DDT 2014.9.28後楽園大会雑感
毎年両国明けの一発目の9月後楽園はDDT新シーズンの始まりという気がしてとても好きな大会です。
今日は総選挙。
4年連続で同じ人に入れました。
1、大石真翔&勝俣瞬馬 vs MIKAMI&ゴージャス松野
試合前半、松野さんが勝俣くんをリードするような場面があって「すげーなー松野さんが若い子を教える日が来たよ…」と感慨深かった。
2、KUDO&坂口征夫&マサ高梨&赤井沙希 vs 伊橋剛太&中澤マイケル&松永智充&星誕期
伊橋が変なサングラスしたり、スマホでやたら自撮りしたりポーズとったり、おかしな高橋裕二郎みたいなキャラになっていた。
赤井さんのキックをつかまえたマイケルが足をなめるという攻撃?を見せてたがいろいろギリギリだなあ。
3、アントーニオ本多 vs 佐々木大輔
縁の深い二人のシングルがここで組まれたということは何かあるのかな、と思ったが特段何もなくアントンプロレスだった。
試合は佐々木がクロスフェイスロックで勝つのだが、途中、佐々木がコーナーからドロップキックにいく際にモンスターアーミーの頃によくやってた敬礼を一瞬したのが胸アツポイントだった。
4、HARASHIMA&ヤス・ウラノ vs スーパー・ササダンゴ・マシン&DJニラ
後楽園の第四試合にKO-Dチャンピオンがこういう試合を組まれるのは異例だな…と思い見てたらササダンゴが試合前にHARASHIMAの控室からHARASHIMAが使っているコンタクトレンズを盗んできたことを報告し、それをニラが飲み込み(!)、片目を抑えて入場してきたHARASHIMAを抑えつけてもう片方のコンタクトレンズも奪う、という残虐な試合展開。しかし眼科医でもないのによく他人のコンタクト取れるね…。
距離感をつかみ損ねたりササダンゴにマスクを被せられたヤスに蒼魔灯を放ったり近眼の混乱ぶりをリングで発揮したものの、最後は鶴見亜門GMのメガネを借りて試合することで普通に終了。って、メガネって他人の合わなくない?
5、KO-D6人タッグ選手権試合
<王者組>石井慧介&入江茂弘&高尾蒼馬 vs 高木三四郎&大鷲透&平田一喜<挑戦者組>
平田の東京に行きたくなる曲ダンスはついにバックダンサーをつけるところまで来てしまった。って、あれ福田と誰かだよね。
この平田マグナム化路線はどこで決着をつけるのだろう。最後は大道塾の黒木克昌さんが出てきてしまうんだろうか。
何気に大社長と鷲関がドリフの3人と真面目に戦ってるのは新鮮でよかった。
最後は平田が入江に押し込まれながら一瞬の丸め込みで3カウント。うわ平田がちゃんと勝ったのすげえ久しぶりに見た。
でも考えたら平田もチームドリフにいておかしくないキャリアなんだよな。
そろそろ真面目な試合に戻ってもいいと思います。しかし平田は大社長から愛されてるなあ。
休憩明けに発表二つ。
・10月に駒沢公園で行われる東京ラーメンショーに元PRIDEの小路晃さんがやってるラーメン屋とコラボして出店。路上プロレスも計画。
・現在デビュー前の練習生が宮武含め6人いるが(一人沖縄修行中)、彼らに勝俣とユニオンの河村を加えた8人でDNA(DDT New Attitude)というプロジェクトを作る。旗揚げ戦は11/28北沢タウンホール。
DDTとは別の新しいブランドを目指す。
プロレスファンのイメージはWWEにおけるNXTなんだろうが、おそらく大社長のイメージはEXILEに対する3代目J Soul Brothersなんだと思う。
面白そうだなあ。旗揚げ戦行こうかな。
6、DDT EXTREME級選手権試合
<王者>男色ディーノ vs 彰人<挑戦者>
※ルール当日発表
今回のルールはディーノが事前に用意した9つのルール(1カウントで勝利、英語禁止、痛がったら負け、練習生クラッシュで終了、3カウント後に脱ぐで終了、3カウント後に掘るで終了など)の中から試合前に木曽レフリーがくじを引いてどれになるかを決め、レフリー以外戦ってる当事者も観客も何で決着つくかはわからない、ノーバディノウズルール。
ってこういう人たちがいて、 http://ja.m.wikipedia.org/wiki/Nobodyknows%2B
彰人の入場テーマ曲がその人たちの曲、というのはどれだけ伝わってたのだろうか。
それはさておきルールがルールなので試合は二人とも手探りで、なんかやるとそれで決着かどうか木曽レフリーを見て、そのたびに木曽さんが「セーフ」ってやって観客も選手も安堵する、ある意味木曽さんが主役みたいな試合だった。
結局どれがルールなのかわからないまま、彰人が「3カウント後に告白」という候補に従いディーノに「ずっと好きです」と言うとそれがルールだった、ってことで決着、観客も「あ、それなんだ」みたいな感じで戸惑いつつ拍手、みたいな微妙な空気になってしまった。
いろんな意味で手探りだったね。
