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毒親育ち視点で見るジャンケットバンク シヴァリング・ファイア後編

オーダー開始

 おんぼろダイナーの室温は、初期設定30℃で始まった。そこから、ラウンド終了時(オーダーが通った時点)に「そのラウンド内でオーダーされた温度とは別に-10℃」されながらゲームは続く。
 真鍋は、4ラウンドのゲームを人生に例え、それを話題に出しながら泣く。そして、御手洗は気持ち悪くなる。

 天堂4リンク昇格パーティーの後片付けの回想なのか、やりたい放題のギャンブラー達と、お世話と家事に慣れた獅子神さんの温度差は一種の清涼剤と言う説。なお、御手洗の回想では「ドクターコールの回に錬成されたアイツ」が再登場するので遠慮なく笑いましょう。

 1ラウンド目は、真鍋がHOTのパーとチョキのカードで7℃の温度をオーダー真経津がICEのパーとチョキのカードで-7℃の温度をオーダー。温度のオーダーに加えてそれぞれ-10℃される為、真鍋は30℃から-3℃の変化を、真経津は30℃から-17℃の変化を味わった。

2ラウンド

 真鍋は27℃の室温、真経津は13℃の室温の中で2ラウンドは開始された。2ラウンドでは、真経津もHOTのパーとチョキのカードで勝利した為、共に7℃の温度をオーダー。共に-3℃の室温変化を味わった為、真鍋の室温は24℃に、真経津の室温は10℃になる。

3ラウンド

 ここにきて、「カードを使い切るまでに、どちらかが3勝しなければオーダーは通らない」縛りが効果を発揮する。むしろ、これが無ければVIPは喜ばない。多少の室温変化で、ワンヘッドまで生き残ったギャンブラーが苦しむ確率はかなり低い。とは言え、シヴァリング・ファイアの仕様からして「オーダーが4回通った後、それでも決着が付かなかった際の苦しみ」は、大きいが。

 真鍋の戦略は、自らはHOTのパーとICEのパーで交互に勝ち、真経津にはHOTのパーで勝たせ続けると言うもの。言うなれば、真鍋自身は6枚のカードを使い切った時点で5歩進み、次の6枚のカードを使い切った時点で5歩後退する。
 学校の先生だけに、週5で牛乳を飲んでは5歩進み、その次の週は5歩下がる骨太な戦略である。つまり、偶数回カードを使い切った時点でのオーダーは0℃になる。
 一方、真経津は真鍋の戦略を理解した上で、HOTのパーで勝ち続けた。

教育強度を下げる

 ここで、温度変化の部分を省き、ジャンケンの手が1セット分のカードで確率を考えてみよう。勿論、この戦いでは、1戦目の結果が「勝ちになる確率・負けになる確率・あいこになる確率」は等しい。しかし、「1戦毎にその確率が独立している通常のジャンケン」とは違い、3枚のカードで行うジャンケンの2戦目は「カードの組合せ数が4」である。どう足掻いても「勝ちになる確率・負けになる確率・あいこになる確率」は等しくならない。

 実際にカードを作成して組合せを考えれば出るが、1セット分のカードでジャンケンをした場合、

 ・3勝する
 ・3敗する
 ・パーで1勝1敗
 ・チョキで1勝1敗
 ・グーで1勝1敗
 ・全てあいこ

の6通りの結果が出る。

 真鍋も真経津も、この内の「パーで1勝1敗」を繰り返し、互いに3勝せずにオーダーも通さない。オーダーが通らないだけで、それぞれのオーダー自体は蓄積される為、HOTのカードで勝ち続ける真経津の室温は3勝するまで5℃ずつオーダーが溜まっていく
 シヴァリング・ファイアは、ジャックポット・ジニーとは違って、カードを出す順番を加味する必要が無い。なので、実は確率を考えるなら義務教育で習う内容で対応出来る。流石は、教育災害に合わせたゲームである。

4ラウンド

 溜まったオーダーが通った後、真経津の部屋は53℃まで上昇。いくら水分が丁寧に持ち込まれて準備されているとは言え、体力が削られていくのは避けられない。
 真鍋は相変わらずHOTのパーとICEのパーのカードで交互に勝ち、真経津はICEパーのカードで勝ち続けた。これは互いの協力の元で行われている。細かい確率計算は電卓御手洗に任せるにしても、タンブリング・エースで2連続ブタを出す確率よりもレアなのは感覚的にも分かるだろう。

 合間に雪村の登山用インナーうんちくを挟みつつ、真鍋の許しが出てオーダー成立。真経津の室温は急降下するのだが、それこそが狙いだった。
 白金主任が一度だけ語った牢の材質は「硝子」だった。そして、硝子のコップに熱湯を注いでも危険たが、それにコップが耐えても急冷したら割れる。乾熱滅菌後、直ぐビーカーを使うんじゃない。硝子の破片は、刺さると思ったよりも出血するから、良い子は真似するな。

 硝子の牢は、コップと違って厚みがある為、ナイフによる一撃が必要だった。サイレント・オブ・サイレンスやブルー・テンパランスでも出て来たナイフ、大活躍。
 ひび割れたビー玉ならぬひび割れた硝子の牢。比較的その近くに居た白金主任に怪我は無いのか気になるところでもあるが、安全地帯から観賞するVIPはさぞかし盛り上がったことだろう。

 その光景に、真鍋も驚愕。なんとか出られないものかと硝子に蹴りを入れるが、びくともしない。叫び喚き感情を表に出す真鍋だったが、最終的には死を受け入れ、死を目前にしても成長出来ることを知った。これまで、大人に対しては減点方式を採用していた真鍋は、それが間違っていたことを悟った。

「君達には、沢山のマルがついている
 幸せになって下さい」

 マルを数えて生きようーー

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