#3 「透明のティーポット」
そのお茶はいままでに見たことのないような透き通った色をしていた。そこには色がついているのだけど、ゆらめく炎みたいに、風に吹かれて消えそうなオーロラみたいに、いくつもの色が入れ替わり立ち替わり現れるので、はっきり何色と言うことができない。そのあたたかいお湯をずっと見つめていると、だんだん目がちかちかしてきて、しまいには目をそらさずにはいられなくなる。あまりに長く見つめていすぎると、そのあとしばらく、何を見てもそのオーロラのような揺れる光が、目の中に重なって見えるはめになる。