忍び猟&ちょっと巻狩り用のよくばりMSS-20カスタム術
スラムダンクでは三井寿が好きだ。スリーポイントシューターという強力な武器を持ちつつも、スタミナが足りないという弱みもあったり、過去に囚われすぎていたりする、その人間臭いところが好きだ。
今回はそんな猟銃界の三井寿ことMSS-20を、ただのスリーポイントシューターではなく、臨機応変に近距離でもビシビシッとシュートを決めれるようにしたい!
例える事でかえって良く分からなくりなりました。すいません。つまりは、本来は遠距離狙撃向きで忍び猟に向いた銃(逆に言えば、それ以外には向いてない汎用性の低い銃)であるスラッグ専用散弾銃「MSS-20」。それを時には巻狩りや近距離の動的射撃も対応できるオールマイティーな銃にしたい!そんなよくばりなカスタムについて書いていきたいと思います。
※そもそも、ハーフライフルをずっと愛用していた僕が、MSS-20に移行した経緯などは、以前の記事でまとめてますので、ご覧下さい。
■照門を外す
ドライバーを使って照門を外します。外した後、ネジ穴に再びネジをはめておきます。一度も使わずに外される照門・・・。
■照星を外す
照星を外します。写真は照星を外す途中の状態。ドライバーと、ハンマーを使って外す。照門と違い、外すのにちょっと苦労しました。(外した後の写真を撮り忘れました。)別に照星を外さなくても使用できますが、少しでも軽くするためと、枝への引っ掛かりを少なくしたいので。
■トリガーを軽くする
先台から銃身を外し、トリガーの重さを調整します。トリガー部分のネジを回すことで調整できます。これは好みですが、デフォルトの状態では僕にとっては重すぎたので、400gほど軽くしました。
■カモフラージュテープを巻く
先台から銃身を外している状態なので(トリガーの調整をするついでに)、カモフラージュテープを巻きます。自分が入る猟場に馴染むカラーを選びます。今回はMcNETTの雪上迷彩カラーを選びました。このテープ、粘着力が絶妙で、付箋のような緩めの粘着力で、剥がした後にベタベタすることもありません。愛銃にも気楽にグルグルと巻き付けることができます。
■スリングを付ける
「銃を背負うためのただのベルト」と軽視されがちなスリングですが、僕はすべらないスリングが絶対に良いと思ってます。銃身が長く、重いMSS-20を使ってみて、以前より更にそう考えるようなりました。
僕は忍び猟の際に、ルートによってはかなり急な斜面、場合によってはほぼ崖やろって所を上り下りする事がたまにあります(危険なので人には全くオススメしません)。そんな時は岩や木を掴みたいので両手をフリーにします。スリングで銃を背中に斜めがけにして背負った状態で二本足ではなく獣と同じように四本足で崖を登る(または降りる)のですが、この時、スリングがズルっと滑ってしまって銃身が地面に付いたり、スコープをぶつけたり、銃口から雪や異物が入ったりしてしまう事は絶対に避けたい。安全面からもスリングはすべらない方が絶対に良いと思っています。
そんな理由から、LIMBSAVER(リムセーバー)社の「KODIAK AIR FIREARM SLING」にしてみたところ、これが、めっちゃ良い。
肩に当たる部分が柔らかいゴムの様な素材でして、ビタっと肩にまとわり付く感じで全く滑りません。これまではBUTLER CREEK社の「ウルトラスリング」を使ってましたが、その3倍くらい?すべらない。
肩にあたる部分の幅も広く、重さが肩全体に分散されて楽です。しかも穴が沢山空いてて蒸れにくい。握る位置を調整できるアジャスタブル・ハンドルが付いてますが、個人的にこれは無くても良いかも。
価格は1万円ちょいとスリングとしてはそれなりのお値段ですが、全く後悔はしてません。
取扱店が少なく、ネットで↓から買いましたが、本家のアメリカのサイトを見るとカラーや太さのバリエーションもあって、価格も安いようです(個人輸入の場合、輸送費でかえって高く付きそうですが)
