僕の頭の中
このニュース。
自由主義国の公高等教育費における再分配機能と資本主義システムとの連関に関する論文を現在執筆中の僕からしたらとてもタイムリーだったのでさっそくコメントしたい。
まずは背景から。
OECDのデータをもとに。
まず高等教育における支出についてまとめておく。
OECDによれば、高等教育支出について4つの次元に分類をすることができる。
まず横軸にWell/Less developed student support
これは、subsidizationやgrants, loanのシステムが発達している度合いだ。
次に、No, low/ Higher tuition feesだ。学費があるかないか。
僕が研究対象としているのはアメリカ、イギリス。
アメリカイギリスなどの自由主義国はhigher tuition fees × well developed student supportの次元に属している。
日本はどうか, higher tuition fees × less developed student supportに属する。
どちらも特徴として教育支出にしめるprivate expenditureの割合が極めて高い。
また、Ansell (2010)の研究によればイギリス、アメリカはPartially Private Modelに分類される国で、tuition feeを設ける代わりにsubsidization が豊富。
日本の目指すべき方向性は?
この記事によると、超低所得世帯に向けた施策が打ち出されたようだ。
対象世帯が狭すぎるという批判があるが、再分配の観点からコメントしてみたい。
政策の再分配のレベルを単純に上から(財源 × 適用範囲)
progressive tax × the poor
progressive tax × all classes
regressive tax × the poor
regressive tax × all classes
と順序づけるのであれば、
財源は消費税(regressive taxation)で政策の適用範囲はthe poor(住民税非課税世帯)なので今回の再分配機能は中程度から小程度と評価できる(完全自論です)
この政策は昨日のegalitarianism =平等主義かsocial mobility=階級間移動に類型するならば階級間移動に近い施策だろうと思われる。
大学教育の持つ再分配機能に着目して施策を打つのであればprogressive taxを財源とするべきなような気もするが、そこはさすが保守政権といったところかなと思う。
ただ、大学進学率の高い日本という国でthe poorにサポートされうる施策を保守の自民党がやるのは一般的には珍しい。左派も賛同したのは頷ける。
そういう意味でsocial democratみたいな方向性を目指しているのか?
まあ僕の目には夏の参院選の選挙政策にしか見えないわけだが。
今後は、
常々いっているように、ここまで教育費においてprivate fundingが主流(家庭が授業料を負担する)の日本で大学教育を拡大したいというのであればやはり充実したstudent supportが必要な気がする。
ただただregressive taxationを財源とした給付型奨学金でばらまくよりは、
授業料無償化だけではない、maintenance fee(日本語でどう訳すかわからん)にかかるgrants, loan, scholarship, それも ICL (Income Contingent Loan, 所得連動型奨学金ローン)の拡充による、よりprogressiveな施策が現実的であろうように思われる。
バーっと書いたのでわかりづらそうだけど頭の整理だから気にしない
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