パクテリアは記憶のいきもの

こんにちは、かまたです。
ドリラーA始めて以来の目標だったパクテリア図鑑のコンプリートを無事達成できたので、その中でパクテリアについてかんがえたことを記事にしたいと思います。

※例によってミスタードリラーA ふしぎなパクテリアの重大なネタバレを含みます。このゲームは現在GBA中古品(裸ROM1000円前後)およびWiiUバーチャルコンソール(715円)で購入可能です。初代スプラトゥーン専用機として押し入れ行きになってるWiiUを復活させるチャンスですよ!
https://www.nintendo.co.jp/titles/20010000011426

以下ネタバレ防止でよくある空白








ということで早速。

●パクテリアって不老だよね
というのが実際に育成(という言葉自体が適切かはともかく)していく中で最初に感じたとこでした。
地底人くんが機嫌良くしておくといいよって「長生きさせるコツ」を教えてくれるけど、実際は一切コミュニケーションを取らなくても、パクテリアに嫌われていたとしても、そのまま触れずにいる分にはパクテリアは死なずに生きていてくれるんですよね。
つまり、パクテリアは老いることがなく、死ぬこともない生物と言っていいし、実質的に不老不死なんじゃない?と考えました。
そして、究極体以外のパクテリアが死を迎える(ように私が認識している)のは必ず変身した直後なんです。裏を返せばミューストーンさえ与えなければ、仮に与えたとしてもパクベビー時代の1つだけに留めておけば、パクテリアはちゃんと生きていてくれるんです。
ただしそれが事実なら、ミューストーンを与えてパクテリアに変身を繰り返させた結果、別れを迎えることになったそもそもの原因ってつまりススムくんであり、プレイヤーとしての私ってことになってしまうんですよね……。
このススムくんとプレイヤーの違いをどうしても意識させられる存在が作中(モード中)にふたついまして、そのうちひとつが謎のフキダシくんです。

●謎のフキダシくん
研究所内でパクテリアの姿を見ているとき、画面の左上には謎のフキダシくんが出てきます。
このフキダシくん、パクテリアの心情や様子を伝えてくれるのでパクテリアの機嫌の目安にできたり、初見であるはずのパクテリアの名前を教えてくれたりするスゴい存在です。たぶんステータス画面でパクテリアのお願いを伝えてくれるのもフキダシくんなのでしょう。
もちろんゲームのシステムと言ってしまえばそれまでなのですが、だからこそ「二人称に”あなた”を使う」理由があるんだろうというところです。
「あなたのことが好きみたい!」
「…パクテリアがあなたのもとをはなれる時期が来たようです」
例として2文挙げましたが、「あなた」を「ススム」にしても全く違和感ありませんし「ススム」の方が適切とすら感じられます。
でもフキダシくんは「あなた」と呼ぶんです。
このパクテリアに対して責任を負うのはススムくんではなく私だから。

●なぜパクテリアは変身するのか
ここで少し角度を変えて、そもそもパクテリアはなぜ変身するのか考えてみます。
ゲームのシステム的には、ヘンシンメーターが満タンになるまでブロックの欠片を食べたパクテリアに任意のミューストーンを与えると変身が始まります。 また、ヘンシンメーターが満タンでない限りはミューストーンを与えることすらできないし、当然所持数も減りません。
地底人くんの情報によるとミューストーンはパクテリアのなきがらによって作られており、パクテリアのエネルギーの結晶とも言えるものらしいです。
つまり、パクテリアは「一定以上ブロックの欠片を食べ集めたとき」「ミューストーンのエネルギーに触れた(獲得した)ことをトリガーに変身する」という流れは間違いないと言えます。
では、変身する理由って何なんでしょう。
ここでヒントになるのがドリストーンの存在です。パクテリアは変身を重ねるごとに、より強力なドリストーンをより多くススムくんに渡しています。
変身が実際に行われるのは研究所内であり、遺跡への挑戦段階(0m時点)で既にドリストーンを持っていることから、パクテリアはドリストーンを生み出す能力を持っていることがわかります。

そして、パクテリアがドリストーンを生み出すことで地底世界では以下のサイクルがより強化されます。

地底人
【ブロックを生産】

ドリラー
【ブロックを掘り深層へ】
【ドリストーンの力でより深層へ】
↓ ↑
パクテリア
【ブロックの欠片を食べる】
【変身し、ドリストーンを生産】

地底人
【空いたスペースでブロックを生産】

このサイクルによりドリストーンを介してパクテリアはドリラーを助け、より多くのブロックを掘ってもらうことで安定した供給を得られます。
このサイクルを維持することを目的としてパクテリアは変身を重ねるのだと考えられます。

