを速められれば、相手が準備を整えられない。サッカーでは足だけじゃなく、頭も走ることができるんだ」
(引用:https://www.soccerdigestweb.com/news/detail1/id=23875

ロッソ(rosso)

イタリア語で「赤」を表します。そこからレッドカードのことをロッソと呼ぶ人がいる…にはいますが、あまり見かけません。

ロッソネリ(Rossoneri)

直訳は「赤と黒」。白を意味するrossoと黒を意味するnerroを組み合わせた語の複数形です(単数形はrossonero)。サッカー関連ではACミランの愛称です。要するに(以下略)


おまけ.よく耳にするイタリア語

実況やインタビューを聞いていたらやたらと聞こえてくる単語を少し集めて紹介します。

giocatore(ジョカトーレ)
…「(男性単数の)選手」の意味。サッカーに限らず、一般的にスポーツ選手の意味で用います。

pareggio(パレッジォ)
…「引き分け」の意味。

partita(パルティータ)
…「試合」の意味。

peró (ペロ)
…「だが」「しかし」の意味。逆接の接続詞です。

sempre(センプレ)
…「常に」「ずっと」の意味です。英語のalwaysに相当する語です。クリバリのツイートでよく見かけます。

sconfitta(スコンフィッタ)
…「負け」の意味。

tutto(トゥット)
…「すべて」「あらゆる」の意味。英語のallに相当します。

vittoria(ヴィットーリア)
…「勝ち」の意味。


最後に

長々と紹介してしまいましたが、これらイタリアの単語をカタカナ表記した時の「イタリアっぽさ」や「響きの(なんかよくわからんけど言ってみたくなる)かっこよさ」とかも、イタリアサッカーを楽しむ上での一要素だと私は思っています。今回の紹介で何らかの親しみを持って下さったり、セリエAへの入り口になったりしたらとても嬉しいです。

それから、YouTubeセリエA公式チャンネルでは、試合終了後に全試合のハイライト動画を出しています。結構すぐ出してくれています。ぜひ。

ここまで目を通してくださってありがとうございました。

以上


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