AQ NO HEATBEAT Vol.3

残暑お見舞い申し上げます。高校野球も終わって世界陸上が始まってますが、当方夏休みで田舎に帰っておりますmiuです(編注:昨日で休みも終わりmiuは出社中です)。

今回は「クリームソーダシティ」!はじめての私のソロ曲であります!ビートルズでいうならホワイトアルバム状態!。でも大丈夫。テレパシーユニットは電波も微弱な時が多いので険悪なムードなどはまったくとどきません。この曲はいままで「あえて」チャレンジしなかったタイプの曲で、簡単に言うとアップテンポの明るくポップな楽曲なのですが、いち音楽リスナーとして僭越ながら失礼を承知して言わせていただきますと、どれも明るく、アッパーにしてたら中身は空っぽ。でもライブでみんな喜ぶからイイ、みたいな感じの、なんの特徴もない佐野デザイン的な、というよりまだパクりたかったポイントがはっきりわかるような楽曲ならまだしも、ほんと。なんにも変哲のない楽曲が多いのが、この手のアッパーなタイプの曲だと日頃感じていたのであります。というわけでならば私なりの「こんな感じの曲」を提示しようと思って最初から製作しました。たしか「Miss Flashback」をレコーディングしてるホテルのトイレで、ピコーン!てな感じで生まれまして、いっちょ勝負してやるか!みたいな鼻息荒く取り掛かったのですが、やはりこういったビックマウスな気持ちのときは私は缶チューハイ飲みながら長尾謙一郎さんの漫画を読んで合法的にハイになるようにしてるのですが、気持ちとなんらかのシチュエイションがバッチリマッチしてしまいまして、がっつり長尾ワールドな仮の歌詞ができてしまったのであります。ですがやっぱビックマウス的なアプローチを考えていましたのでサビはとびきり女子高生の気分で書きました。君の背中まで13歩、なぜだか手が届かない そりゃそうでしょ、13歩もはなれていたら!とか粋ではないツッコミは遠慮させていただいて、なんとも甘酸っぱい歌詞ができたな!と鼻息荒くドヤ顔しておったのですが、どうしてもサビ以外がヒロスエさんの陽炎ダンスや、陽水さんのグラサンから頭が離れないのです。そんなわけでおそるおそる前Pに歌詞の第1稿をみせたのですが、いたくお気に召されたようで、関係者のなかれ主義なアドバイスに全く耳を貸さず発売禁止以外何でも来いとばかりにそのまま採用されました。

音の方はデモの時点でほぼ完成系だったのですが、キーボードのメインテーマはフェアリーさん、サビあとのT-SQUEAのTRUTH的なアプローチは前Pによって付け加えられました。私はベーシック録音の時この曲には立ち会っていませんで、歌入れではじめてバックトラックを聞いた時は瞳うるうるのベルバラ状態(編注:漫画ベルサイユのバラのイラストの状態の意)になったのを憶えております。この歌入れの時、人生で最も感情豊かに歌った覚えがあります。最初に入れテイク1の歌はもっとクールに歌っていたのですが、その後テイクを重ねまして最終的には一皮向けたいいカモンレッツゴーがうたえたな、とおもっております。

歌詞にいろんな有名な方が登場してきてますが、ジョンレノンのギターを拾って人の影を踏んで笑みを浮かべてるのはたくさんの方々に「嵐」の大野さん?と尋ねられているのですが全く違いまして、大阪のfugacityというグループの大野さんのことです。大野さんはバーも経営しておりまして大阪のミュージシャンたちの憩いのオアシスでもあるのです(編注:現在休業中です)。大野さんに一度会ってもらえたら歌詞に出てくる感じはバッチリ納得してもらえる人柄なのであります。

そして「クリームソーダシティ」とニコイチなのが次曲「キューポラ」です!自分でもこんな切ないメロディが作れたことに驚きを禁じ得ないのであります。この曲は最初サビが出来た時からmicaちゃんに全部歌ってもらおうと決めていました。これぞロマンティストでウブな昭和娘micaちゃんの真骨頂なのであります。
とにかくあの私には逆立ちしても美容整形にいっても無理なあのウィスパ〜な歌声を最も活かすために慎重に製作しました。前Pも「AQ」のブックレットで読める、レコーディング日記「AQの日々」で書いてます通り、フジファブリックのアルバムを試聴して、ビル外に出た時にふわっと浮かんできた曲です。そのメロを携帯の充電が切れていた私は前Pの携帯のボイスメモにサビのメロディを録音していました。その後月日は流れ、3月頃にアルバムの曲用に浮上してきた時、なんとサビ以外のメロディが前Pによって付け加えられていました。そうなんです!。この曲だけ他の曲と印象が違うとよく言われるのですが、これはもともとエレクトリックギュインズというバンドでシンガーでありソングライターであった前Pの作品とも言えるのであります!。私はエレクトリックギュインズの「たりない言葉」や「誰も知らない」あたりを学生の頃から愛聴しておりますので、ある意味夢のコラボとでも言えるものなのです。大サビなどはすごく前Pのセンスが伺うことができる名曲に仕上がりました。

しかし歌詞はまったくららら、あうー状態の仮歌でしたので、そこに転勤を言い渡された私の望郷のおもいが炸裂しまして、こんなセンチメンタルな歌詞を日曜日の夕暮れに一気に書き上げました。溢れ出るとはこういった感覚なんでしょうか。作りながら鼻水たらたらで号泣していたのを思い出します。
micaちゃんはデモの時点でこの曲を非常に重要視していたようでレコーディングの時やたらと緊張していました。デモの時のテンポよりググゥッと落とされたベーシックをバックにmicaちゃんはかなりの時間をかけて歌い上げました。抑制と抑揚の狭間をうまくコントロールされたボーカルテイクは涙なしでは聞けない仕上がりになりました。コーラスは最初私がチャレンジしたのですが、前Pの作ったハモりは難しすぎてリタイヤしており、印象派史上初の完全mica100%のボーカルトラックであります。

今回紹介した2曲は本当にこのアルバムの「核」であり、新たな可能性を感じた「はじまり」の曲でもあります。どこまでも可能性は広がっていくのであります!つづく

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