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探求者のギター:ギブソン・エクスプローラーの全貌

ギブソン・エクスプローラーは、1958年の登場以来、その斬新なデザインと力強いサウンドで多くのギタリストに愛されてきました。

時代を超えて進化し続けるこのギターは、ロックやメタルを始めとするさまざまな音楽ジャンルで重要な役割を果たしています。

本記事では、エクスプローラーの誕生から現在に至るまでの歴史、特徴、バリエーション、そして著名な使用者たちとの関係を詳しく解説し、この伝説的なギターの魅力を余すところなくお届けします。

エクスプローラーの魅力を再発見し、音楽の新たな可能性を探求する旅に出かけましょう。


1. ギブソン・エクスプローラーの誕生と歴史

ギブソン・エクスプローラーは、その斬新なデザインと強烈な存在感で知られるギターですが、その誕生から現在に至るまでの歴史には多くの興味深いエピソードが詰まっています。

1-1. 誕生の背景

ギブソン・エクスプローラーは、1958年にフライングVと共に登場しました。当時、ギブソンはフェンダーのストラトキャスターに対抗するために、新しいデザインのエレキギターを開発していました。その結果として生まれたのが「フィーチュラ」という名前でデビューしたエクスプローラーです​​​​。

1-2. 初期の販売状況

しかし、この斬新なデザインは当時のギタリストたちには受け入れられず、販売は振るいませんでした。1958年から1963年までに生産されたエクスプローラーは約80本に過ぎず、その希少性から現在では超プレミアムなギターとして高値で取引されています​​​​。1963年には生産が中止されましたが、オリジナルモデルは現在でも非常に高価なコレクターズアイテムとなっています。

1-3. 復活と人気の再燃

エクスプローラーは1975年に再び生産が開始されました。この再生産は、1970年代から1980年代にかけてのハードロックやヘヴィメタルの流行と共に、エクスプローラーの人気を再燃させました。特に、メタリカのジェイムズ・ヘットフィールドやスコーピオンズのマティアス・ヤプスといった有名なギタリストたちによって使用され、その存在感は一層高まりました​​​​。


以上がギブソン・エクスプローラーの誕生と歴史です。次の章では、エクスプローラーの特徴とサウンドについて詳しく解説します。

2. エクスプローラーの特徴とサウンド

ギブソン・エクスプローラーは、その独特なデザインと力強いサウンドで多くのギタリストを魅了しています。この章では、エクスプローラーのサウンドの魅力、構造と材質、そしてその名前とデザインの意図について詳しく見ていきます。

2-1. サウンドの魅力

エクスプローラーのサウンドは、ハイパワーなハムバッカーを搭載していることから、非常に力強く、特に中低域の太い音色が特徴です。このため、ハードロックやヘヴィメタルなどのジャンルで広く愛用されています。また、エクスプローラーのサスティーン(音の持続力)は優れており、クリーンな音色から激しい歪みまで幅広く対応可能です​​​​。

2-2. 構造と材質

エクスプローラーの初期モデルはコリーナ材(白いリムバ・マホガニーとも呼ばれる)で作られていましたが、現行モデルでは主にマホガニーやメイプルが使用されています。これにより、エクスプローラーは独特の音色を持ちつつも、現代のギタリストのニーズに応える耐久性と音質を提供しています。

さらに、エクスプローラーのペグ(糸巻き)は片側6連ペグの専用デザインで、バナナヘッドやホッケースティックと呼ばれる形状をしています。このデザインは、見た目の斬新さだけでなく、チューニングの安定性も確保しています​​​​。

2-3. 名前の由来とデザイン意図

「エクスプローラー」という名前は「探求者」を意味します。この名前は、ギターの奇抜な形状が新たなスタイルの探求を象徴していることから付けられました。1958年当時、このような斬新なデザインのギターは存在しておらず、エクスプローラーはその先駆者としての役割を果たしました​​​​。

