「透明なラウダ」からつながる話


というわけでツイッターから続きで


事の発端はある人がつぶやいた「ラウダが透明になってて、そういうところから見ている感じがする」などの感想から気づかされたことに始まる

ラウダに自我が感じにくい、兄の影に収まって、兄の影響しか見えない、そういったことだと受け取った
「兄の先に父を見ている」も鋭いなと思った、これは「本気で兄を心配してたら自分で探しに行く」という感想とつながっている、後を任されてそれを放り出せない性分ってのを含めたとしても、確かに授業に出てる場合じゃないって捉えるのは自然だよ

この必死さの足りなさ、自分が何でありたいかわかってない点がスレッタとほとんど同じ。言われたから寮長を、そして2期では恐らく社長を引き受ける、誰かに言われたから
それは温室を任されたスレッタと似たようなものだ、それどころか「同い年なのに弟」という立場もそれを示すのか…?

兄を取られたようで憎んだだけじゃなく、自分に似ているのに兄の関心、父の関心まで得たスレッタに対する怒りか?近親憎悪と、その相手が成功している妬み、けどそれは自分と、父や兄に言われたことだけやっている自分と違って、決闘して「進んだ」からだと理解している、自分ができなかったことをやっているスレッタが羨ましくて妬ましい

と考えると、インタビューで言ったという阿座上氏の「愛と憎悪両方ある」もラウダと同じ、憧れでもあるが先を行かれる妬ましさもある
自分と同じようにうまく自分を表現できないのに、はっきりものを言えないやつだと思ったのに、決闘で負かされるわ、自分ができなかった相手を認めて尊敬し褒めることもできて、そこに憧れる

と同時に、なぜ自分はそれができなかったのか
スレッタは学園に残りホルダーとして自分の進むべきだった道を進んでいる、自分だってああなりたかった
「スレッタ・マキュリーに進めていない」は、憧れになりたい気持ちでもあり、憧れに程遠い自分への怒り、憧れへの反転した怒りも含んでいる
少なくとも阿座上氏は、そういう気持ちを演技に乗せたのでは

「死ねない、死にたくない」の台詞もそこに含まれる、スレッタ自身に進めてないという気持ちと同じくらい、なりたい自分をようやく見つけたのに進めてない、成し遂げずに死にたくない

そう考えると「ドミニコスのエースパイロットの座」も、スレッタの「やりたいことリスト」と同質の、漠然とした「憧れ」なんじゃないか

エースの件は以前より「俺はお前も会社も全部手に入れてみせる」と言ったのにエースになるって、それじゃ会社はだれが経営するんだ?という矛盾が指摘されていた
会社とミオリネの件は「父から言われたから」果たすべき目標で、この点で1話のグエルは弟と同じ「父に認められたい」欲求があった

そしてこれも弟と同じく、父の卑怯なやり方に反発する気持ちがあり、それが会社の後を継ぐ以外の道、エースパイロットだったのでは
けどそれは漠然とした夢、本気で目指すなら父の望みなど聞かずに学園をさっさと去ってでも目指せばいい、その点で地球へ逃げる「ふり」をしてたんじゃないか、というミオリネとも同じか

更にはラウダのことも
「ドミニコスのエースパイロットの座~」の時、一瞬だけ髪をいじるあれ
感情を抑える時の仕草ではないか、と疑われているあの癖が何故出てくるのか、いろいろ考察があったわけだが、ここまでを踏まえると「自分と同じように父に逆らえない」兄が自分と違う点、父の希望に逆らう「夢」を持っていること、その事への羨望が一瞬顔をのぞかせ、それを抑え込むためだったんじゃないか、という新たな仮説をここに

立場にがんじがらめの自分と違い、ずけずけ物が言えるミオリネに憧れるくせに、言い訳をしてミオリネに進めなかったシャディクとも立場が非常に似ている、何もできず動けなかった点が

他の子たちも大体同じく「自分がどうなりたいかわからない」あるいは自分をどう表現したらいいかわからない、そういう部分があるように思う

ニカも戦争は嫌で、その道具であるガンダムを兵器として売ることに、声高に反対はしなかったが表情が物語っていた
でありながらフォルドの夜明けの連絡係でもあり、戦争のきっかけを作る組織に所属している矛盾、それにきっぱり嫌と言えない

オジェロも「金は好きだけどモビルスーツを作るつもりはねえ」と、ならモビルスーツ製造大手の専門学校に何故来てるのか
大手だから卒業すればいい会社には入れて儲かる、が、ベネリット傘下なら兵器としてのモビルスーツと関わらずにはいられないだろう

ヌーノも、一見達観して見えるがあれは単なる「あきらめ」に近い、程度は違うが4号が生きるのを諦めていたのと同じ

マルタンも、スペーシアンには逆らえないと思うなら割り切って媚びへつらいゴマをするまで行けばいっそ楽になれる

ミオリネも、自信満々に見えて、そうでなくても迷いながらも進むしかなくどんどん進んで見えるが、会社を設立したけど何のビジョンもなかったり、進ませてくれたスレッタとぎくしゃくしたら、心の支えが無くなって不安になったり、支えてほしくて「任せてって言ってよ」と泣きついたり

学生なんだから取り立てて言うほどのことでもない、よくある青春の葛藤でしかないけど、それにしたってほとんどが「なりたい自分」のビジョンがないか、あってもあいまいで統一されてないか?
まあ全員に当てはめるのはいささか苦しいな…

そうい意味じゃスレッタの「やりたい事リスト」漠然としてて自分のアイデアじゃないんじゃないかとか、水星に学校を作るって計画も4話以降話さないから本気かどうか疑われてるけど、少なくとも「やりたい事リスト」は埋めていっている、漠然とした「地球に逃げたい」や「ドミニコスのエースパイロット」に比べたら着実に

一番ふわふわして理解できないとされているスレッタが一番進んでて、皆がそれに感化されて変わってゆく、一方的にだけど言葉によらないコミュニケーションだし、やっぱり主人公で普通の人間じゃないか?

戻ってラウダのこと、彼は兄に憧れているというよりは、シャディクと同じように自分とよく似た兄に自分を重ねていただけ、父には認められたかったけど、それはスレッタに認められた兄と同じで「自分以外に自分を肯定」してほしいのであって兄にも父にも固執してない、条件は兄と同じで、自分が強いと認めた相手からの承認。兄に、その先に見ている父に固執しているなら、それは兄と父以外に自分より上の存在がいなかったから

だったら、何かの形でスレッタに負ければ憑き物も落ちるかもしれないし、シャディクと同じように、それでもあきらめがつかないか
あきらめつかないなら収拾つかないし、その場合3期とかやるかもね

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