見出し画像

FIVE STARSからWake Up, Girls!まで

 この記事は『Wake Up, Girls! Advent Calendar 2019』への投稿として2019年12月に記述した文章です。俺もnoteを始めてみるぜ!と思い立ち何かを投稿してみるため、試験的に再掲したものになります。

はじめに

 当初、声優ユニットWake Up, Girls!が解散した直後や落ち着いたタイミングで何かの記事を書こうと思っていましたが、なかなか書きたいことがまとまらずに投稿の機会を逃しておりました。
 その後ひと月ふた月と過ぎていき、2019年8月初頭には田中美海さんがパーソナリティを務めているラジオ番組『A&G NEXT BREAKS FIVE STARS』が放送終了となることも発表されました。番組初期からリスナーだった僕は発表を聞いた当時はとてもショックを受けましたが、今となっては放送も終わり、秋には台風で開催が危ぶまれたラストイベントも終わり、無事に幕を下ろしたラジオコンテンツの一つとして思い出になっています。
 FIVE STARSというラジオ番組は自分にとってWUGとは切り離せないもので、番組も綺麗に一段落したことだしそのあたりから覚え書きを残しておくのも良いかと考え今回の投稿に至りました。この記事は「自分はこういう経緯でWUGを知りましたよ」ということを長々と書いただけの文章なので面白味のある内容ではないかもしれません。

FIVE STARSの振り返り

 『A&G NEXT BREAKS FIVE STARS』は文化放送の超!A&G+ならびにニコニコチャンネルで配信されていた動画付きラジオ番組です。毎週月曜日から金曜日、20時から21時までの1時間の放送枠で生放送されていました。2015年4月に放送が開始され、2019年9月最終週の各曜日の放送をもって番組が終了となりました。
 2015年4月の放送開始当初、僕はもともと月曜日担当の黒沢ともよさんが好きで彼女の姿を見たくてFIVE STARSを視聴し始めました。Sound Horizonの楽曲「硝子の棺で眠る姫君」のライブ映像に出演する彼女を見てファンになった私のような人は少数派だと思いますが、このときはまだ『響け!ユーフォニアム』の一期が放送され始めたばかりだったし、黒沢ともよさんも今のように広く名前が知られた声優とは言えなかったと思います。有栖川おとめ、赤城みりあ、犬吠埼樹あたりのキャラクター経由で中の人を知って番組を見ているリスナーが大半だったように思います。

 FIVE STARSは当初30分の収録放送でしたが、その先輩にあたる番組『A&G NEXT GENERATION Lady Go!!』の終了と共に押し上げられる形で1時間の生放送番組になりました。これが放送開始から半年が経った2015年10月のことです。
 正直なところ、約4年半前の平凡な1日のことなので全く記憶に残っていませんが、Twitterを検索していたらタイムカプセルのように上記のツイートが出てきました。口ぶりからこのとき初めて田中美海という声優さんの顔や名前を認識したようです。
 当初から田中美海さんの放送はオタク要素多めなコーナーやフリートークの内容が多く、各曜日の中でとりわけ楽しいと感じる人も多かったのではないでしょうか。黒沢ともよさんがTVドラマの話題を話していたことを思うと、田中美海さんはとりわけ視聴者の興味に合致した話題が多くオタク受けが良かった印象があります。
 そんな掴みの良さから、僕は月曜日に加えて水曜日の放送を視聴するリスナーとなっていました。それ以後は私生活が忙しくなって放送をなかなか見れなくなった時期もあったりはするのですが、平日20時にFIVE STARSの生放送を見ることは僕の日常でした。

FIVE STARS終了の報を受けて

 2019年8月5日、月曜日の黒沢ともよさんの放送を皮切りに各曜日で番組の終了が告知されました。4年以上見続けてきた番組の終了ということで、この週の僕はかなり落ち込みながら生活しました。日常生活に支障をきたすほどとまでは言いませんが胸がモヤモヤしたまま労働する日々です。
 パーソナリティの5人は1~2ヶ月以上前から番組終了の時期を知らされていたようで、黒沢ともよさんも深川芹亜さんもすでにそのことを飲み込んだ様子で放送していました。水曜日の田中美海さんも同様に「残り2ヶ月間の放送も楽しくやっていきますね」という明るい雰囲気でトークをしていましたが、放送半ばにして「正直私も寂しいな…」と急に泣き出したことを覚えています。
 ある程度時間が解決している彼女らの前向きさに対して、昨日今日に番組終了を知らされた身としては「こんなにショックを受けてるのは俺だけなのか…」といった気持ちでした。田中さん自身としては不本意だったかもしれませんが、このときに涙を流してくれたことは少しばかり救われる気持ちでした。
 結局のところ続く木曜日の松田利冴さんも泣き、金曜日の吉田有里さんもアフタートーク冒頭で「金曜日らしく面白く言えたかな?」と涙を流していました。吉田さんは「エンターテイナーである以上、見てくれる人に楽しい気持ちになってほしくて番組をやっているから涙は見せたくはない」ということを話していたのがとても素敵でした。

