ニュータイプとパーメット

宇宙世紀におけるニュータイプは、平たく言うと「超勘のいい人」宇宙という広大で過酷な空間に適応するため、言葉なしで会話したり、感覚を広げて認識力が高まる、という超能力者
その脳の感応波を使って機械の制御をしようというのがサイコミュシステムで、人間が覚醒して超能力者に→その力を利用して機械の制御に→その制御で多数の兵器を操る、というのが宇宙世紀のビットだった

アドステラ世界では、機械と人間を繋ぐパーメットという物質が発見され、ガンドフォーマットという謎システムで、パーメットリンクというこれまた謎の数値を上げるとビットまで使えてしまう
その代償として、超能力に覚醒した人間でもないのでビットまで使うと廃人化する、というリスクが

宇宙世紀での超能力者、ニュータイプへの覚醒と、それによって扱えるサイコミュシステムを全部受け持ってるのが「パーメット」という便利要素
このパーメットは更に、素材や推進剤への添加で便利な機能を発するという万能ぶり、通信技術にも使われている?

そして宇宙世紀では、覚醒するかどうかは不明なニュータイプを人工的に再現しようとしてのが「強化人間」で、強化することでサイコミュを使うことができる

アドステラ世界では「強化人士」がこれに当たるが、宇宙世紀と違ってパイロット側に適正は必要ない、その代わり使うと廃人化するので、その廃人化までを「引き延ばせる」ようにした人
方法としてナノマシンとバイオテクノロジーが使われているらしいが、基本としてデータストームという、パーメットスコアを高めた時の反動ダメージに「耐性」がある人間を選出する極めて原始的な手法が取られている

強化人間にしても適性があるなしはあったように思うが、強化人士の方はそもそもニュータイプという概念がないため(勘のいパイロットは数名いるが)ビットを操るには死ぬ覚悟がない以上は強化人士しか乗れない、という事情になっている
しかもそれすら耐性が高い「他の人より我慢できる」だけだから、息を止めて潜るのと似たように、己の限界を超えれば死んでしまう

おまけ的に、宇宙世紀ではインコムという簡易型サイコミュがあり、三次元的な複雑な動きはできないけど、2次元的に動く有線式のビットが存在する
アドステラにも有線式のサイコミュがあり、これは何故かグラスレー社のモビルスーツのみが採用している
CEOの性格的に最もガンドフォーマットから縁遠いはずの会社のモビルスーツのみが、ガンドフォーマットに似たインコムもどきを使い、かつパーメットリンクを阻害する電子対抗装備「アンチドート」を搭載している
怪しさしかないが、2期ではストーリー展開からグラスレー社の事情に踏み込まざるを得ないので、この実態にはさすがに触れてくるだろう

こうやってまとめてきて思ったのが、強化人士は結局のところ宇宙世紀で言うニュータイプなのじゃないだろうか
人工的にブーストされているが、素の状態でパーメットに適応能力が高い人間ということで、ガンダムのような高パーメットの機体が普及すれば、いずれより適性の高い、強化人士のように「調整」が必要ないナチュラル強化人士、つまりニュータイプが生まれるのじゃないか

それを暗示するように、ガンドフォーマット搭載機「ガンダム」に乗るソフィとノレアの二人は、勘が良かったり偶然にも同じガンダムパイロットのスレッタと引き合う、といった「ただの勘の良さとは少々異質な」部分を垣間見せている

とは言えデータストームの正体や仕組みが全く不明、パーメットが情報共有能力があり、モビルスーツが人体より巨大、かつビットで人体にない器官を動かす無茶から、情報量が増えすぎて負荷がかかる、と思っていたし、ニュースなど一部の情報ではそのように言われていた
ところが12話でソフィが「心臓痛い、息できない、吐きそう」と訴えている
つまり、情報にしては脳へのダメージを訴えていない

脳に痛覚はないものの、情報が多すぎて錯乱する様子が現状どこにも出てこない、小説でナディムの知覚が不安定化しているものの、あくまで感覚であるし、パーティーの続きを夢のように見ているが、あれすら量子力学での「多元宇宙」無数にある並行世界の一つを観測しただけで、情報による脳へのダメージとはっきり取れるほどではないように思う

説明が増えるので省いたが、パーメットは宇宙世紀におけるニュータイプ、サイコミュと、更には恐らくミノフスキー粒子の万能性質、ガンダリウム合金やサイコフレーム、宇宙世紀も超えてGN粒子にまで発展する性質をも兼ね備える要素として設定されていると感じる
しかもそれはそれなりに科学考証され、ありえそうなラインで設定されているので、この作品だけで完結させるには惜しい広がりが見える

水星の魔女として3期以降をやらずとも、外伝的に広げていってほしい面白い世界観、個人的にはキャラクターのカップリングよりこちらに惹かれているので、ぜひ色々と展開が見たい

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