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今まで出会った変な女6足が臭いあみちゃん

今年の2月頃のお話。
保育系の短大に通ってる20歳のあみちゃんとタップルでマッチした。ショートカットでよく喋る元気のいい子。貫地谷しおりにちょっと似てる。

会う約束をした日彼女は、天神のカラオケ店でバイトしていた。福岡市役所前で拾ってそのまま油山展望台まで車を走らせた。車内で友達と撮ったtiktokを無限にみせくるのはガチでだるかった。

あみちゃんは人との距離感がちょっとおかしい。夜景見てるときも、めっちゃ腕に絡みついてくる。普通に勃起するからやめてほしい。

「寒いしおれんち寄ってく?」いつも通り雑な誘い方をした。
5秒くらい考えた彼女は「何もしない?」と聞いてきた。「何もしないよ」と笑顔で答える。
そのまま2人でぼくの家へと向かった。

玄関に入り彼女が履いていたブーツを脱いだ瞬間、思わず自分の目と鼻を疑った。
めちゃくちゃ臭い。いくら何でも臭すぎる。
部室のロッカーの10倍は臭かった。

20歳の女の子の足が激臭。そんな世界観で生きていない僕はまず自分の足の状態を疑った。
トイレに行く振りをして、自分の足の裏を何度も嗅いだ。が全く臭くない。

部屋に戻った。ソファーに腰かけるあみちゃんが私もトイレ借りていい?と言った。
そして彼女が立ち上がった瞬間…

SHARPの空気清浄機が唸りをあげた。ヴーンヴーンブォーン!!ヴーンヴーンブォーン!!と今まで聞いたことのない音だった。きれいモニターも真っ赤に染まっている。疑念が確信に変わった瞬間だった。

日常のふとした瞬間、空気清浄機に向かって屁をこくことがあると思う。勿論ぼくもたまに空気清浄機にむかって屁をこく。大抵、屁を吸い込んだ空気清浄機は大きな音を立てて、きれいモニターがオレンジ色に変わる。
きれいモニターを真っ赤に染め上げたのは、後にも先にもあみちゃんの足の臭いだけだった。

あまりの激臭の中、どうやってこいつを家に返すかばかり考えていた。だけど人間は環境に適応し進化を続けてきた生き物。
次第に鼻が慣れ始め、臭いを感じなくなってきた。

ぼくは出来るだけ息をとめながら、あみちゃんとセックスをした。
まんこも臭いのか気になって顔を近づけたけど、鼻が麻痺してよく分からなかった。
彼女を家に送り届けた後、イソップのルームスプレーを部屋に死ぬほど撒いた。
足の臭いと檜の香りが混ざり合い、絶妙なハーモニーを奏でる。普通に吐いた。

翌日、昨日はありがとうとLINEが来た。ぼくは思わず何食ったらそんなに足臭くなるの?と聞いてしまった。どんなに待っても既読は付かなかった。
あみちゃんと僕の物語はここでおしまいだけど、まだ少しだけ彼女の足の臭いが部屋の中に残ってた。

会社を出ると少しだけ雨が降っていた。梅雨の湿った空気を感じながら駅へと向かう。
この時期の満員電車は特に嫌いだ。おじさんの脇汗が鼻を突く。同時にあの日の彼女の足の臭いが鮮やかに蘇る。電車から降りると、雨はあがっていた。
宇多田ヒカルのFlavor Of Lifeを聴きながら、家路を辿る。

ありがとう、と君に言われると
なんだかせつない
さようならの後も解けぬ魔法
淡くほろ苦い
The flavor of soles

くせぇ
[完]

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