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意外な需要!?ムカデ養殖編!

はじめに

私は昆虫を育てるのが好きで、趣味でいろんな昆虫を育てたり、リサーチしたりしています。この養殖シリーズでは私の自育経験や調べた内容をもとに養殖方法をまとめたり、模索したりしています。昆虫養殖は発展途上です、間違った点もあるかと思いますが、何卒!
ムカデは昆虫ではないのですが・・養殖としてまとめております。


種名  (トビズムカデ)
用途  漢方薬用 食用 餌用(魚・蛇等)
サイクル 年に2回(加温による)
収穫までの日数 8ヶ月
年間平米あたりの収穫量 推定300匹
一匹あたりの産卵数 50
養殖環境下の死亡率
養殖難易度 低い
設備等 安価
儲かり度 不明(やれば日本初)
総合評価 ★★★☆☆


https://hlyzc.jqw.com/productShow-5140473.htm

もくじ




概要

今回のお題はムカデです。
今回は自分の経験が含まれず、リサーチした内容になります。内容の殆どは中国からとなります、中国では様々な昆虫が利用されていますが、トビズムカデは日本にも生息している昆虫のため、日本でも養殖が可能となっています。すでに中国で技術が確立されているため、日本でも即時に養殖が可能な面白い種であると思い、まとめさせていただきました。

養殖効率

中国の書籍「蜈蚣养殖实用技术」によると養殖は人工ムカデの繁殖条件は以下とおりでした:

  • 低い繁殖サイクル:年2回の産卵で数が増えやすい。

  • 少ない投資:飼育にかかるコストが低い。

  • 速い成長:ムカデが迅速に成長する。

  • 8ヶ月で成長し販売可能:比較的短期間で成長し、販売できる。

  • 管理しやすい:飼育が比較的容易である。

  • 高収益:養殖から利益を得ることができる。

  • 飼育設備が簡単:特別な設備が不要で、家の前やコテージの屋根などの場所で飼育可能。

  • 大量生産可能:洗濯槽で約100匹、水槽で150匹以上、部屋(約200平方メートル)で約10,000匹の個体をを飼育できる。



社会的・経済的価値


用途

薬効作用
中国での歴史的な利用: ムカデは中国で薬草として長い歴史があり、2000年以上前から知られ、『薬物大全』などの医学書に詳しく記載されています。ムカデは古書にも多くの記述が残されており、その薬効は古代の医学書に記載されています。

  1. 薬効: ムカデはやや毒性が強いが、あらゆる腫れ物や毒を解毒するのに向いています。特に風を探すのが得意で、内服や外用で様々な症状の治療に使用されます。また、ヘビを駆除する作用もあり、ヘビ病やヘビに噛まれた時の中毒の治療にも利用されます。

  2. 化学的成分: 現代医学の研究により、ムカデにはハチ毒に似た毒性成分であるヒスタミン様物質と溶血性タンパク質が含まれていることが証明されています。また、チロシン、ロイシン、アントラニル酸、脂肪油、コレステロールなども含まれています。

  3. 薬理活性: ムカデの毒には多くの生物学的活性があり、血液系の活性化因子や血小板凝集能、腫瘍細胞への抑制効果などが示されています。

  4. 潜在的な生物活性資源: 最近の研究により、ムカデの毒素は平滑筋拡張作用や医薬品の有効成分としての潜在的な価値があることが判明しています。

要するに、ムカデは古代から現代まで、中医学などで医療目的に利用されてきた生物であり、その毒には多くの薬理活性が含まれています。そのため、今後の研究でさらにその活性を理解し、医療や薬品開発に役立つ可能性があるとされています。

食用

中国では薬膳料理として利用されることがあるそうです。
さらに大衆文化では、ムカデ酒なるものが人気なようです。

ペットの餌として

アロワナの餌用にムカデが利用されることがあると効いたことがあります。
蛇の一種ではムカデしか食べない、ムカデクイという蛇がいます。そういった蛇が拒食をした場合には活ムカデは必須になると思われます!

釣り餌
一部の人はムカデを釣り餌として使うようです。
このようなニーズがあると、生きたムカデを販売している店があったら嬉しいですね!

