思い上がりとわかっているけど

「手伝って」と言われてないのにやってしまうことがある。そのときに「頼んでない」と言われもするし、積もった頃怒られたりもするし、巡り巡ってその人のためになってなかったりする。井上は多かれ少なかれ「やってあげた」と感じ、いい気持ちでいるのであんまり他人に手出し口出しはするべきじゃない。わかってはいるのだけど。

夏から気になっていた知らない人に、ついに声をかけた。たくさん考えたけど、出来ることがあれば聞きたいしなければそれでいい。普段から偉そうに見えるらしいから、上から目線に感じられたら困るな、とくよくよしていた。だけどこれから寒くなるし、いつも同じところで見かける。しのごの言ってられないのでは。

言ってられないのでは、と決心するまで曲がり角でウロウロしたり立ち止まったり大変悩んだ。買い物帰りでエコバッグはパンパンで、何が失礼になるのかわからない。最近モロにアダルトチルドレンなのだなと気付けたけどこんなん治らない。知ってる人には全員から好かれたいし喜ばれたいぜ。

まぁけど見たところ相手も大人の男性、不必要なら不必要と言ってくれるだろう。「おこがましかったらすみません。何かできることはありますか」。これでいいやろ。きっと伝わる。「おこがましかったらすみません、何かできることはありますか」長くないか?いや、井上にできる最短だ。できたら半日話してから「何かできることは」って聞きたい。石橋を叩きたい。
不安しかないけど、声をかけないまま過ごすのはこちらがもう無理。

よし。向こうから見える場所から歩いて近付いて、膝をつく。「こんばんは。」
「は!?」声が小さすぎて聞こえなかったのか、外国語訛りのある「なんて!?」を挨拶の段階でうける。こりゃアカン。マスクを外した。よし。

「おこ「なんて!!?は!!?」
「おこがましかったらごめんなさい!何か出来ることありますか!?」
「は!!?ないよ!!ない!!」

そっか、ないかー。脳内反省会しながら立ち去る。
井上なんかよりしっかりしてはるんやわ。やからああやってられるんやろう。そやけど、アテはあるんやろうか。井上も思いつかないけど、かわりに調べたりはできるけどなぁ。
海外旅行も行ったことないのが悔やまれる。こんなモゴモゴしてたら誰にも聞いてもらえへん文化圏の人かもしれん。大きい声もそれはそれで大事。ハッキリ伝える、大事。
顔が怖かったのかもしれない。ビビりすぎて真剣な表情で話しかけてしまった。それで向こうも壁を作ってしまったのかもしれない。やっぱり基本は挨拶。次から大きな声で「こんにちは!」って笑顔で言うところからやってみよう。人間関係、ひと言ふた言で形成できない。

大きなお世話かもしれないけど、怒れるくらい元気だったしやっぱり好きでああして過ごしてるとは思いにくい。今世をデクレッシェンドしていくには若く見える。自業自得じゃなくても収入が途絶える今の日本、うーん。

今日結局誰にも話さなかったから、感じたことを残しておく。見返して、「アホやな、浅はかやったな」って恥ずかしくなればいい。

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