●パクテリアの寿命
でもパクテリアって、老いは無いにせよ変身しすぎると死んじゃうんですよね。 これをパクテリアの寿命とするならば、なぜパクテリアは死んでしまうのでしょう。
例のフキダシくんは死に際して「パクテリアがあなたのもとをはなれる時期が来たようです」と言っていますし、その後のアドバイスとして「パクテリアにもっと長く居てもらうために」とも加えています。
フキダシくんはメタ的にプレイヤーへメッセージを伝える存在であり、そのフキダシくんが直接的な生死ではなく「別れ」であると言っていることは無視できない要素です。
つまり、地底人くんの「長生き」という言葉からパクテリアに死があると考えている事自体がミスリードという可能性があります。

ここで一旦パクテリアのライフサイクルを整理してみましょう。
1.卵から生まれる
2.ブロックを食べる
3.ミューストーンをトリガーに変身する
4.2と3を繰り返す
5.ある変身の直後に光を放ち消える
6.卵をひとつだけ残す

まずわかることは、パクテリアが残す卵は常にひとつなので、世界に存在するパクテリアの総数は変わらないこと。
また、地底人くんの言う「長生き」とフキダシくんの言う「より長く居てもらう」とはごきげんをより良く保つことで4の工程を長くする、変身回数をより多くするという内容で一致しており、プレイヤー視点でもその通りです。
水を注ぎ続ければいつかはコップから溢れてしまうように、ミューストーンの持つエネルギーがパクテリアのごきげんを超えてしまったとき、パクテリアは消えてしまうと言い換えることもできそうです。
ごきげんを良い状態で保つには、話しかけたりお願いを聞いたり元気の素をあげたりといったコミュニケーションが必要です。
変身回数とごきげん(コミュニケーション)を結ぶものは何かと考えたときに、思いついたのは自己認識やアイデンティティ、同一性という言葉でした。

パクテリアの変身には多様なパターンがあり、頭上の突起形状は残しているものの羽根やツノが生えたり体の大きさが変わったり、またはススムくんを模した姿をとるなど、非常に大きな変化を伴います。
一度きりなら受け入れることもできるかもしれませんが、それを何度も重ねていくうちに羽が消え突然飛べなくなったり、他にもできていたことができなくなるという事態が起こるのは避けられず、かなりのストレスになることは想像に難くないと思います。
その果てにはじめの姿を思い出せなくなったとき、自分は本当に自分なのか。という疑問を持つことも高度な知的機能を持つパクテリアであればおかしなことではないでしょう。
自分自身の存在に疑念が生じたとき、それを和らげるひとつの手段が他者とのコミュニケーションであり、そこから得られる自己承認です。
パクテリアにとってはほとんど唯一の他者であるススムくんはパクテリアに対して声をかけ、状態に注意を払い、時には危険を冒してパクテリアが望む深度のブロックの欠片を与えます。
こうしたコミュニケーションはススムくんの愛情があってこそ成立するものであり、パクテリアとススムくん(ないしプレイヤー)の間にはある種の親愛関係が育まれていたことが推察できます。
この結果、より多くの変身にも耐えうる精神状態を保つことができたと考えれば、地底人くんやフキダシくんのアドバイスとも矛盾しないはずです。

●パクテリアの卵
そして、お別れのタイミングにパクテリアはひとつの卵を残します。
私はこの卵、単なる親から子への世代交代ではなく、パクテリアの核、または魂、または心、あるいは個体としてのパクテリアそのものだと考えています。
つまり、変身を重ねてきたパクテリアがこれまでミューストーンを介して蓄えてきたエネルギーに自らの記憶や経験を加え光として放出し、空の状態となった個体が卵として残されることでパクテリアとしてのサイクルを繰り返しているということです。

先述した長生きにせよ別れにせよ、作中の誰もパクテリアが死ぬということを明言しておらず、なおかつシステム的な(ゲーム内での事実に近いと思われる)メッセージをプレイヤーに対して与えてくれるフキダシくんが最も婉曲した表現を用いているならば、むしろ事実は私の仮説通り、パクテリアに明確な死は存在しないのだと受け取れると考えています。

