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【ウクライナ情勢:論考】「西側」「東側」という分け方の時代的な遅れ。停戦条件の「ナチス系政権」を創り出してしまうのは、孤立し厳しい経済措置を受けるロシア側に可能性があるという皮肉。

 ロシアとウクライナは停戦協議に合意した──と報じられた。

 しかし、残念ながらロシアは「軍事演習」と言いながら、ベラルーシやウクライナとの国境付近に軍隊を駐軍させたし、東ウクライナのドネツク人民共和国とルガンスク人民共和国の独立だけを望むとしながらも、ロシアの実権が及ばない、ウクライナ本土への侵攻を始めた。

 要はウクライナ情勢において、ロシアの代表団は嘘しかついていないことになる。

 ロシアは軍事侵攻をしないと言っていたのはロシアや中国の代表団だけで、アメリカのバイデン大統領が「ロシアがウクライナに軍事侵攻するだけの確実な理由がある」と述べて、その通りプーチン大統領は軍事侵攻を選択した。

 ロシアの代表団は嘘しかついていないので、ウクライナとの戦争に停戦を申し込んだ──というのもまた、嘘になるだろう。本日の報道では停戦合意に及んだ後にもかかわらず、キエフへの道まで60kmにもなる、ロシア軍の戦車が並んでいるという。

 当初、ロシアがウクライナ侵攻に投入した軍力は、ロシア国軍全体の三分の一程度だったという。その程度の軍力で首都キエフは陥落すると見越していた。それがプーチン大統領の誤算だった。

 しかし、誤算はせれど、軍事力はまだ充分に充足している。私の勝手な予想であるが、誤算は有れど、戦争は数ヶ月で終わり、首都キエフの現ウクライナ政権は打倒されるだろうと思われる。ロシアの元々の狙いはNATO加盟国との緩衝地帯を創りたいだけであり、国土拡張などロシアにとっては特に意味はなさない。クリミア半島を併合した時点で、不凍港は保持しているわけで、これ以上、ウクライナの何かが欲しいというわけでもない。ただ、政権を打倒して、絶対にNATOに組み込ませないこと、それだけが狙いなのだから。

 今回の侵攻により明らかとなったのは中国とロシアの関係であろうか。国連安保理の決議に対して、中国は反対することなく棄権を選択した。ロシアのプーチン政権に対して、軍事的援助も経済的援助も何もしていない。中国は「力による軍事侵攻」が、今の現代において、どのような結果を生むのか、ただただ静観している。今までは中国とロシアは「旧東側」として一対で見られてきたが、中国はロシアに対してどのような場合でも支援するわけではない、という方策を取っている。「旧西側」「旧東側」として、世界情勢を語るには時代がもう進み過ぎているのかもしれない。今のプーチン政権の率いるロシアと同胞のような関係はベラルーシのルカシェンコ大統領だけだということが明るみに出た。

 ロシアのプーチン大統領は、ウクライナの停戦条件に「ナチス系の政権を変えること」を出してきた。ナチスと言えば、第一次世界大戦後に、孤立したドイツへの厳しすぎる経済制裁の中で誕生した、急進派の政権である。現在、先進国各国から経済制裁措置を受け、SWIFTからも締め出され、国際社会から孤立を深めたのはロシアのほうである。厳しすぎる経済制裁の中、ナチスのような急進的な政党が出てきてしまうのは歴史上、ロシアの方ではなかろうか。プーチン大統領にもいつかは終わりが来る。プーチン大統領が公的に言った「ナチス政権」を出してしまうのが、未来の孤立し経済的にもひっぱくしたロシアだとしたら、何と皮肉な停戦条件となってしまうのだろうか。冗談にもならない。

 ましてやロシアは核保有国だ。「核を持ったナチス政権」を生み出してしまう最悪なケースも考えられる。

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 私は国際政治研究家でもなんでもありません。ただのフリーターであり、情報源も日本の報道だけに過ぎません。一人の日本人として見ての、これからの展望に過ぎないことを前提に読み進めてください。

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