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【”インテル”に成れなかった男へ】ダルミアンをCB起用するメリットとは

こんにちは、TORAです🐯

今回は

1.シュクリニアル騒動について私心全開で言及
2.代わりを主に務めるであろうダルミアンに期待すること

の2軸で記事を進行いたします。


1-ⅰ:シュクリニアル騒動についてのスタンス

まず念頭においておきたいのは本記事の意図。ルカク復帰の際に出した記事と一緒です。

意見を押し付けたり、何かを否定する気は一切ございません。
ただただ自分のnoteで自分の意見を発するだけです。

で、シュクリニアルがPSGに移籍する?しない?の一連の騒動ですが、個人的なスタンスは一貫してます。

シュクリニアルの契約延長が進まず暗雲が立ち込めた一連の当初から、僕は二元論ではありませんでした。つまり、

「蘇寧(オーナー)が悪い!」

「シュクリニアルが悪い!」

そのどちらでもないってことですね。

おそらくこのフェーズでは「蘇寧が悪い!」が世論だったと思います。

過去には代理人を切り契約更新をし、昨夏にも「インテルでハムシクのようなレジェンドになりたい」という発言を他ならぬ本人が残している。

にも関わらず、一向に契約延長の進捗が届かず、ただただ時間だけが過ぎていく状況から察するに「こりゃお金かプロジェクトのどっちかが納得いかないんだろうな」、「でもってクラブからするとそれは想定外だったんだろうな」と読み取るに難くない。

これまでの功労やキャラクター、クラブ内外での立ち位置を考慮すれば「望む額を出してやれよ」と思わないこともないですが、実際インテル側は限界値で譲歩していました

注意なのは「PSGのように10m(近く)出せないなんて蘇寧OUT!」は批判のベクトルが誤っているということ。仮にオーナー変更が発生したとて、次のオーナー陣もシュクリニアルに10mを提示することは絶対にないですよ。絶対に。

万が一、そんなことになったらクラブの瓦解が始まると思っています。

で、逆説的に提示額が限界値であることはシュクリニアル側も分かっていたでしょう。首を縦に振れないのであればお別れはしょうがない。しょうがないのですが、ここで論点となるのは彼らの立ち振る舞いですね。

本心や意図は分かりかねますが、結果的に多くのインテリスタが指摘するように

・昨夏の移籍市場でPSGと内定があったにも関わらずハムシク発言
=どういう想いだったわけ?それでクラブにも誤解を与えている

・契約延長をのらりくらりと躱し続ける
=フリーでの移籍ならボーナスが貰えるっぽいので、それが狙いだった?

・エンポリ戦で代理人(システィッチ)が狙ってか天然か「クリスマスの時点でオファーを受けないと伝えていた」という爆弾発言
=なぜこの最悪のタイミングで?また、本当にクリスマスの時点で返答していたのか?

・シュクリニアル本人も(よりもよって)自国メディアに「夏に合意していた」発言。
=以降、明らかに今冬での脱出モードに

と、推断せざるを得ないピースが次々に揃ってきました。

シュクリニアル本人としては本当に昨夏に売られたかったかもしれませんが、だとしたら「ハムシク発言はなんだったの?」となりますよね。繰り返しですが、あれはシュクリニアル本人が発してます

仮にここでシュクリニアルがゴネてたら流石にインテルも放出を容認するでしょう。少なくとも50mほどの値札はついていたわけですし。

首脳陣もバカではありませんから、様々なこと考慮して50mよりも彼の署名に価値があると踏んだ。そしてその署名をもらえる算段があったんでしょうね。
しかし、それは砂上の楼閣もいいところであった、と。

ということでここまで来るとシュクリニアルにヘイトが傾倒するのは当然。かといって、クラブのそしてイタリアの経済力のなさには嘆息しますし、考慮しなければいけませんが。

1-ⅱ:半年間で袂を断つCBをどうするか

シュクリニアルが冬にチームを脱出するか否か。

結果は残留。移籍は契約を全うして7月からとなりましたね。

個人的にはここまでネガティブになってしまうと、戦力ダウンには目を瞑ってでも放出して欲しかったです。

当然、個人の悪感情ではなくてチームへの悪影響を懸念して。
表面は戦力ダウンをしていなくても、チームの不和で総合的な出力が低下するのはサッカーに限らず珍しくない話ですからね。