また、フキダシくんはお別れの時に必ず「今まで仲良くしてくれてありがとうと言っています」って伝えてくれるんですよね。
例えば1度顔を合わせた後に変身上限まで一発で持っていく方法をとるとか、それまで一切仲良くした覚えがないような育成過程だったとしても、その点については変わりません。 ならばこのセリフで示される「今まで」には卵以前のことも含まれていると解釈できます。
もうひとりのあなた呼びをしてくるエピローグの語り手さんも、「もうパクテリアは居ないじゃないか」という問いに対して「あなたの大切に育てたパクテリアがのこした小さな贈り物が見えませんか?」とカプセルの確認を促してきますよね。
この語り手さんが「パクテリアなんかどれでも一緒だし違いもわからんでしょ」って促してきたとは思えません。
究極体パクテリアが残していった卵である以上、考えられるのは子パクテリアであるか究極体となったパクテリアそのものかの二択でしかありません。
そして、子世代として新しく生まれたパクテリアが「あなたのことがキライみたい」とまでフキダシくんに言われた状態で別れを迎えたとして「今まで仲良くしてくれてありがとう」と伝えてくるのは矛盾があるように感じられます。
であればススムくんがパクテリアの存在を初めて認識したときから今に至るまで、すべての時間を経てきた存在としての「今まで」として受け取る方がずっと自然な解釈となります。

●語り手さん
しゅっと出してしまいましたが、スタッフロール後に流れるエピローグの語り手さんもフキダシくんと共に「あなた」に対してメッセージを伝えてくれる存在なんですよね。
ただ「わたしたち(私たち)」と一人称を用いた視点でED後の出来事を伝えてくれることからフキダシくんよりもゲーム内キャラクターに近い立ち位置の存在です。

語り手さんが教えてくれたことを順番に並べながら確認してみましょう。

・巨大な閃光となり空に砕け散ったパクテリア”たち”
→黄色以外の無印パクテリアが巨大化した姿(複数)と究極体パクテリアはもちろんですが、博士の改良パクテリアもこの中に含まれていると思います。

また、ここまで述べた仮説から
改良パクテリアが正規の方法で変身することができず正気を失った状態(自ら卵へ回帰する能力を喪失)となったため、強制的に悟りのミューストーンのエネルギー(究極体パクテリア自身)を与えることで回帰を促す方法を選択した。
変身には素材となるブロックの欠片が必要なので、これを蓄えている変身前のパクテリアだけを多数呼び出した。(他のミューストーンの力が交じることを極力避けたかった?)
最終的にパクテリアを介して大量のブロックの欠片と悟りのミューストーンの持つ莫大なエネルギーにより改良パクテリアは究極体パクテリア、他のパクテリアとともに光となって各々卵へと回帰したという説明も可能です。

黄色のパクテリアだけが呼ばれていない理由は謎ですが、後述する他の問題を解決するのに適したパクテリアを選択した結果だったとか、究極体は潜在的に黄色説を借りるなら改良パクテリアに与える色のバランスを整える必要があったとかで説明できそうです。
ここまで書いてから気付きましたが、もしミューストーンがパクテリアの色にある程度影響するのであればこの時点でススムくんが確認できるミューストーンが風(緑)・火(赤)・水(青)・悟りの4種類であることからミューストーンに対応した各色のパクテリアが呼ばれていることとなり、究極体パクテリアが潜在的に黄色であるという説も補強できそうですね。

・体は大気中に溶けるように消え、なきがらは目に見える形では残らなかった
→悟りのミューストーンが究極体、改良を含めた複数のパクテリアを一度に変身→回帰させられるほどのエネルギーを持つことがわかります。
ミューストーン自体がパクテリアが光とともに放出するエネルギーの結晶なので、もう一度悟りのミューストーンが現れるには相当の長い時間が必要となるでしょう。
作中で悟りのミューストーンが一度しか登場しない理由はこれで説明できます。

・環境汚染によるオゾンホールがいくつか修復された
・生き物が住めなくなった川に魚がすこしだけ戻った
→遺跡の壁画や古文書にあった記述によく似たできごとです。今回はあくまで改良パクテリアの暴走を止めた上での副次的なものだということが「いくつか修復」や「すこしだけ戻った」ことから示されています。
たぶんパクテリア全員が本気出したら地球リセットレベルのこともできるとおもいます。
私はふしぎなパクテリアのふしぎなエネルギーによるふしぎな力が働いた結果だとおもってるので、このへんの具体的な解決の過程に対する考察は専門家先生におまかせします。

