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【2人の後継】ジョゼップ・マルティネスについて調べてみた

こんにちは!TORAです🐯

今回は、ゾマーの後継としてHERE WE GOったジョゼップ・マルティネスの記事です。

ぶっちゃけ、未知数濃度高めですよね。バルセロナ育ちでライプツィヒにも引き抜かれてますが、一部リーグのスタメンとして活躍したシーズンは23/24がお初。まだ若い、とはいえ25歳ですから、エリートコースを歩んでいた訳ではありません。

ということで、私見も交えながら紹介していくよ、が本記事の趣旨です。

先ずはガゼッタさんの特集記事からご紹介します。要所要所で僕の補足入れましたので、原文そのまま訳ではありません。ご了承ください。

●ガゼッタ特集記事紹介

ジェノアのスペイン人GKがネラッズーリに

『子ども』と『タバコ』というワードは一般的に対立する。子どもたちはタバコが何なのか何のためにあるのか、ましてや、なぜそんなに好きなのかさえ知らない。大人にとっては気まぐれで、悪癖だ。

しかし、ジョゼップ・マルティネスは幼い頃から『タバコ』というあだ名で呼ばれていた。そのニックネームは、彼の長身とは何の関係もない。実はサッカーにまつわるものなのだ。

ジョゼップは幼い頃、アマチュアでゴールキーパーとして活躍した父親を尊敬していた。したがって、彼の真似をすることは至極当然の流れだった。怪我を恐れずに、地面に身を投げ出してセービングをする。その時期のマルティネスは子どもらしく自身のリスクマネジメントに欠け、何度も指、特に小指を骨折した。しかし、時が経つにつれ、彼は危険性を読み取る術を身につけた。

よく指を骨折=タバコ?結局、記事内に明記されずw

ジョゼップは1998年5月27日、バレンシア州リベラ・アルタの州都アルジーラに生まれた。彼が初めてゴールを守ったのは地元のクラブ。5歳の時にアルジーラのクラブに入団し、バルセロナから声がかかるまで成長する。しかし、ブラウグラナでも友達はレバンテ(同じく青とえんじがクラブカラー)を夢見ており、ジョゼップのアイドルも2008年に引退するまで、10シーズンにわたりバレンシアで活躍したサンティアゴ・カニサレスであった。

ジョゼップにとって、バルセロナの状況は明るい未来を思い描けないものであった。彼は語る。「バルセロナに来て2年後、僕はユースチームからセカンドチームに移籍するはずだった。でも、僕は6人のGKの中で一番若かったから、頭角を現すのはとても難しいことだと気づいたんだ。要するに、成長し続けるためには、どこか別の場所に行かなければならないと悟った。ラス・パルマスを選び、素晴らしい時間を過ごした」。

ドイツでの経験、ジェノアへのレンタル移籍

2019/20シーズン、ラリーガ2部だったラス・パルマスで21試合に出場した彼に目をつけたのはドイツのRBライプツィヒ。ドイツでの経験は技術的な面では有益だったが、出場時間が非常に少なかったためステップアップとはならなかった(2シーズンでわずか2試合しか公式戦出場ならず)。

そこでセリエBに降格したジェノアが、Aに昇格した場合の買取条件付きで彼をレンタルした。ロッソブルーは昇格という目標を達成し、ジョセップは買い取られた。23/24シーズンのジェノアがナポリ、フィオレンティーナ、ローマ、ミランよりも失点が少ない理由の一つは、彼のパフォーマンスにある。

犬とフォートナイトとモルディブ、フィールド外での情熱

ジョゼップはグラウンドの外でも、さまざまなことに情熱を注いでいる。まずは犬。わんちゃんLOVE。次にゲームだ。FIFA、フォートナイト、コール・オブ・デューティが大好き。

この顔である

サーフィンも嗜み、モルディブのファンタスティックな波は彼の心の中に残っている。そして、朝練とスポーツセンターでの昼食を経て、満腹となった状態でのお昼寝。

イタリア語の習得は早かったが、下品なニュアンスを含んだ言葉が多い。彼は少年時代、プレミアリーグでプレーすることを夢見て英語を勉強した。おとなしく、内気で、少し怠け者。「家では散らかすし、料理もできない。約束の時間には遅刻してしまう」と自白する。

スペイン人とイタリア人は文化が似ていて、マルティネスもそれに気づいていた。「ジェノアのファンほど温かいファンは見たことがない。スペイン人の生活スタイルに似ていて、とても気に入っているよ。ペスト・ジェノベーゼ(ジェノアの名物パスタ)も好きだよ」。

ペスト・ジェノベーゼ

現在、彼はインテルのターゲットであり、インテルは彼をゾマーの代理として起用したい。ジョゼップは数ヶ月前、インタビューにて「印象深い試合は?」と問われた際に、インテル戦と返答した。そして今、彼らもまたマルティネスのことを頭に浮かべている。

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続いて、2023年の年末にマルカ(スペイン紙)でも特集を組まれていたので拾ってみます。ガゼッタと被るところはバッシバシ端折りました。

