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毒親育ち視点で見るジャンケットバンク シヴァリング・ファイア前編

パーティーからの対戦相手紹介

 宇佐美班に帰還した御手洗が真経津に会いに行くと、そこではパーティーが行われていた。御手洗の笑顔から察するに「真経津さんが僕の為に」位は思ったことだろう。残念だが、それは天堂の4リンク昇格パーティーだった。登場時はハーフライフ所属だった天堂。4リンク昇格を祝われても、おちょくられているとしか思っていないことだろう。

 4リンクの神を祝うため、パーティー会場には飾り付けがなされ、燭台まで用意されていた。その燭台に火は点ってはいないが、4本の蝋燭が挿せる仕様なのは、4リンクと結び付けたものなのだろうか?
 或いは、アドヴェント期間のように、1本1本の蝋燭が灯されていく暗示なのか。それとも、蝋燭ボリボリしちゃおうねおじさん(鶴見中尉)の暗示なのか。

 パーティーが終わった後で、御手洗は編み物をしながら次の対戦相手について話を始めた。ワンヘッド初戦の相手は、小学校教師真鍋。子供には優しいが、大人には厳しい強敵である。
 駅で他者に話し掛けてはメンタルを崩壊させ、それは暴動に発展してニュースにまでなった。ワンヘッド特典の後処理に、一体どれだけの労力が掛かっているのか。それを考え出したら負けかも知れない。

 本業における真鍋は、生徒の悩み相談に目線を合わせ、しっかりと話を聞く良い先生だった。その上で、「もし逆の立場だったら」と話に出して、特定の生徒の肩を持つこと無く教育をした。
 初めこそ不服そうだった生徒も、先生の言いたいことが分かったのか、最終的に笑顔で下校した。一方、真鍋にはモンスターな保護者が待ち構えていた。

 自分の娘が優遇されないからとキレる保護者。現実でも、こう言う手合いが居るから主役が複数居る学芸会が行われる。

「優遇されないことを差別と呼ぶな!」

 これに似たことを思った人は、どれ位居るのだろうか? また、バランス良く生徒が振り分けられたクラスの中には、「優遇されて当然ちゃん」が一人は居たものだが、その背景に「この手の保護者」が居た可能性は高い。
 令和6年には、あくまで「映画館スタッフの善意でしかなかったサポート」を、まるでそれが義務であるかのように「要求に対応してくれなかったことを晒した」せいで炎上した人が居る。だが、個人への優遇は「それをされない人への差別」でもある説。

 保護者と担任教師の立場から、話が長くなろうともヒステリックな言葉に耐えていた真鍋。しかし、それにも限度はあった。
 褒めて育てろとまでは言わないにせよ、出来ないこと劣ることばかりを責めては子供のメンタルは病む。米国では、与えられたポジティブな言葉とネガティブな言葉の割合が、子供のメンタルにどう影響するかのデータが取られた。その結果からしても、ネガティブワードの多様は子供にとって害となる。

 保護者にトドメを刺した後で、真鍋は校門前で待機する蔵木を発見する。真鍋が保護者対応をしていた時間、ずっと蔵木が校門前で待機していたか賭けません?

シヴァリング・ファイア

 如何にも高級な車で移動した先の会場には、くつろぎ空間でゲーム開始を待つVIP達の姿があった。ハーフライフ戦の会場は、クロウホテル。ハーフライフ戦では、VIPは椅子に着席しての観覧。
 一方で、ワンヘッド戦は特別な会場が作られ、VIPは横たわれる安全地帯からゲームを観覧する。この差が何を意味するか。それすらも、ゲームがどんなものであるかを窺わせた。

 ところで、王様タイムであればキンキの10番目のシングル。「ルーキー!」の主題歌であれば12番目のシングル。「ガッコの先生」の主題歌であれば13番目のシングルですね。真鍋は、小学校教師でありながら、カラス銀行からしたら教育災害ですが。

 ギャンブラー同士は、握手しながらの挨拶を。そして、真鍋に見透かされて「電卓」「牛丼」「残業」「真経津」等と書かれた書を読者に晒す御手洗。倉庫で言われた「電卓」に、好物の「牛丼」、権利を買わねばならない「残業」に、盲信している「真経津」と、実に分かり易い書である。

 白金主任によるルール説明でトントンしつつ、硝子の牢に入ってからもトントンする。ワンヘッド戦だけに、トントンも増量した説が有力ですか?

 ゲーム内容は、「ジャンケンの勝敗によって温度をオーダーする」と言うもの。子供の頃から慣れ親しんだ、道具の必要なく勝敗を決めるやり方、ジャンケン。それが、ワンヘッド戦に使われるとは、何とも恐ろしい話である。
 ギャンブラーそれぞれが、暑そうにしているイラストの「グー」「チョキ」「パー」のカード。ギャンブラーそれぞれが、寒そうにしているイラストの「グー」「チョキ」「パー」のカード。合計6枚のカードが各々に配られた。

 6枚のカードは、使ったら廃棄される為、通常のジャンケンとは違ってゲーム初戦以外の勝率は3分の1とはならない。この縛りが有るからこそ、勝つには戦略が必要となる。
 また、通常のジャンケンは勝ち負けだけで嫌なことを押し付けるだの、残り一個をゲット出来るだのの利益を得られる。しかし、このゲームはそこまで単純ではない。

 例えるならば、グーでジャンケンに勝った場合は3歩進む。チョキで勝った場合は6歩進む。パーで勝った場合も6歩進む。そうして、誰が一番始めに目的地に着くかを競う遊びだろうか。歩数だと脚の長さでハンデが出るからと、階段でやって「危ない」と言われた人も中には居る「金の掛からない遊び」である。
 この遊びをベースにシヴァリング・ファイア戦を考えると、カードの種類(HOTまたはICE)で温度のプラス・マイナスを指定。勝った手の「指の本数」で、どれ位の温度を変化させるかを指定する。「グー」のカードでは温度に変化は無いが、「チョキ」のカードは2℃の温度変化、「パー」のカードでは5℃の温度変化をオーダーすることになる。
 ただ、オーダー成立には、1セット6枚のカードを使い切った時点で「どちらかが3勝以上」していなければならない縛りもある。この為、合計2勝しながらの無限ループが可能になっている。それも、それまでの温度変化はストックしたままで。これもまた、戦略として使える縛りである。

 オーダーが4回通った時点で、温度の注文は中止。しかし、それでもなお両者生存の場合は、強制的に両者100℃のペナルティが発動する。その上、念には念を入れて、それに両者共60分耐えたら、勝った回数の少ない側を直接処刑する。
 ワンヘッド戦だけあって、やる気満々なシヴァリング・ファイア。次は、ゲーム開始です。

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