■スコープ&レールの取り付け
自分の狩猟スタイルに合うスコープは・・・
いよいよ肝心なスコープ(とレール)の取り付けです。銃と同じく照準器を何にするかは、その猟師の猟のスタイルが最も色濃く出る部分ですよね。
僕の場合、忍び猟中に一番多く発砲するであろうメインの距離は50〜60mくらい。一か八かの遠射よりも、なるべく近づいてバイタルを撃ちたいので、100m以上でもたまに狙うけど、圧倒的に50m前後での発砲が多いです(そうなるような立ち回りをします)。また、忍び猟とは言え、意外にも30m前後の近距離で発砲する事は多い。(前回の記事参照)
更に、MSS-20ユーザーとして一般的ではないようですが、僕としてはたまには巻狩り等での動的射撃にも対応したい。
そうなると以下のような条件を満たすスコープとなります。
これら条件の満たしたスコープとしてLeupold社の「Mark 4 CQ/T 1-3x」をチョイスしました。古いスコープでして、現行品ではなくデットストックもの。CQ/Tとは「Close Quarter/Tactical」=「近接戦闘」を想定したスコープなので倍率は1×3倍と控えめ。そしてレンズが飛んでもなく明るくクリア。僕のMSS-20の使用条件にピッタリです。値段は張りますが、光学機器はケチってはいけない、と僕は考えます。
尚、これまでメインで使用している銃「Savage220」で使用しているLeupold社の「VX-6」をMSS-20に付けるという案もありましたが、しばらくは2丁を併用したいと(この頃は)考えていたので、それはやめました。
マウント問題勃発
さて、銃への取り付けですが、問題はマウント方法。「Mark 4 CQ/T 1-3x」はマウントリングが使えない構造(スコープ本体とベースに取り付ける機構が一体化してる)であるため、MSS-20のメーカー側が推奨しているセパレートタイプのマウントでは取り付けできません。そこで、止むなくワンピースタイプのLEUPOLD社「A-Bolt LA用 ピカティニーベース(MSS-20用)171347 20MOA」をベースとして取り付けました。
ただ、これはやはりと言うか、実際に運用してみた結果、まったく推奨できません。ワンピースタイプのベースですと排莢のためのスペースが足りなくなる様で、二発目のスムーズなリロードができず、頻繁にジャムります。
そんな不満はあるものの、今のところは「初弾で当てれば問題なし!(強がり)」と自分に言い聞かせ、無理やり納得してます。
このリロードがうまく出来ない、いわゆるジャムり問題については、近々ベースをセパレートタイプに替え、スコープも別のものにするなどしてどう改善するかなどを検証してみたいと思ってます。
■スコープカムを取り付ける
獲物の捕獲に必須の要素ではありませんが、発砲時の様子を記録できたら良いなと考え、スコープの上に「ScopeCam 2」を直接取り付けます。「Mark 4 CQ/T 1-3x」のボディの上と右にピカティニーレールが標準装備されてますのでそのまま取り付け可能ですが、ちょんまげの様な見た目になり不格好ですね・・・。まぁ、見た目よりも機能優先で。
参考までにこんな感じ↓の映像が撮れます。MSS-20で距離は60mくらい?心臓あたりにヒットし、数メートル逃げようとしますが、その後に転がり落ちてます。
銃口の方向を撮影できるスグレモノ、ですが、構造上、発砲と同時に激しくカメラが揺れるので使える映像はなかなか撮れないのですが。
GoPro系のウェアラブルカメラだと、逆に画角が広すぎて獲物が小さく映るというジレンマ・・・。狩猟時の映像を残すのは難しいですね。
■チークパッドを取り付ける
MSS-20のSTDとCP
チークパッド、銃床について述べる前提として、MSS-20には、「MSS-20 STD(スタンダード)」と、「MSS-20 CP(チークパッド付き)」の2種類があります。主な違いとして、CPモデルは銃床の頬付けする部分の形状がボコっと膨らみ高くなってます(下の写真を参照下さい)。定価も5万円程高くなります。また、スリングを取り付ける金具がありません。狩猟用というよりも競技射撃用といった感じでしょうか。
