赤と緑のシェルユニット


シェルユニットあれこれ

劇中では3種類のシェルユニットが登場する
もう一つ疑わしいのがあるが、それはシェルユニットと呼ばれてもないので今回はおいておく

右下以外はシェルユニットとは呼ばれてない

一つはヴァナディース製の本当の意味でのシェルユニット、ヴァナディース製のルブリスと、そこからシェルユニットを取り出したウルとソーン、出自のはっきりしないエアリアルも形状は同じなのでとりあえず同じものとしておく

ルブリスは量産型も同じ
パターンがほぼ同じなので同型としておく

同じくガンダムを名乗るファラクトにもシェルユニットは搭載されている、形状のパターンがかなり違うが、ビットの動きが遅かったり、操る際に本体の動きがほぼ止まる点から、ルブリスのオリジナルより機体とパイロット間の情報の処理能力が低いのでは、と疑える

パーメットスコア4時の発光が強まるし、シェルユニットではあるのだろう

これに対しもう一つ「シェルユニット搭載」を名乗る機体がある。主人公機以外で最初にビットも操った機体、ダリルバルデだ

発光前
発光したシェルユニット、色は緑

この当時はまだ大した情報もなく、グラスレーのモビルスーツには紫色の発光部位があるからシェルユニットでガンダムだ、と思われていたが、結果あれはシェルユニットという説明もなければガンダムとも呼ばれず、むしろCEOサリウスがガンダム嫌いなのでガンダムであるはずもない、とされた

更にガンダムルブリスのウルとソーンは、その名の印象と違って正式なガンダムの継承機体ではないらしく、シェルユニットこそ搭載しているもののそれは元々ついているルブリス量産試作タイプからOSごと取り外し、再利用しているだけだからガンダムの開発技術を継承した「魔女」が携わった機体かどうかすら疑わしいものがある

これらが判明して振り返ると、ダリルバルデという機体の異常性がわかる

ダリルバルデはガンダム以外唯一のビット搭載機

ガンダムではないのにビットを搭載している。シェルユニットと疑わしき紫の発光部位を持つグラスレーのモビルスーツも、なぜか遠隔操作できるものが必ずある、という謎の共通点があるが、こちらは有線式の上ビットとは呼ばれない(旧作的にはインコムとかサイコミュと呼ぶべきだろうか)

相手の電子系を止める電子対抗装備「ノンキネティックポッド」アンチドートの有効範囲拡大のためか有線で伸びる
戦術複合装備「ビームブレイザー」これにもアンチドートは搭載されているらしい
何故シールドが有線に?と思ったが、この盾からもアンチドートを放出?できるとのこと

そんなグラスレーに対してダリルバルデのは明確に「ビット」であること、シェルユニットが搭載されていることが明かされている

このビットは、ダリルバルデに搭載されたもう一つの特殊な機能「意思決定拡張AI」により制御されている
AIが制御している証拠として、序盤のダリルバルデも搭乗者の意思を無視して防御するも、それ以外は搭乗者の操縦で動いていた

それがなくなり、搭乗者の意思と無関係に動き出したのはビットを使い出してからである
序盤はあくまで機体を攻撃から守るための防御反応「死にたくない」から身を守ったに過ぎない

で、なぜそこから制御を一切受けず動き出したのかは不明だが、ともかくAIの制御に入る前に搭乗者がビットを使おうとしておらず、使用し出してからはAIが全て操縦しているので、ビットに関しては完全にAIしか動かしていない、その事だけは確か

とすると、あのシェルユニットの発光が緑であった点が気がかりになる

赤と緑と青

シェルユニットは疑惑の紫を除けば3色に分けられる
通常の赤、高スコアの青、そしてダリルバルデの緑。この中でAIがビットを制御し、苦しむ様子も異常をきたす様子もなく動き続けたのはダリルバルデの緑色の接続だけである

シェルユニットが赤で、搭乗者エリクトが青の場合も苦しむ様子はなかったが、この接続の場合「その時苦しまなかった」だけで、その後身体など影響があったかどうかわからない。単にその様子が描写されてないだけならそう気にすることもないのだが、エリクトはその後一切作中に現れない、どころか完全に行方不明。問題がないと考えるのは楽観的すぎる気がする

機体側、エアリアルのシェルユニットが青の場合はもっと問題で、この際、いやスレッタは常にパーメットのあざが浮かばないので、この青い高パーメットの状態がなんであるのか一切わかりようがない
事実はともかく見た目機体とリンクしていないのだ、シェルユニットの反応と一切切り離されているため、あれが危険かどうかなど一切知りようがない

エリクトが苦しまなかったのだから、シェルユニットが青く光るスコア6は安全域だ、とするには証拠はここまで何一つ示されていない

これに対しダリルバルデの場合、明確に「AIとモビルスーツが接続された発光」であり、人体が介在していないことが搭乗者グエルの反応から見て取れる。あの接続は搭乗者の意思で操縦できない問題を除けば、呪いを受けない安全安心なガンダムを成し得ている