流通価格

中国では養殖されたムカデが流通しております。
タオバオではこのように束になって販売されています。価格は1束で1,200円。中国のカレンシーから考えるとかなりの高級品と言えるでしょう。


アカズムカデに見える

日本では?

日本で流通価格は、バグズファームさんで乾燥で2匹3600円です。
日本では一般的ではないので、嗜好品としての値段でしょうか、それでも日本でも入手出来るような環境を作っていただけるバグズファームさんには感謝ですね!

栄養価

ムカデの栄養価は調べましたが、不明でした。しかし中国の書籍には以下の一文が見つかりました。

タンパク質、14種類の微量元素、17種類の必須アミノ酸を豊富に含む

蜈蚣养殖实用技术




生態

養殖されているムカデ所種類は、トビズムカデ、アカズムカデの2種です。
アカズは日本にいないので割愛します。

トビズムカデ(Tiger Centipede)は、Scolopendra属に属するムカデの一種で、その名前は特徴的な斑紋模様に由来しています。

分布: トビズムカデはアジアを中心に広く分布しています。特に東南アジアやインドなどの熱帯および亜熱帯地域に生息します。

外見: トビズムカデは大型で、一般的に20から25センチメートル以上の体長を持ちます。名前の通り、体に黄色やオレンジ色の斑紋があり、黒い背中とはっきりと対比しています。多くの足を持ち、顎(捕食器官)も大きい特徴です。

生息環境: トビズムカデは湿潤な環境を好みます。森林、岩場、川岸、地下、植物の下など、さまざまな場所で見られます。特に落ち葉の下や腐植土中に潜むことがあります。

食事: トビズムカデは捕食者であり、小動物、昆虫、クモ、他のムカデなどを捕食します。その大きな顎を使用して獲物を捕まえ、麻痺させます。

養殖に関して


野生個体の捕獲

ムカデは生殖可能なサイズになるまでそれなりの期間かかります。
まずは成熟した個体を野生で確保し、そこから養殖を始めることで早く養殖を始めることが可能になります。

そのために以下のうような仕掛けを作りましょう。

溝式ムカデ捕獲方

ムカデがいつも住んでいる場所に長い溝を掘り、鶏の羽や骨、糞、生ゴミ、壊れたレンガなどを置いて、緩い土で覆うことです。ムカデは生臭いにおいがすると、溝の中に入って餌を食べ、卵を産んで繁殖します。約20日後、溝を耕してムカデを捕らえ、新しい鶏の羽や骨、生ゴミなどを補充し、緩い土の層で覆い、これを繰り返すことができます。野生のムカデは、秋の林の中でもこの方法で捕まえることができます。

設備とインフラ

小規模飼育

タンク培養法 この方式は始めるのに投資がかからないので、おすすめしたい。以下が方法の概要。

この方法は、家庭内で小規模なムカデの飼育に適しています。

セラミックタンク(容器)またはガラス水槽を使用します。セラミックタンクは中型のものが選ばれ、底面積は50cm×40cmが好ましいです。タンクの底には、10〜20cm厚の培養土を入れます。培養土の上には砂利や割れたタイルを敷き、さらに20cm厚の菜園土を敷きます。

菜園土の表面には再びタイルを重ね、最上層のタイルはタンクの口から20〜25cmの位置に置きます。タンクの口はガーゼカバーで覆います。

この飼育方法は、特にタンク内にムカデを飼育し、その生息環境を整えるための手順を説明しています。セラミックタンクやガラス水槽を使用することで、ムカデの飼育環境をコントロールしやすくし、繁殖や観察が容易になります。ムカデの飼育に関心がある人にとって、室内飼育の手法として役立つ情報です。


大規模養殖方式 プール式


中国の養殖場、プール式ではあるが、ブロックはレンガではなく、空洞がある素材を使用している。
  1. 飼育プールの作成:

    • 飼育プールの大きさは、飼育規模や家の大きさに合わせて決めます。

    • 一般的なプールは、長さ150cm、幅100cm、高さ50~80cmの壁を持つものが標準です。

    • プールはレンガで作り、セメントと砂でコーティングします(レンガの底は水を浸透させないため、適しています)。

  2. 脱出と侵入の防止:

    • プール内のムカデが脱出するのを防ぐために、プールの壁を滑らかで切れ目のないプラスチックフィルムで覆うか、壁を軒に直角にして幅15cmのガラス板を取り付けることができます。