エクスプローラーのデザインは、平行四辺形を引っ張って伸ばしたような独特の形状で、見た目のインパクトが非常に強いです。しかし、その形状は見た目だけでなく、実際の演奏においても優れたバランスを提供し、多くのギタリストに愛されています​​。


以上がエクスプローラーの特徴とサウンドです。次の章では、エクスプローラーのバリエーションと派生モデルについて詳しく解説します。

3. バリエーションと派生モデル

ギブソン・エクスプローラーには、その基本モデルをベースにしたさまざまなバリエーションと派生モデルが存在します。この章では、エクスプローラー E/2やエクスプローラーⅢなどの特別なモデル、その他のバリエーション、そして影響を受けたコピーモデルについて詳しく解説します。

3-1. エクスプローラー E/2とエクスプローラーⅢ

・エクスプローラー E/2
エクスプローラー E/2は、1979年から1983年まで生産された豪華な仕様のモデルです。通常のエクスプローラーと同じボディシェイプですが、メイプルトップやクリーム色のバインディング、細かいチューニングが可能なTP-6ブリッジなど、より豪華な仕様が特徴です。このモデルは、通常のエクスプローラーよりも装飾が多く、見た目にも音質にもこだわりがあります​​​​。

・エクスプローラーⅢ
エクスプローラーⅢは、1984年に1年間のみ生産されたモデルです。アルダーボディにP-90ピックアップを3基搭載しており、ストラトキャスターを意識した設計が特徴です。このモデルは、より多様な音色を提供するために設計されており、エクスプローラーの中でもユニークな存在となっています​​。

3-2. その他のバリエーション

エクスプローラーには、他にもさまざまなバリエーションが存在します。

・エルボーカットモデル
エルボーカットモデルは、エクスプローラーのボディの6弦側エンドが大きくカットされたデザインで、演奏性を向上させています。このデザインは、エリック・クラプトンが使用していたことから「クラプトン・カット」とも呼ばれています​​。

・リバースエクスプローラー
リバースエクスプローラーは、エクスプローラーの誕生50周年を記念して2008年に製作されたモデルです。ボディの形状が通常のエクスプローラーとは逆になっており、稲妻型のピックガードと相まって非常にインパクトのあるデザインとなっています​​。

3-3. コピーモデルと影響

ギブソン・エクスプローラーの独特なデザインは、他のギターメーカーにも大きな影響を与えました。

・ヘイマー・スタンダード
ヘイマー社は1974年にヘイマー・スタンダードというエクスプローラー・モデルを製作しました。このモデルは、プログレッシブ・ロック・ミュージシャンらに使用され、エクスプローラーのデザインを広める一助となりました​​。

・ジャクソン・ケリー
ジャクソン(現在はフェンダー傘下)は、エクスプローラーのデザインを元に「ケリー」というモデルを制作しました。これは、メガデスのマーティ・フリードマンなどが使用しており、エクスプローラーの影響を色濃く受けたモデルの一つです​​。


以上がエクスプローラーのバリエーションと派生モデルです。次の章では、著名なギタリストとエクスプローラーの関係について詳しく解説します。

4. 著名なギタリストとエクスプローラー

ギブソン・エクスプローラーは、その独特なデザインとパワフルなサウンドで、多くの著名なギタリストに愛用されています。この章では、エクスプローラーを使用している著名なギタリストの紹介と、彼らがどのようにしてエクスプローラーを音楽シーンに浸透させたかについて詳しく解説します。

4-1. 使用ギタリストの紹介

・リック・ニールセン
チープ・トリックのギタリスト、リック・ニールセンはエクスプローラーを多用しており、そのユニークなデザインとパワフルな音を活かしてバンドのサウンドを形作りました。彼のステージパフォーマンスでも、エクスプローラーは欠かせない存在となっています​​。

・マティアス・ヤプス
スコーピオンズのマティアス・ヤプスもまた、エクスプローラーを愛用するギタリストの一人です。彼は、エクスプローラーの鋭い音とビジュアル的なインパクトを活かし、バンドのライブパフォーマンスにおいて重要な役割を果たしています​​。

