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毒親育ち視点で見るジャンケットバンク ピーキー・ピッグ・パレス 最高の当たりくじ編

青春はスティックパンと共に

 村雨が思いやりに目覚めた結果、心を見透かされた漆原は高校時代を思い出していた。屋上でスティックパンを食べながら株価をチェックしていた同級生・牙頭に絡みにいった上で、好感度は高くない(どころか不審者扱いされているフシがある)のにパンを要求する高校生の漆原。ペーパーテストの点数はとても良い(トップかどうかは単行本参照)半面、他者との距離感が妙な漆原。それでも、なんだかんだで仲良くなる二人。
 距離感が怪しい漆原に友達は居なそうだが、モノローグから牙頭に友達が居なかったことは確定している。そんな二人が仲良くなり、高校生の頃は腹を割って話せた。きっと、他愛ない話でも楽しんでいた。しかし、漆原がライバル視していた相手の死に加え、二人が高校を卒業してからの人生は甘くは無かった。二人とも能力がある分、周りから妬まれ疎まれ、飛んでくる言葉には悪意がこもっていた。

今が30代半ばキャラの青春時代

 ピーキー・ピッグ・パレスの結末が描かれた16巻が出た頃、なんとなしに「青春アミーゴ」を検索したら、修二と彰の後輩達が曲をカバーしていてなにやら盛り上がっていた。そして、それを懐かしむべきなのか良く分からない気分になった。
 ピーキー・ピッグ・パレス連載時、高校生パートが公開された辺りでは、修二役のチャンネルで青春アミーゴの話題になり、「尖っていた」テロップが出たり、グループとしてのデビュー前だったのもあって「鳴り響いた 携帯電話」の歌詞に対して供述したりもする動画が配信された。
 昭和生まれでフリック入力が危うく、Uberで注文したドリンクがタピオカ入りかと思えば何か違ったけど、いかのおすし(スタッフの分も含めた烏賊握りを含むセットに加えて烏賊握りの単品を+10個注文)美味しいよね動画からのカラオケボックス回。そこで明かされた青春アミーゴの裏話。「野ブタをプロデュース。」の主題歌だけに、ブタを集めるゲームにも合うか賭けません?

 なお、その時にカラオケボックスでしっかりと披露された曲は「FRIENDS」である。鳥たちが飛び立った後、代わりにやって来るのは、可愛い天使達か賭けません?

最後の審判と天使

 村雨が思いやりに目覚めてから、場の空気は変わった。オオカミの憤怒発動前の仕込みで、天堂が牙頭にブタを奪われた時は、獅子神だけが机を殴ってキレていた。獅子神、差し出されたパンを潰したこともあったし、常識人に見えるのは、周りと比較したらそう見えるだけの説。
 分かっちゃいない獅子神に向けた解説によれば、天堂は村雨が覚醒しなければ仲間だろうが容赦なく命を奪う。神は平等だから、悔い改めなければ敵味方無く命を奪う。裏を返せば、悔い改めれば敵も命を奪われない。

 村雨が思いやりに目覚めてからと言うもの、牙頭にブタは渡らなかった。また、天堂は誰かから1匹のブタを奪えば宮殿が完成するのにも関わらず、それがなされぬままにラウンドは進む。そして、村雨以外のライフブタは1匹となった。
 村雨からは悪趣味と言われた天堂による最後の審判。「隣のマヌケがこのゲームにおける神」とまで言わしめる程に、天堂は場を掌握していた。
 そして、悪趣味な作戦に司会の灰谷も気付いたのか、牙頭と漆原が出すカードを誘導しているようにも思える。結果的に、牙頭も漆原も、唯一の友達に永遠の別れのつもりで言葉を遺した。しかし、それこそが神の意志。これまで飲み込んできた言葉を互いに言わせる為、回りくどい方法で村雨を巻き込みつつ牙頭と漆原を追い詰めた。

 天堂の奇行に対して牙頭はキレるが、神は「善行だ」「人生が好転しただろう?」と返すのみ。神による救済は、味方の村雨だけではなく、敵の二人にまで及んだ。そして、司会者はそれを「マッチポンプ慈悲」と呼んだ。この余りの面白さに、どうやらXではトレンド入りしたらしい。
 ピーキー・ピッグ・パレスは宇佐美班の勝利で終わった。そして、密閉空間から解放されるギャンブラー達。低酸素空間から解放され、自由になった天堂は常人には見えぬ階段と天使を見た。そして、低酸素症と診断を付けた医者のツッコミが入る。だが、神には酸素も光も足りている。神に足りないのは、アタマではなくツッコミの強さかも知れない。

 そんな「仲は良くない敵」の二人の背中を見て、漆原は言う、

 最高の
 当たりくじ
 なんだから

とーー

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