彰人はエクストリーム王座について「自分にしかできない自由な戦いをしたい」とのこと。さて何をしてくれるんでしょうか。
メイン、KO-Dタッグ選手権試合
<王者組>飯伏幸太&ケニー・オメガ vs 遠藤哲哉&竹下幸之介<挑戦者組>
KAMINOGE最新号の高木三四郎インタビューから引用。
「もともと試合の部分に関しては、2009年に両国に進出した頃からよそと比べて遜色のないものを出しているという自負があったわけです。だけど、ボクのやってるデタラメな部分であったり、男色ディーノの存在だったり、マッスル坂井の存在だったりが『それはそれで好き』って人をのぞけば、やっぱり見た目的には『なんだこりゃ』ってなっちゃうから(笑)。
そういうネガティブ層が足を引っ張ってるだけで、別に飯伏とかHARASHIMAを中心に、そこに竹下や遠藤を加えた、そのあたりの選手の試合に関しては、クオリティは全然ほかより落ちてないんですよ(後略)」(KAMINOGE Vol.34)
この試合が決まって以降、ケニーは一貫して竹下と遠藤を下に見る発言を繰り返した。一緒にされては困る、というのは本音だろう。だがそこには明確に下からの突き上げに対する焦りと恐怖がかいま見えた。
この5年、DDTを引っ張った自分たちが別の人間に取って代わられるかもしれない。ケニーは本当に嫌だったのだろう。それはケニーのDDTへの思い入れの強さの裏返しでもある。
が、DDTの座長である大社長の頭の中には看板商品として飯伏、HARASHIMAに並んで竹下、さらには遠藤まで入ってるということが明確になった。
2014年9月時点で今日のタッグマッチは「格上のゴールデンラバーズに竹下、遠藤が挑む」であるが、もしかしたら我々が考える以上にこの四人は近いところにあるのかもしれない。
リングに登場した時点で、飯伏とケニーの「横綱感」はハンパなかった。
そこに挑むのに竹下はまだしも、遠藤は明らかにまだ早いように見えた。
実際、試合開始から遠藤がつかまる場面が長かった。
遠藤が飯伏&ケニーの厳しい攻撃をなんとかクリアしていき、竹下とともに反撃を始め、ムーンサルトで最初のチャンスを作ったとき、「20分経過」というアナウンスが流れた。
その時点で竹下がほとんど技らしい技をまだ出してなかったことに気がついた。あれ、と思った。
飯伏とケニーはどんなに攻め込まれても一瞬で空気を変えてしまう攻撃ができる。
遠藤が繰り出した連続攻撃を一発の打撃で止めて、そこからここまでずっとフィニッシュで使ってきたPKこころ(合体技)が出たとき決まったように思ったが竹下がカット。
が、今日の竹下はカットに出たのはこのときともう一度くらいで、遠藤がどんなに厳しく攻め込まれてもずっと我慢していた。
あそこで竹下が何度もカットに出ることなく我慢して、遠藤が自力で返したことで「ゴールデンラバーズの空気」が徐々に崩れていったように思う。
最後の竹下の高角度ジャーマン→タッチダウン→遠藤のスカイツイスタープレス→初公開の竹下のクロスアーム式高角度ジャーマンの畳み掛けは本当に見事だった。
今日は遠藤がすさまじく頑張ったのと同時に、竹下が「メインイベントの戦い方」がもうなんなくできていることに驚いた。
試合後、飯伏とケニーはリングを降りることなく、マイクで勝利の喜びを伝える竹下と遠藤をコーナーの反対方向から見ていた。
竹下がマイクで締めると、飯伏は小さく拍手をした。
天才、ゴールデンスター。飯伏さんはずっとプロレス界の救世主のように言われている。圧倒的な期待をされて、それ以上に応えてきている。いくらなんでももう明確に自分というレスラーがプロレス界でトップにいるという意識はあるだろう。
にもかかわらず、飯伏さんの中ではそれ以上にDDTに対するフォア・ザ・チーム、フォア・ザ・カンパニーの意識が上回ってるんじゃないか、そんな気がしてならなかった。
そしてケニーにも。
ただ、ケニーのフォア・ザ・カンパニーの意識は飯伏さんのそれとはちょっと違うだろう。
そこに自分がいないことには意味がない、というような意識があるんじゃないだろうか。
マッスル坂井、男色ディーノ、高木三四郎が人々の注目を集めるような試合をし、素晴らしい脇役たちが華を添え、飯伏、ケニー、HARASHIMAが美しいプロレスで観客を魅了する。
おおざっぱに言ってしまうとこの5年DDTはそれで成長してきた。
その構図がそろそろ変化しようとしている。
どの部分が崩れ、どの部分が変容し、どこから今まで思いもよらなかったものが生まれるのか、まだそれはわからない。
それは見続けることでしかわからない。
わたしたちの時計は巻き戻すことができない。
戻せないから、前を見ていくしかない。
プロレスを見ているといつもそのことに気付かされる。
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