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今年2024年EV市場が踊り場を迎えた!

ここに来て、EV市場が踊り場を迎えています。なぜなら、成長著しい大手の米テスラがその成長の踊り場を迎えているからです。2023年10〜12月期の決算は4四半期連続の営業減益でした。EV市場の成長は減速感が強まり、最大のライバルである中国・比亜迪(BYD)の台頭も影響しています。

特に23年10〜12月期のEV世界販売では、テスラから最大手の座を奪ったBYDが攻勢に出ています。新車販売に占めるEV比率が約2割となった中国市場では、テスラは価格主導権を握る「プライスリーダー」ではなくなりつつあります。

EVのコストを左右する車載電池でもBYDの後手に回っています。もともと電池メーカーだったBYDは電池の量産技術を強みとしており、これは当然の結果です。

アーリーアダプターと呼ばれる新しいもの好きの富裕層にEVが行き渡り、市場の拡大ペースが落ちるキャズム(大きな溝)に直面していることは否めません。

そんな中、米国よりEVが普及したヨーロッパ市場では、ドイツ政府がEV販売を下支えしてきた補助金の停止を決めました。景気減速懸念を抱える中国でも、EV市場の成長は不透明感が強まっています。

なぜなら、急激なEVシフトを続けてきた中国の自動車業界で、エンジンを併用するPHV(プラグインハイブリッド車)の競争力を再評価する声が高まっている現実があるからです。

あまりにも急激なEVシフトが進んだ中国においても、EVの一人勝ちとは言えない状況に陥っています。今年1月5日、中堅自動車メーカーの吉利汽車(ジーリー)の淦家閲CEO(最高経営責任者)は「PHVとEVは今後も長きにわたり併存するだろう。新エネルギー車市場における比率は、それぞれ半分ずつになる可能性が高い」という見方を披露しました。

※新エネルギー車とは、中国独自の定義で、EV、PHV、燃料電池車[FCV]の3種類を指します。通常のハイブリッド車[HV]は含まれません。

現に、世界的にEV市場を牽引するBYDは、EV既存車種にPHV版を追加し、コスト競争力を反映させるプラグインハイブリッド(PHV)拡販に舵を切りました。補助金の問題や航続距離、価格、インフラなど、まだまだ本格的なEV普及にはかなりの難題を抱えているのが現状です。これからはPHV、もしくは発電専用のエンジンを搭載するレンジエクステンダー型のEV(中国ではPHVの一種)が半々の展開になっていくのではないでしょうか?

日本では、日産サクラのような軽自動車のEV以外はほとんど売れていません。ここしばらくは日本が得意とするHV車が普及し、PHVの需要も増えていくものと予想されます。

一方、米国市場では自動車大手がEV事業に本腰を入れ始め、新興メーカーも乱立し、テスラの販売シェアはじりじりと下がっています。EVしか生産していないテスラの市場に少し陰りが見えてきたのは、日本にとっても朗報かもしれません。

それにしても、中国のBYDはもともと電池開発メーカーだったことを強みに、PHV市場においても他のメーカーを圧倒する戦略を持って世界市場に乗り出していく脅威は、日本の自動車メーカーも戦々恐々としているでしょう。


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