・みんながちょっとやさしくなってケンカの声が昔より聞こえなくなった
→たぶんここが究極体パクテリアさんのお仕事です。氷河期には火のミューストーンで最終段階まで変身したモエパク、干ばつには水のミューストーンのジェルパクといった形で災害に合わせて対処してきたことが遺跡の壁画に描かれています。
ミューストーンがパクテリアの放出したエネルギーの結晶であるならば、悟り以外の風・火・水のパクテリアがこのような働きをすることは考えにくいです。
同時にススムくんが愛情をもって育ててきたこと、その記憶を持ったパクテリアが悟りのミューストーンを得たからこそ、ススムくんの優しさや愛のこもった光のエネルギーが起こしたふしぎなできごとだったと思います。

・これらは事件後同時におこった
→偶然何かのはずみでうまいこといったとかでなく、パクテリアが原因であることの裏付けですね。

・遺跡から古文書が見つかり、各種災害から生き物たちを守ってきた歴史が数多く綴られていた
→こちらも遺跡の壁画と同様に、パクテリアが災害を対処できることの裏付けになります。

・ゼット博士は地球の自衛機能説を提唱
→結果的にそのような働きをしていることから地球の自衛機能という見方ができることは否定しません。ただ、パクテリアが高度な知的生命体であることを考えれば、現状が運良く人間や地底人、あるいは地球そのものとの共生関係が築けているだけという可能性もあります。
皮肉にも今回、ゼット博士本人の改良実験によりパクテリアが人類だけでなく地球そのものにまで被害を与えうるという実例を示したことから安易な見解の提示には疑問があります。

・新しいミューストーンが発見された
→それまでの風・火・水に加えて大地・力・闇・光のミューストーン4種が獲得できるようになったという内容です。 私はこれも発見されたのではなく新たに発生したという形で、今回の事件により起こった事象のひとつではないかと考えています。
確かに光と闇に関してはパクテリア大神殿という新たに発見された遺跡内のミューストーンなので、はじめから大神殿にあったという可能性はありますが、その場合ワルキューレ氷穴で発見されるミューストーンの変化については説明できません。 ワルキューレ氷穴は本来風・火・水・悟りの4種類全てが入手できる可能性のある遺跡だったところから、大地・力の2種類しか見つからない遺跡になったのであれば、これも一度に放出された莫大な量のエネルギーが遺跡にあったミューストーンを変質させたと考える方が自然ではないでしょうか。

大地と光はススムくんと共に地上と地底を行き来してきた記憶を持つ究極体パクテリアのエネルギー、力と闇は改良実験によって巨大化した自身の身体をもって人類に干渉した記憶を持つ改良パクテリアのエネルギーがそれぞれの形で結晶となったものだと考えても、そう違和感があるものではないと考えます。

●おわり
とりあえず思いついたことを足したり引いたりこねたりしながら2週間ちょっとあそんでたらこんな感じになって着地点見つからないのでひとまずおわりです。
これ書いてる途中で回ってきたリツイートにベニクラゲの生態について書いてあったんですけど、ほとんどそのままパクテリアについて言いたいこと書いてあってちょっとおもしろかったです。

不老不死ベニクラゲ | えのすいトリーター日誌 | 新江ノ島水族館
http://enosui.com/diaryentry.php?eid=04348&month=2017-10

パクテリアはベニクラゲでした。

パクテリア学会の方がいたらぜひ研究内容お聞きしたいし、万が一パクテリアに興味をお持ちいただける方がいればミスタードリラーエースは現在GBA中古品(裸ROM1000円前後)およびWiiUバーチャルコンソール(715円)で購入可能です。
https://www.nintendo.co.jp/titles/20010000011426
ミスタードリラーエースは現在GBA中古品(裸ROM1000円前後)およびWiiUバーチャルコンソール(715円)で購入可能です。
https://www.nintendo.co.jp/titles/20010000011426
スプラトゥーン3でアツくなったところにぷにゅぷにゅしたパクテリアはよく効きます(個人の感想です)
ミスタードリラーエースは現在GBA中古品(裸ROM1000円前後)およびWiiUバーチャルコンソール(715円)で購入可能です。
https://www.nintendo.co.jp/titles/20010000011426

なんかたぶんまだ書きたいことあったはずだけど疲れたからここまで。
またあそんでね。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?