●マルカ特集記事紹介

カルチョのジャイアントキラー。
ジョゼップ・マルティネスは新しいスペインの壁だ。

アルベルト・ジラルディーノ率いる昇格したばかりのジェノアは、スペイン人ジョセップ・マルティネス・リエラのおかげで、セリエAの”ジャイアントキラー”となった。

元バルセロナ、元ラス・パルマスのGKは、RBライプツィヒから250万ユーロの移籍金でジェノアが獲得した。

彼はセリエA首位インテルの試合を1-1の引き分けに持ち込む重要な役割を果たす。彼は5つのセーブを披露し、その内4つは枠内シュートだ。特にアルナウトヴィッチによる得点の手前でバレッラのシュートを防いだセーブ、後半にアチェルビのヘディングを近距離で防いだセーブは圧巻であった。

運命の午後

22/23シーズン、レンタル移籍でジェノアに加入したジョゼップ・マルティネスにとって、そのスタートは決して楽なものではなかった。

ドイツ(ライプツィヒ)での2年間、ほとんど出場機会に恵まれなかった彼はシーズン序盤こそ先発で出場するが、アドリアン・シェンペルが調子を取り戻すと、あっさりベンチに追いやられた。

しかし、2022年のボクシングデーが彼の運命を変えた。1-2で勝利したバーリ戦のロスタイム、サルセドを相手に素晴らしいセーブを披露したのだ。

彼は『Il Secolo XIX』誌のインタビューで当時のことを語った。

「先発の座を失い、ジラルディーノが監督に就任した(12月にプリマから昇格)。彼からは「まだチャンスを待つべきだ」と言われたよ。この試合、アドリ(アン・シェンペル)はインフルエンザにかかっていたんだ。僕は前日まで元気だったんだけど...当日に目が覚めたら身体がバラバラだった。日中は眠気に勝てず、ピッチに立つと熱が39度まで上がった。震えていたよ、こんなに気分が悪かったのは初めてだった。気づいたら試合終了のホイッスルが鳴り、パーティーが始まった。あの夜のことは、うろ覚えなんだ」

ジラルディーノの加入と同時にGKは成長し始め、トゥットスポルト紙は彼をセリエBで最高のGKと称した。30試合で17のクリーンシートを達成し、失点はわずか22。1月から4月にかけては、8試合連続でホームでの無失点を記録し、グリフォーネをセリエAの栄光へと押し上げた。

シーズン途中の監督交代は、ジョゼップ・マルティネスにとって非常に良い影響を与えた。「ジラルディーノのよりオープンなプレースタイルが彼に恩恵を与えた」とジェノアGKコーチのルカ・デ・プラーは語った。

止まらないGK

ジョゼップ・マルティネスは手だけでなく、足も”決定的”だ。彼は23/24シーズンのセリエAで2番目にパスの移動距離が長い選手である(1位はたぶんヴァンヤ)。

「近年、ボールを保持するGKはミッドフィルダーのようなものだ。ゲームを分析し、最初のパスをどのように出すかが重要なんだ。短いパスなのか、長いパスなのか、どのプレーで開始するかを知っていなければならない。バルセロナではフットワークを向上させるために多くのトレーニングを積んだし、怪我をしたときはここぞとばかりに左足の練習をさせられたことを覚えている(右利き)」と、ジョゼップはインタビューで答えた。

プレッシャーは気にならないようだ。

「足元にボールがあるときはスタンドのざわめきが聞こえてくるけど、動じないようになったよ。子どもの頃は少し緊張したけどね笑。今はより大きな責任を感じているが、それこそ必要なんだ」

ジョゼップ・マルティネスのヒーローはカシージャス、カニサレス、そして父親だ。

「父もアマチュアのGKで、子どもの頃に指導してもらったよ。彼に憧れて育ったんだ」

また、彼は自身の活躍がスペインで注目されることを確信している。スペイン代表から声がかかり、デビューすることを夢見ている。

「彼らが僕を見てくれているのは知っている。ルイス・デ・ラ・フエンテはU21でデビューさせてくれたし、僕のことをよく知っている。スペインにはたくさんの優秀なGKがいるし、簡単なことではないのは確かだけど、僕の目標だし、簡単にはあきらめないよ」

スペインの "ジャイアントキラー "がセリエAで暴れている。

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メディアの紹介はここまで。次項から私見をつらつら書いていきます。

●スタッツ紹介&私見

先ずはセービングについて言及したく、『シュート後失点期待値』に着目しました。得点期待値(xG)のGK目線Ver.です。

詳細はこちらをご覧ください。

マスに見れるフリースタッツな時点でエンタメ成分がありますが、とはいえ、素人主観だけでは危険なので多角性として用います。

額面上は、上に行くほど「期待値以上のセーブをしている」と読み取ることができます。

横軸は右に行くほど「難度の高いシュートを浴びている、その頻度が多い」ということ。

両者の掛け合わせは、負の相関傾向にあります。このレベルの選手達からの被枠内シュートが多い=数字では測れない理不尽シュートや目視し難いヘビーな状況が積み重なるから、が答えだと考えます。