シュクリニアル本人も残るシーズン、再び集中して好パフォーマンスを発揮できるか怪しいですしね。「今シーズン序盤の不調はこの契約問題が原因でしょ」と邪推せざるを得ないですし。同様にエンポリ戦の退場もメンタル面が由来でしょう、と。

というわけで個人的にはとことん利用し切ってバイバイしたいところですが、おそらく精神面がボロボロのシュクリニアルさんはしばらく放っておくしかないと思っています。つまり当面は起用できない。計算できない。

損しかしていない最悪の状況で迎えたコッパイタリア・アタランタ戦。
チームは逆境を糧に一体感ある素晴らしいパフォーマンスを披露

特にダルミアンはやや危なっかしいシーンがあれど、穴を埋めるどころか決勝点となるゴールまで決めて傷心のインテリスタを慰めてくれました。

やっぱり僕たちには頼れるイケメンしかいない!

さて、ここでようやく本題なのですが、本記事はダルミアンが右CBに収まることでのメリットを記すことでダービーに向けてインテリスタのテンションを上げることを目的とします。

そして、結論に至るまでの過程として前任者をサゲます

実は本件、今季ずっと感じてきたし思ってきたことなのですが彼の名誉のために封印してきたトピックです。

僕も感情ある一インテリスタですので傷口に塩を塗るようなタイミングですが筆を取ることにしました。愛と憎しみは表裏一体なのだ。

2-ⅰ:ボール保持は改善の期待しかない

シュクリニアルとダルミアンを天秤の乗せた際、ダルミアン側にあるはかりはボール保持の因子です。ズバリ、

ボール保持はダルミアンを起用するが効果的である。

というのも、今季インテルの弱点の一つに右ビルドアップの機能不全が挙げられます。特にバレッラ不在だと顕著ですが、その理由の一つにシュクリニアルの不調があるのは否めません。

この話題に火がつく前からシュクリニアルのボール保持面は不安視をしていました。シーズン序盤のズタボロさに比べればパフォーマンスは復調していますが、それでも保持の面ではまだまだです。

これをスタッツを用いて説明していきます。

✔︎用いるスタッツは全て『FBref』を参照
✔︎リーグ戦のみのスタッツを参照
✔︎「リーグ戦で9試合以上出場した選手のみ」を抽出
✔︎19節時点のスタッツ

ⅰ)パス回数と成功率が良過ぎるのが逆に問題


シュクリニアルはビルドアップの入り口として立派なスタッツを残している、かに見えます。

✔︎パス回数がチーム2位(1試合平均68.3回)
✔︎パス成功率がチーム1位(91.2%)

一見すると精度高く確実に繋いでくれている!と読み取れますが、内訳は同ポジションの選手に比べ、ショートやミドルレンジのパスが多く、長距離のパスが非常に少ないのが特徴です。

バストーニは1試合あたり12.6回のロングレンジパスを試みているのに対し、シュクリニアルは6.89回とおよそ半分の値。

確実に繋いではいるが、一方で変化やアクセントとなるパスは消極的だと推察できます。
もう少し深掘りしていきましょう。

ⅱ)ゴール方向へのパスが少ない。

FBrefには『progressive passes』という独自スタッツが存在します。

・progressive passes(プログレッシブパス)の定義 
直近の6本のパスの最も前方の地点から計算して10ヤード以上ボールを前に進めるパスのこと。ただし、自陣36.6mより手前のパスは対象外。
また、10ヤード以上前に進めなくとも、ペナルティエリアへ入るパスもカウントされる。

「つまり、どうゆうことだってばよ?」

と思われた方は「チームのビルドアップを一本で大きく前進することに成功したパス」と認識して頂ければ問題ありません。

スタッツ元によって定義や捉え方は様々ですが、この切り口のスタッツは広がりを見せており、今後さらにマス化していくはずです(既に十分広がっているけど)。

話を戻して、「チームのビルドアップを一本で大きく前進することに成功したパス」というのは、つまり、ビルドアップにおける効果的なパスやチャンスメイクにおける崩しの鍵となるパスを指しますので、通常のパスとは価値が異なります

