見出し画像

医学部入学には、僻地耐性が必要

医学部受験対策というと学力とか面接対策とかばかり喧伝されているのだが、僻地耐性あるなしで、難易度が劇的に違うことは、知られていないようだ。

入試難易度が低い国公立大学医学部は、いずれも、首都圏にはない。東京から遠いだけならともかく、所在地が、正真正銘の僻地であることがある。

現在は呼吸器内科医である南木佳士氏は、浪人しても、首都圏の大学に受からず、たまたま合格した、設立2年目の秋田大学医学部(秋田市)に入学せざるを得なくなった。

群馬県嬬恋村出身の南木佳士氏であっても、裏日本で豪雪地帯の秋田市での生活はキツかったらしい。

この本には、19歳で、秋田市に流刑にされてしまったことの絶望とかふてくされ感が詳しく書いてある。南木佳士氏は、都市生活に憧れる文学青年だったので、秋田市は水に合わなかった。

入る気もない信州大学医学部(長野県松本市)を受験したら受かってしまって、他に行くところもなく、しぶしぶ、入学し、松本市に転居した自分が読むと、心に刺さる。

南木佳士氏は、下宿でふてくされつつも、秋田大学医学部に6年通い、卒業したが、私は3ヶ月で松本を引き払って自宅に戻って、そのまま信州大学医学部を中退してしまった。

今にしてみれば、「受かった大学の土地に住みたくない」なんて、贅沢な悩みだったと思う。衣食住には何ら不自由がないのに、同じ日本人が暮らす、数十万人規模の都市が嫌だというのだから。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?