・ジェイムズ・ヘットフィールド
メタリカのフロントマン、ジェイムズ・ヘットフィールドはエクスプローラーの象徴的なユーザーです。彼は1984年製のモデル「More Beer」や「Rusty」と名付けられた1976年製の再生産モデルを使用し、その重厚なサウンドでメタリカの音楽を支えています。彼のエクスプローラーに対する愛着は、バンドのアルバム「Death Magnetic」のレコーディング中に再発見されました​​。

4-2. エクスプローラーの影響と遺産

エクスプローラーは、多くのアーティストに愛用されてきたことで、ステージでのイメージの一部として重要な役割を果たしています。その独特のデザインは、単なる楽器としてだけでなく、ステージ上のビジュアル効果としても大きな影響を与えています。また、エクスプローラーのデザインは、他のギターデザインにも影響を与え、音楽界でのアイコン的存在となっています​​​​。

4-3. 有名なオークションとエクスプローラー

エクスプローラーはその希少性と人気から、高額なオークション価格を記録しています。特に有名な例として、U2のギタリスト、ジ・エッジが長年愛用していた1976年製エクスプローラーが挙げられます。このギターは2008年にハリケーン・カトリーナ被災者救済のために行われたミュージック・ライジング・オークションで、予想価格を大きく上回る15万ドルで落札されました​​。


以上が著名なギタリストとエクスプローラーの関係についての解説です。次の章では、エクスプローラーの使用上の注意と総評について詳しく解説します。

まとめ

ギブソン・エクスプローラーは、その魅力的なデザインと強力なサウンドで多くのギタリストに支持されていますが、その使用にはいくつかの注意点もあります。この章では、エクスプローラーの使用上の注意、初心者への適性、そして総評について詳しく解説します。

使用上の注意

・ヘッド落ちの注意点
エクスプローラーはその独特な形状から、ヘッド落ち(ヘッドの重さでネックが下がってしまう現象)が発生しやすいです。これを防ぐためには、適切なバランスを取るためのストラップや、ヘッド落ちを抑えるための重りを使用することが有効です。また、演奏中に安定感を保つための工夫も必要です​​​​。

・専用ケースの必要性
エクスプローラーの大きくて奇抜な形状は、標準的なギターケースには収まりません。そのため、エクスプローラー専用のケースが必要になります。このケースは非常に大きく、持ち運びにはやや不便ですが、ギターを保護するためには欠かせないアイテムです​​。

初心者への適性

エクスプローラーは、その独特なデザインと大きなボディから、初心者にはあまり適していません。特に、座って演奏する場合には、ボディの形状が邪魔になりやすく、慣れないうちは演奏しにくいと感じることが多いです。また、エクスプローラーは比較的高価なギターであり、初めてのギターとして選ぶにはコストが高いという点もあります​​。

総評

ギブソン・エクスプローラーは、その独特なデザインと強力なサウンドで、発売以来多くのギタリストに支持され続けています。1958年の初登場から現在に至るまで、エクスプローラーは特別な位置を占め続けており、今なお多くのミュージシャンに愛用されています。

その大胆なデザインは、単なる楽器としてだけでなく、音楽シーンにおけるアイコンとしての役割も果たしています。また、エクスプローラーの音質は、ハードロックやヘヴィメタルを始めとする多くの音楽ジャンルに適しており、その多様性とパワフルなサウンドは、他のギターにはない魅力です​​​​。

エクスプローラーを選ぶことは、新しい音楽スタイルを探求することでもあり、その意味で「探求者のギター」としての名にふさわしい存在です。エクスプローラーを手にすることで、新たな音楽の可能性を広げることができるでしょう。


以上がエクスプローラーのまとめです。

エクスプローラーの魅力を存分に伝えることができたでしょうか。

読者の皆様にとって、エクスプローラーがさらに身近で魅力的なギターになることを願っています。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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