  3. 底の準備:

    • プールの底には、レンガや割れたタイルを規則正しく積み重ね、ムカデが動き回れるように隙間を空けます。

    • その上に5~6cmの土を敷き詰め、踏み固めて底を整えます。

  4. 巣の作成:

    • レンガを使って、プール内に大きさや層の異なる立体的な巣を作ります。

    • レンガとレンガの間に1cmほどの隙間を空けて、ムカデの出入りを可能にし、ネズミなどの侵入を防ぎます。

  5. 溝の設置:

    • プール内の壁の周囲に幅10cm、深さ4cmの溝を掘ります。

    • 溝の片隅に排水口を設置し、溝の内側近くには餌を置くための幅10cm、深さ3cmのトラフを掘ります。


ビニールハウス方式
上記のプール方式に似た方式をビニールハウス内で行うことにより、無加温で、太陽光をうまく取り入れ冬眠時間を減らし、成長スピードを高める方法です。

この方法は、夏場の日陰の必要性に加え、他の3シーズンの日中の太陽光をフルに活用してビニール小屋の温度を上げ、夕方の保温に合わせてビニール小屋をストローカーテンで覆い、昼夜の温度差をできるだけ少なくすることで、ムカデの冬眠期間を大幅に短縮、あるいは解除し、成長時間を長くして飼育効率を高めることができます


以上が実際に利用されている養殖方法でした。
ネット情報を見てみると、現在は更に進化し、ブロックのかわりに卵用の紙の容器(虫の飼育によく出てくるあれ)などを積み重ねたり、入れ子式の変わった形のブロックや、ブロックにこり込みがされて中に土が入っているもの、など様々な器具が開発されている様です。


https://www.zjxhzy.com/xuehuizhuangao/2019/0823/469.html

管理


餌について


 ミルワームやミミズなどの生きた虫を使用することが多い様です。
更に原価を下げるために、ミルワームを自ら生産する大規模養殖施設もあるようです。

餌となる昆虫の繁殖場所
ある程度の規模のムカデ農場では、イエローミールワーム、ハエウジ、地虫、ミミズなどの飼料昆虫を自家農園を使って栽培するのが一般的でムカデの飼料を十分に確保するとともに、飼育コストを抑えることができる。昆虫飼育室の広さは、ムカデ農場の規模によって決めることができ、ムカデの成虫が10万匹以上いる農場では、飼料昆虫の飼育に最低30平方メートルの面積が必要である。

蜈蚣养殖实用技术

屋外の昆虫を餌に使用する場合
屋外飼育の場合、飼育所の上にブラックライトを設置し、そこに群がった昆虫が飼育スペースに落ち、それを餌にするという方法も効果的です。
この方法は一方でダニなどの害虫を発生させるリスクも有り、定期的に飼育所を滅菌するなどの方法が効果的とされています。

加工飼料について

行き餌は理想ですが、ミルワームの養殖は大変ですよね、そんな場合は以下のようなレシピが効果的な餌とされています。
実際には栄養バランスを考え、ミルワームだけではなく植物由来の飼料も含まれている餌を与えた方が良いらしいです。


出典 特种昆虫养殖
レシピ1

  • 成分: 動物の排泄物(30%)、肉骨粉(30%)、卵黄(10%)、粉乳(5%)、コーンフラワー(15%)、ふすま(9%)、砂糖(1%)

  • 与え方: 成虫には1回に約1g、幼虫には1回に約0.1gを与え、成虫は2〜3日に1回、幼虫は1日に1回与えます。

レシピ2:

  • 成分: ハエウジ(50%)、魚粉(10%)、イースト(5%)、血粉(5%)、大豆ミール(19%)、ふすま(10%)、コーンフラワー(1.0%)

  • 与え方: 同様に、成虫には1回に約1g、幼虫には1回に約0.1gを与えます。

レシピ 3:

  • 成分: 生肉(70%)、調理済み卵黄(20%)、繊維質野菜(10%)

