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えっ?リスクはゼロにならない?じゃあどうする?「ALARPの原則」(安全管理)

こんばんは。総合技術管理キーワード集2020からランダムにキーワードをあげ、用語の解説をしていきます。本日は、安全管理から「ALARPの原則」です。

ALARPの原則とは、「As low as reasonably practicable」の略で、リスクとは合理的に実行可能な水準まで低減しなければならないという、JIS C 0508 における許容リスクの概念を言います。

関連した用語に「キャロットダイヤグラム」があり、縦に引き伸ばした三角形が人参のように見えることに由来しています。より高い(低減できる)リスクが上に、低いリスクが下に来ます。

このキャロットダイヤグラムは、逆三角形の上の辺から下の頂点に向けて、順番に以下の三つの領域に二つの閾値を設けることにより分かれます。

①許容できない領域:異常な状況以外では絶対に許容できない領域。異常な状況とは、例えば映画のような隕石の落下など確率が極めて低い事態をいいます。

②ALARP領域:合理的に実行可能な最低の水準まで低減されているリスクで、リスク低減の費用が得られる改善効果よりも大きい場合であっても低減すべきことを許容される領域。1970年代にアメリカのフォード社は、小型自動車「ピント」が欠陥により火災が発生する確率があることを認識した際に、火災による死者・負傷の賠償費用とリコールによる対策費用を比較検討したところ、賠償費用よりもリコールの費用が大きいとする結論に至りました。今で言うリコール隠しです。結果として、フォードは、このとき算出した費用を上回る賠償金を支払ったため、リスク低減の費用(賠償費用)が得られる改善効果(火災防止対策費用)よりも大きい場合であっても、人命はお金に変えがたいため、対策の実行を許容すべきであるとする考え方をすべきです。

③広く許容される領域:リスクが十分に受容されるリスクの領域。

(文責 小川晴彦)

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