ダリルバルデから見えるエアリアルの謎

ダリルバルデは明確にAIによるビット制御、その相性の良さを示すようにシェルユニットの発光は緑だったわけだが、問題なく使って見えるエアリアルのシェルユニットは赤に発光する

エアリアルのビット制御にAIが使用されている疑いがあるけれども、であればなぜダリルバルデと同じ緑にならないのか
これはそもそも開発元が違うからシェルユニットの構造が違うため、と単純に考えることができるが、それだとヒントの少ないこの作品において貴重な比較対象が何の参考にもならなくなってしまう。のでここでは一応あのシェルユニットもエアリアルやブリスのそれと同じ規格で発光すると仮定する

であるなら、エアリアルの接続先はAIではない、という疑いになる
エアリアルのAIはエリクトと接触して「目覚めた」AIだから、或いはその目覚めたルブリスを参考にして作られたものだから、という意見があるが、その場合ダリルバルデの反応と比較して違和感が出る

前述の通り、ダリルバルデは操縦を全て奪う前から「身を守るための防御」を行うために操縦を奪っている
エアリアルはどうだろうか?スレッタが制御しているためか、数少ない決闘で勝利してはいるものの、無傷で終えているものはほとんどない

ダリルバルデが「死にたくない」という「本能」で動いて見えるのに対し、エアリアルはそれが見えない
確かに決闘に負けてしまう、そういう絶対のピンチの際にはむしろ勝手に動いて見えるが
これが人格に「目覚めた」AIの仕草だろうか?

自身の体である機体を壊されたくないから、普通の攻撃でも防ごうと動くダリルバルデ
多少のダメージは気にしないが、搭乗者の命や権利が脅かされると過剰とも言える抵抗を示すエアリアル

前者が当事者として反応して見えるのに対し、後者は何か他人事のように思える
勿論普通のAIより高い意志に目覚めたので、本能的な部分を抑えて自己犠牲の精神を見せられるまでになっている、と考えることもできる。が
小説「ゆりかごの星」でも、エアリアルは自分のことのはずなのに、スレッタの操る自分自身について他人事のような反応を続ける

こうなると、スレッタに代わってエアリアルのビットなどの制御を行っているのはエアリアル自身と言えるAIでなく、同じくAIの中に取り込まれた、などエアリアル自身と一体化した「何か」でもなく、エアリアルという機体の外にあって安全の確保された「どこかの何か」ではないのか

そう考えればエアリアルを決闘の場という、ある程度の安全が確保されているとはいえ戦場に放り込み、12話ではその安全すら確保されない本当の戦場に、ねっとりとした視線で「娘」と見るエアリアルを投入するプロスペラの行動に違和感が無くなる
彼女が見ているのは「エアリアルの先にいる何か」であり、それはエアリアルと接続してはいるけど、エアリアルの中にはいないのだから

ビット使いに定評のあるダリルバルデ

ビットの使い方に関してはダリルバルデが他のどの機体よりも上である、とは以前より提唱し続けている

背後に回ったエアリアルの一撃を、振り返ることもなくシールドビットで受ける防御、ビーム射撃でなくビームサーベルで突撃するので、ビット自身の質量と慣性でエアリアルの体の向きを変えてしまうほどの攻撃、これはうまくすれば相手の体勢を崩して必殺の一撃を叩き込める

また、攻撃用のビットと防御用のビットが明確になっているため、攻防一体の戦術も見せている。むしろこれができるのに、なぜ放熱処理で水を散布する前や止まった後、向こうのわかりやすい罠に引っかかってしまったのか。攻防一体の概念があるなら、避けつつ次の攻撃につなげる動きや、相手のそれを見抜いて先回りすることもできそうなものだが

いずれにせよ、これも前から言っているが、ダリルバルデ戦以降エアリアルはその戦術を取り入れている
背後からの攻撃は9話で防ぎ

正しくはエアリアルの背後じゃないけど

6話ではファラクトの攻撃を防ぎつつ、2つ別にしていたビットで相手のビットを撃ち落とす、という、ぎこちないながらの攻防一体を披露した

8枚で1つのビットを庇い
残る2枚でファラクトのビットを撃破

これらビットの制御に長じている他、足のシャクルクロウ以外の武装は全て的確かつ十分に機能を発揮したように、ダリルバルデは己に搭載された機能を十分に理解している

そう考えると、エアリアルは3話でダリルバルデと決闘するまでビットの使い方が一辺倒で、集団で襲いかかかるだけの単調な動きだった

「ゆりかごの星」ではビットを使用していないのでまだ完成していなかった可能性もあるが、いずれにせよ自身に装備された機能であるにも関わらず、ダリルバルデと比べて「扱う」というレベルに達してない、機能を「理解」していない印象だ

その点でも、エアリアルのビット制御がAIによると思いにくい
それに対して、グエルの言うところの「わかりやすい罠」を使って見事ダリルバルデのAIをひっかけている。その操作がスレッタでない場合もスレッタである場合も、どちらでもその操作がAI以外の思考パターンである、と捉えることができる

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