1試合平均のチームトップ3は下記の通り。

1位バストーニ:5.11回
2位バレッラ:4.73回
3位ダルミアン:4.13回

ダルミアンは主にWBでのスタッツ収集ですが、右CBでもこの手のパスを打てるのはコッパイタリア・アタランタ戦でも魅せてくれました。

一方のシュクリニアルは2.43回とおよそ1.5回の差がついています。

これをネガティブに後押しするようにPA内への味方に通ったパスはシュクリアルはハーフシーズンで累計たったの2回。

対岸のバストーニは14回と7倍の開きが生まれています。
尚、ポジションが違うので単純比較できませんが、出場機会が少ないダルミアンは12回。

インテルが敵陣に押し込んだ際、右よりも左にリソースをかけることが多いので比較するのはフェアではないかもしれませんが、そもそものスキル差がこの傾向を手助けしている土台であるはずなので見て見ぬふりはできません。

ⅲ)フィニッシュへの関与も希薄

フィニッシュへの関与もシュクリニアルは希薄です。

今シーズンはゴールもアシストも記録していませんが、FBref独自スタッツであるGCA(ゴールクリエイションアクションズ)も累計で0であり、崩しの局面での貢献度の低さが窺えます

・GCA(Goal Creating Actions)の定義
ゴール直前の2つのプレー関与。ゴールに繋がるドリブル・パス・シュート(ポストに当たったり、途中で味方に当たる、などのケース)、セットプレーからシュートに繋がった被ファウルを指す。

尚、スタメンフィールドプレーヤーで

・直接、得点もしくはアシストを記録していない
・GCAのようなスタッツで確認できる関与記録もない

上記2つを満たすのはシュクリニアルが唯一です。

この他にもまだありますが(そもそもアタッキングサードでのボールタッチが非常に少ない、など)そろそろオーバーキル気味なので自重します。

2-ⅱ:課題は迎撃守備

翻って、ダルミアンを起用するデメリットは守備における個人戦術。平たく言えば対人守備ですね。ここはどう穿って見てもシュクリニアルが上回るに決まっています。

彼は特に「突っ込んでくる相手アタッカーのボールを大胆かつクリーンに奪取するスキル」は世界随一で、インテルの撤退守備とは相性が良いですよね。

ダルミアンも一対一は不得手ではありませんし、レオンやヴィニシウスなどの理不尽系の対応はむしろ得意としている印象すらあります。

しかし、それはフィジカルでねじ伏せるわけではなく立ち位置や読みで動きを制限するような守り方によるもので、「よーいどん!」をされると後手を踏むケースが見られます。アタランタ戦でもありました。

加えて、パワーゴリゴリタイプは明確に苦手としているように見えます。
ヴェローナ戦のゴリゴリWBドイクにはかなり手を焼いていました。翌日のガゼッタでも指摘されてましたね。

ここは局面の1対1がサッカーの本質である以上、ダルミアンに頑張ってもらいつつ、サポートの設計を強めたいところですね。

具体的にはより質の高いボール保持による陣形を活かしたカウンタープレスとコンテ政権よろしく組織でじっくりと守る配置守備のフェーズを明暗濃くするべきと考えます。

保持時の配置のクオリティは間違いなく水準以上なので、ネガティブトランジションが起きたら撤退守備にすぐ移行するのは勿体無いんですよね。
それを課題と感じてか、直近、チームとして意識強化している感があるのでこのままモノにできればと。

注意してほしいのはカウンタープレス強化してゲーゲンプレッシングし続けろって訳じゃないですからね。
使い分けの時間をパキッと区別したいという意味です。でもって我が軍の3−5−2のベースは撤退守備ですよ。

以上!

「うん、当然じゃね!」って感じの内容だったかもですが、スタッツで見てみると実はシビアといいますか。右の機能不全問題は想像以上に根深いものだったのではないでしょうか。

シュクリニアルとの別れ、しかもフリーで。

もう筆に尽くしがたいほどの痛みなわけですが、無理やり前を見ると彼は必要悪だったと捉えることもできなくないかなと思っています。

シモーネが目指すフットボールは右とか左とか片側に重心が傾く次第では表現しきれませんので、ダルミアンがシュクリニアルの代役となるこの機に新しい芽が生まれることを切に祈ります。

とはいえ、シュクリニアルの力が必要な場面も多いでしょう。ボールポゼッションを許す強豪チームとの試合では、徹底守備あってこそ戦えてきたのでひとしおに。

あとおよそ半年。

”インテル”に成れなかった男の最後の矜持を期待しています

最後までご覧頂きましてありがとうございました🐯


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