僕の場合、今後スコープ等の照準器は色々と試したいし、後付けのチークパッドで自分好みに高さを調整できた方が都合が良い。また、猟場ではスリングも必須ですので、STDモデルを選びました。
ハイマウントとローマウント
スコープを銃に取り付けるにあたり、スコープの高さをハイマウントとするか、ローマウントとするかは、要検討の項目です。
ローマウントのメリットとして、銃軸線と照準線との差(パララックス)が少なくなる点が挙げられます。銃軸線と照準線が交わる際の角度が浅くなるため、ゼロイン地点の距離から、実際の獲物の距離が前後にずれた場合の上下のズレ幅が少なくなる(距離変動による影響・誤差が小さくなる)という大きなメリットがあります。
ハイマウントのメリットは覗きやすい。それだけ?という感じですが、視界を広く確保したい場合や動的射撃が多い場合などにはこれも大きなメリットになります。
「Mark 4 CQ/T 1-3x」は近接戦闘用のスコープ。直銃床(銃床が銃身と同軸上にストックが後方へ伸びている。銃身軸上に銃床が位置するため銃の跳ね上がりが少なく、連続射撃時でもコントロールしやすい利点があり、軍などで多く採用されている。)の銃に頬付けした状態で視界を確保しながら進むことを想定しているため、スコープ自体がハイマウントの形状です。スコープの銅鏡の下部に単三電池を入れる筒(バッテリーパック)があり、それがマウントブラケット(マウントリングの役割)も兼ねており、自ずとハイマウントになります。
僕としては、ローマウントが好みなのですが、今回はこのスコープの構造上、強制的にハイマウントとなるので、それに対応できるチークレストを選ぶ必要があります。
選んだチークレストは
MSS-20 STDは一般的な猟銃に多い曲銃床(銃身に対して斜め下にストックが伸びている)です。そのまま使用すると、ややハイマウントのスコープに対し、目の位置が低すぎる(頬付けが甘くなる)ので、後付けのパッド等で頬づけの高さを上げる必要があります。
始めに、むにむにした感触のBeartooth Products社のネオプレンのモノも試しましたが、どうもしっくりこない。もっと固い可変式のものにしようと考え、Bradley社の可変チークレストに落ち着きました。カイデックスという硬い樹脂性で、高さを前と後ろそれぞれで4段階調整できます。マジックテープで固定するタイプという事で、使用前は不安でしたが、全く問題なし。がっちり固定できます。価格は2万円以上とそれなりにしますが、大満足です。
■マスキングテープをペタペタ
最後に小ネタ。とは言え、僕としてはかなり重要なひと工夫です。銃口を塞ぐようにマスキングテープを貼って、銃口からの異物の混入を防止します。
更にスコープや銃本体にもペタペタと。
多少のカモフラージュ効果(MSS-20のツヤツヤの塗装は好みではありません)と、撃った後に再び猟を続行する場合、これらのテープを剥がして再び銃口に貼り付けます。マスキングテープ1本をまるまる持っていく必要がありません。見栄えはよろしくないですが、やはり見た目より機能優先で。
■カスタムはつづく
ということで、これでカスタム、調整を一旦終え、猟期に突入しました。
遠距離狙撃向きの銃に近接用のスコープを取り付け、ローマウントが好きなのにハイマウントに対応するためのチークパッドを取り付ける、という何だかヘンテコな状態。中長距離をメインにしつつ、近距離にも対応したいという自分の猟のスタイルに合わせた結果ですが、これをオールラウンドと言えるのか?
とは言え、1シーズン使ってみて、それなりに獲物は捕れましたのでとりあえずはヨシ!と考えたいです。
ですが、上で述べたように、ジャムり問題の解決のために、まだしばらく試行錯誤は続きそうです。(これもまた楽し)