Wake Up, Girls!を外側から見ていた自分

 ようやくWake Up, Girls!の話に辿り着きました。僕がWUGという声優ユニットにちゃんと目を向け始めたのはユニットの解散発表を受けてからのことで、それ以前からユニットやそのメンバーたちを応援していたファンではありません。TVアニメ自体は2014年のときも2017年のときも放送クール中に視聴していましたが、作品を見た延長線上で声優ユニットWake Up, Girls!を応援する気持ちは湧いていませんでした。
 しかしながら、アニメを視聴したタイミングから解散発表までの数年間において、WUGに一切興味が無かったのかというとそうでもありません。いくつかの代表曲を聴いたり、WUGメンバーが出演するニコニコ生放送などを見つけたときは何となく視聴していました。CDやBDは一切買っていないし、ライブに行く気もなかったし、応援は全くしていなかったけれど、ファミ通提供のWUGちゃんねるでのゲーム実況放送や、アニメ新章にあわせてWUGメンバーと一緒に過去のアニメを視聴するコメンタリ放送、大忘年会と題した2017年末の特番放送など、何かと彼女らの映像露出を何とはなしに見ていたのです。

 僕がそんな半端な状態に至っていたのは、やはりFIVE STARSという番組を通して田中美海さんの顔と名前を知っていたからに他なりません。毎週水曜日に見ている田中さんが、ユニットメンバーの人たちと何かをやっているからちょっと見てみよう、みたいなことを断続的に繰り返していました。
 本当はもっと歯切れよく「FIVE STARSから田中美海さんを知ってWUGも応援し続けてきました!」と言えたら良かったのですが上述の通りそうではありません。僕はやはりWUGのファンではなかったし、声優個人としての田中美海さんのちゃんとしたファンでもありませんでした。彼女が出演しているアニメやゲームなどの情報をチェックするといったことも全くありませんでした。しいて言えば僕は、田中美海というパーソナリティのラジオトークを好んで聴いている人でしかなかったのです。

 2018年6月15日、声優ユニットWake Up, Girls!は2019年3月末までの活動をもって解散することが発表されました。しかしこのときも、僕は長年のワグナーさんたちが身に受けたであろうショックに共感するほどの心は持ち合わせていません。当事者ではなく客観的な目線で「解散するんだ。なんで終わっちゃうんだろう」という程度の疑問を抱くだけでした。
 だけどもし田中美海さんがFIVE STARSのパーソナリティを務めておらず、彼女を通じてWUGの映像番組などに興味を持つこともなかったら、僕は解散が発表された日にその程度の「なんで終わっちゃうんだろう」すらも感じなかったと思うのです。興味の反対にあるのは無関心だとよく言いますが、純粋に無関心であれば解散の知らせすら目に入らなかったかもしれず、驚くこともなかったかもしれず、最後だから一度だけライブを見に行こうと思うこともなかったでしょう。のちに彼女たちのカウントアップを体現した『FINAL TOUR -HOME- PART III KADODE』というラストツアーを追いかけることも、きっとありませんでした。

おわりに

 そんな経緯から僕はニアミスしながらずいぶん遠回りをしてWake Up, Girls!のファンになりました。「もう一筋、隣の道へ出ればWUG国道ですよ」という状態まで近づきながら、入り組んだ住宅道路を走っていたような気分です。
 週末にイベントがあれば次の水曜日には生放送でその感想を聞ける。ファンになる以前から聞いていたラジオ番組でしたが、ファンになってからはそんな状況の幸福さを身を持って知りました。WUG FINAL LIVE SSA公演の5日後の生放送では寂寥感の最中の視聴者の気持ちを満たすようなトークを沢山聞けましたし、そういうタイミングでのFIVE STARSの存在は、みにゃみ推しのみならず、ワグナー全体にとっても有意義だったはずです。

 個人的に田中美海さんはできるだけ多くの人が理解して楽しめるようなパブリックさを意識して放送に臨んでいるところがあったと思います。「FIVE STARSはFIVE STARSを楽しみにしてくれている人たちの場所」といった姿勢を漠然と感じていました。
 2019年4月以降の放送だと思いますが、キンプリの話題を話し終えたあとに作品を知っているかどうかユーザアンケートをとったことがあり、その際に知っていると答えた人数が少ない結果を見て「みんなごめんー!」と謝っていたことがあります。僕はそれを聞いて「謝らなくていいのに」と思いましたし、もっと自分の好きなことを自由に投げつけてほしいとも感じました。

 僕は声による演技をすること以外に、田中美海さんが心から楽しんでやりたいことが何なのか知りません。そもそも役者こそが全てであって、彼女はその他の希望を持ち合わせていないのだとも思います。ただそれは承知の上で、WUG解散後に吉岡茉祐さんが脚本を書き舞台俳優をこなしたり、山下七海さんが夢の一つだったという料理番組をやるようになったりと、今まではやりたくてもできなかったことを一つずつできるようになる姿がなんだか羨ましく感じるのです。これは彼女とは何の関係もない僕の恣意でしかないのですが、そういったものを田中美海さんからも見たいと思っている気持ちが少なからずあります。
 いつか彼女が、自身の頭の中に浮かんだ様々なやりたいことへ大胆に挑戦してくれる日を楽しみにしながら、これからも応援していこうと思います。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?