ということで、相関傾向を無視し、データ右上に位置するディグレゴリオにとっては、今季ベストGKに相応しいことを後押しするデータとなるでしょうか。

本題のジョゼップ・マルティネスに話を移すと、トレンドラインを下回る位置にいますが、個人的にはあまりネガティブな印象はありません。今季「厳しいな…」と思ったGKはメニャン(元々のパフォーマンスとの差異)、シルヴェストリ、オチョア、トゥラーティ、インテル戦以外のコンシーリかな。あくまで個人的にね。

とはいえ、トップグループに位置するか?と問われたら首を横に振らざるを得ません。今季で言えばディグレゴリオやゾマー、シュチェスニー、シーズン前半のテラッチャーノあたりの(私的)四天王たちとタバコさんを比べると、セービングに関する差は小さくないと断じちゃいますが、技術的なところで取り上げたいポイントも。

ジョゼップ・マルティネスは『コラプシング』の技術が高次元にあると見ています。

コラプシングとは
GKの基本技術で「崩れ落ちる」を意味。近距離からのシュートに対して、脇や足下へのボールに反応するため、ボールに近い足を抜き、崩れる側の逆足で踏み切りながら体を倒してセーブする技術。

今回、彼のことを調べる過程で「近距離の反応速度がエグい」という現地の声をいくつか見かけましたが、より詳細に言えば、一歩二歩距離を調整した上でのコラプシングによる近距離反応と評価すべき、と考えています。もちろん生来の反射神経も優れているに決まってますが、それだけの言及では足りてませんよ、ということをプッシュしたい。

それこそマルカ紙が絶賛していた、23/24シーズン前半インテル戦の
ⅰ)アルナウトヴィッチのゴールの手前で、バレッラのシュートを防いだシーン
ⅱ)後半セットプレーからアチェルビの決定機を防いだシーン

はコラプシング由来によるもの。

ゴールを防ぐという観点でもう一つ紹介したいのがクロスストップ。23/24シーズンのカルチョで最もクロスをストップしたという記録は各所で擦られています。

単純評価は危険で、「そもそもジェノアがクロスを許容する傾向(中をソリッド固める)」という点を抑えておく必要はあります。ジェノアの被クロス数はリーグ4番目で、順位やポゼッション率を鑑みれば多いと言えます。

しかし、個人で最もストップ数を稼いでいるだけあり、ストップ率は7.9%とリーグ3番目となる誇らしい数字なので、擦られている通り「長身を活かしたボール処理は得意である」と認識していいと思います。

…と、着地させといてなんですが笑、リーグ3番目のストップ率のタバコさんでさえ、クロス全体の1割以下ですからGKがクロスを直接的に防ぐのってめちゃんこムズい。なので価値を見出すのが少し難しいスタッツかもしれませんね。笑

さて、彼を語る上で欠かせないのが足元の技術。セービングよりもこちらを特徴として語られがちなのがジョゼップ・マルティネスです。

マルカ紙が挙げていた、パスの移動距離が長い=足元お上手理論は、なかなかの強引ロジックで逆に好印象ですが笑、まぁ彼の試合を見たらキックが高品質であることはすぐにお分かりいただけると思います。

尚、タバコさんとスタッツ傾向が似ている選手を調べてみたら、奇しくもオナナの名前がありました。笑

同じくボール保持に特色があるオナナは私的にキックの技術も言わずもがな高いレベルですが、視野の広さとそれに伴う選択肢の適切さや大胆さ、その判断の速さこそ、本質的なセールスポイントだと見ています。

タバコさんも同様で、長短・地空・緩急など状況にマッチしたパスを選択できるのは彼の強み。瞬時にベターやベストを選べる。その試行数の多さの価値は現代サッカーにおいて言わずもがな。

左右の振り分けもお見事で、ここは特にゾマーとのポジティブな差異になりそうです。スペースで何度か発していますが、ゾマーは大外にボール振り分けるのはちと不得手ですからね。オナナ時代にあった「GKフィード→右WBドゥンフリースが競り勝つ→FWが拾って前を向き一気に最終局面へ」、一発プレス回避のリバイバルは期待不可避。

フィールドプレーヤー同様、GKもそのクラブやそのシーズンによる適合は間違いなく存在します。関係性やモチベーション、その他諸々の定性面によってセービングも配球などの技術由来のアウトプットも変わるでしょう。それが人間。

しかし、彼の水準の高さであれば、環境にフィットしていなくても誤魔化せる割合が大きいはず。オナナもシーズン終盤から逆算すれば「流石に序盤はフィットしていなかったんだなぁ」と確信できますが、とはいえ試合に出始めた時からプレゼンス発揮していましたね。

ゾマーの後継であり、オナナの後継。この併存を心より期待しております!

超がんばれ、ジョゼップ・マルティネス!

以上!

最後までご覧いただきましてありがとうございました🐯


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