「その道」

幼い娘の手を引く父親を　その道で見た
泣き出す娘に手を焼く母親を　その道で見た

息をつく間に稲穂が生い茂り
風に揺れ　刈り取られ
雪と雨を受け再び実るでしょう

娘を真ん中に家族の影を　その道で見た

セーラー服を着た若い娘を　その道で見た
やがてスーツに着替えた娘を　その道で見た

息をつく間に朝日が昇り
照りつけてオレンジに染まり
夜の月を超え　再び光るでしょう

娘を見送る家族の涙を　その道で見た

仕切り時計を気にする父親を　その道で見た
その姿を見て微笑む母親を　その道で見た

息をつく間に　山が色付いて
賑やかな鳥たちの声が止んでも
季節を超えて　再びかえるでしょう

息を切らし駆けて行く花嫁を　その道で見た

娘は想う　この道はいつまでも
大切な場所に続いていてくれる
娘は想う　この道はどこまでも
ずっと　ずっと続いていてくれる