  • 与え方: 成虫と幼虫に与える割合は指定されていませんが、これらの成分を混ぜて与えます。

給水

給水は 浅い皿に入れて行うようです。
また、周囲の側溝には水を張っておくと、ムカデの飲み水として利用でき、湿度を高めることができるという利点があります。

湿度コントロール
サイトの湿度供給は、第一に空気供給、第二に土壌供給の二つの側面からなる。屋外飼育の場合、土壌の湿度は主に飼育池の底からの水の浸透、飼育土の散水・排水、換気など、敷地の建設時に検討されることが多く、室内飼育の場合は、散水・散水設備、浸透・排水設備などの利用により、飼育土の湿度をコントロールすることができる。特に冬場は、屋内と屋外の温度差が大きいため、屋内空気と飼育土の温度差も大きくなり、飼育土の水分が非常に蒸発しやすく、飼育土の湿度を保つことが難しくなる。この問題を解決するには、室内で飼育する場合、飼育池の底に自動浸水管などの水分供給設備を追加することが最適です。


温度コントロール

夜8時から11時が摂食活動のピークとなる。ムカデの活動適温は25℃~32℃で、20℃以下では活動が低下し、15℃以下では摂食が止まり、10℃以下では休眠期に入リます。活動適温にすることができれば、生産効率が上がります

密度

ムカデの飼養密度は、その大きさとプールの面積、生息床の面積によって決まることが多いようです。密度が高すぎると餌の奪い合いで殺し合いになり、低すぎると非合理です。一般的には、溝スリット1平方メートルあたり、1齢幼虫150~200匹、2齢幼虫80~100匹、成虫40~80匹の割合で飼育しています。

天敵

アリ、トカゲ、鳥、ネズミなど、しかししっかりと管理すれば防除は難しくないとのことです。

病気

環境衛生と湿度をうまく管理しないと、しばしば一種の黒点病が発生する様です。これは真菌の感染によるもので、夏から秋にかけて多く発生し、感染したムカデの一部の関節の皮膚部に黒い点が現れ、その斑点が拡大するため、ムカデは全体として光沢を失い、食欲がなくなり、這う速度が遅くなり、衰弱死します。

予防対策:飼育プールの土は家畜や家禽の糞尿を入れないようにし、劣化やカビを防ぐために残留エサの除去を適時行い、曇天や雨天時の換気や乾燥に注意する。発病したムカデは適時駆除する。定期的にハイグロマイシンやアクチノマイシンを飼料に混ぜて与えることで、病気の予防や治療ができる。


成長

最初の脱皮までは約15日後、脱皮前の冬眠では1回。室内が暖房されていれば、冬でも成長発育を続けることができます。一般的に、1齢幼虫の体長は3~4.5cmくらいまで育ちます。2齢幼虫も3回脱皮する必要があり、3齢幼虫は基本的に2齢幼虫と同じように餌を与え、発育過程で夏に2回脱皮し、もう1回脱皮し、ムカデ成虫の繁殖期に入る。したがって、ムカデの成長は脱皮の過程で行われ、胎生幼虫の段階では3回脱皮する必要があり、成虫の形成前に合計8回脱皮する。
幼虫は6月から10月にかけて脱皮し、脱皮のたびに体重は3グラム、体長は約1センチ増加します。





事例

日本国内で養殖している企業は現在ありません。


で、儲かるの?

現在国内で、生きたムカデを販売している場所はありません。
大きな需要はないと思われますが、誰かが始めれば、国内初のムカデ養殖所として注目されるかもしれません。 ムカデの生態や、毒などの研究もされておりますので、研究目的としての需要もあるかもしれません。

輸入に頼らず、自国での生産をすることには大きな意義があると考えています。

試算してみましょう

以下の条件で試算します

  • 飼育規模5㎡

  • 年2回産卵 

  • 販売可能までの時間8ヶ月

  • 性比率 5:5

  • 市場価格 一匹150円

どうでしょう?儲かりそうですか?


やってみたいと思う方がいらっしゃれば、更に情報をお渡しできますので、お声がけください!


上記の記述以外にも以下の本からも参考文献利用させていただきました。

赵渤.蝎子、蜈蚣实用养殖技术[M].北京:中国农业出版社,2002.
李志英.蜈蚣饲养及其应用[M].北京:科学技术文献出版社,2003.
张崇洲.蜈蚣养殖技术[M].北京:金盾出版社,2011.



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