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エイプリルフール中条きよしの名曲「うそ」を聴き、煙草代にビックリ

エイプリルフールですね。この日になると、聴きたくなる曲があります。
中条きよしさんの「うそ」。

折れた煙草の吸殻で、あなたのうそがわかるのよ――。

作詞は山口洋子さん。山口洋子さんは「クラブ姫」を経営しており、そのホステスから聞いたエピソードをヒントにしたのだとか。それは、彼氏の家に行ったら、口紅がついたたばこの吸殻があった、というシチュエーション。
いやもう、怖いよ怖いよ!

実は私は長らく、この歌詞の部分、「吸殻」とはてっきり男が吸うたばこの吸い殻で、次のようなシーンを思い浮かべていた。

「ねえ、私のこと好きなの」
「好きだよ」
女の問いに、視線をうろうろさせながら男は煙草をぷかぷか。
「だれかいい人いるんじゃないの」
「馬鹿だなあ、いるわけないじゃないか」
笑顔のまま、いつも以上に強くギュギュっと煙草を灰皿に押し付ける――。

ヒーッ、こっちでも、折れた煙草の吸殻でうそが分かるのよ(大感動)!

人はどれだけ心を隠しても、本心は体のどこかに出るもの。貧乏ゆすりや視線ウロウロ、髪の毛をいじるクセなど、うそをついたら落ち着きのなさゆえに「小さな仕草の回数が増える」と思う。
きっと「うそ」の男性の煙草は、いつもより2,3折り多くつぶれていたのだろう。山口洋子さんが描いたイメージとは違うかもしれないが、この解釈もアリではないか。意外にこっちを想像していらっしゃる方も多いのではないか。ふふふのふ。

楽しくなってイラストも描いてみました。決して西郷どんではありません。中条きよしさんです。「うそ」のレコードジャケットと、レコード、そして吸殻を描いてみました。全然似なかったわ……

●「うそ」がリリースされた1974年、ハイライトは120円だった

しかし改めて、こういったシーンで「煙草」という小道具はいい仕事をする。うそも平気でつけるような、良い意味でも悪い意味でも「経験豊かな大人」をこれ一つで想像させる。

ただし、それは昭和歌謡だからこその話。煙草が粋ではなく、厄介な煙を吐く物体となりつつある現代は別の意味を持つだろう。

それに、なんといっても調べて驚いたのが、この歌がリリースされた1974年の煙草の価格はピース10本入りで75円! ハイライト120円! セブンスター150円!! 安ッ!! ウソみたいに安い!!

今やハイライトは520円、セブンスターは600円。、煙草の価格に時代の流れを感じてしまった。

●もしかして別れていないかもしれない!?


さて、この曲のタイトルは「うそ」だが、歌詞を見ると、「うそ」というより「思わせぶりな言葉」。「これはうそじゃないよ。そのときはきっと彼は本気でそう思ったんだよ」と男をかばう人もいるかもしれない。しかしいやいや、調子が良すぎるのだ調子が!

「エプロン姿が似合うね!」
「花嫁衣裳どうする? 僕は着物が好きなんだ」
「帰りの車気を付けて。一人の身体じゃないんだから」

最後に至っては、アンタが家まできっちり送れやと言いたくなるくらいの、口だけ男である。
それでも、この女性はたぶん彼が好きだ。結局振られるのか、自分から身を引くのかわからない。もしかしたら、「折れた煙草の吸殻」を見ないふりして、付き合い続けるのかもしれない。

ちなみのこの曲のB面は「指輪をはずして」。ううむ、意味深だ!

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