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ジャック・アマノのアメリカNOW   ワイルド・ウエストの旅2021     アンテロープ・キャニオン

予定を変更してアンテロープ・キャニオンへ

 夕陽に染まるデリケート・アーチは次回に取っておくことにして、ユタ州の制限速度80mphでザイオン国立公園、ブライス・キャニオン国立公園方面に向かった。グリーン・リヴァーからインターステイト70をインターステイト15にぶつけるまで、2時間ほど西進。そこまでの景色がまた豪快かつ雄大だった。しかし、遥か遠くの山裾まで続く荒れ地のとてつもない広さには不安を感ずることもあった。クルマがダウンしたら、かなり厄介なことになるので、燃料の残りと水温には常に注意していた。

アリゾナからニューメキシコへと南下
そこからコロラドへと北上

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モアブから50㎞ほどのデッドホース・ポイント州立公園。コロラド川の屈曲した流れと、浸食した地形が一望できる

 I-15に入ると地形が緩やかになって、ユタ州北東部に比べると緑が随分と多くなった……と思ったら、目的地に近づくと、また辺りの山肌がモアブ付近と似た赤さに戻った。この日のドライヴ中、“同じ道をまたデンヴァーまで戻るのは気が進まないかも……” という考えが頭に浮かんだ。四つの国立公園を巡るツアーのはずだったが、“プランを練り直した方がいいかもしれない” という気がしてきたのだった。前の週に体験したアーチズ、キャニオンランズという二つの国立公園、そして、デッド・ホース・ポイントという州立公園があまりにも素晴らしかったので、思わず声を上げてしまうような景色にはお腹いっぱいの状態になっていた。ここにさらに連日の観光をぶち込んで自分は大丈夫だろうか? 消化し切れないんじゃないか? と考えた時、コロラド州の山道が封鎖になる可能性を思い出し、計画変更が正解という結論に達した。アリゾナ州に南下して、そこから東に向かってニュー・メキシコ州を通り抜け、コロラド州デンヴァーへと北上するルートだ。距離は1.5倍に伸びるが、天候などを考えれば遥かに安全だ。
 この案をさらに後押ししたのが、”アリゾナに行けるなら、アンテロープ・キャニオンを見ることができるかも(!)というアイディアだった。ガイドつきツアーじゃないと行けない秘境だけに、急に思い立っても予約が取れるのか?
 ネットでチェックをしたら、空きがあると判明。ザイオンとブライス・キャニオンの国立公園x2を今回はパスすることにして、2泊でユタ南部を離れた。

念願のアンテロープ・キャニオン・ツアー
まずはホースシュー・ベンドへ

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こちらがホースシュー・ベント。同じくコロラド川の穿入蛇行で作られた地形だ

 去年、イエロー・ストーン国立公園を訪れたついでにユタ州のソルトレイク・シティ、ボンネヴィル・ソルト・フラットまで足を伸ばした時、ホテルの部屋にあった雑誌でアンテロープ・キャニオンの幻想的な写真を見た。“行ってみたい!”となったが、時間的に余裕がなかった。今回のツアーは岩のアーチを見ることを最重要目的で、アリゾナに行くことは考えていなかった。それが急に行けることになった。 
 最初に予定した日は雨でキャニオンがクローズされたが、翌日のグループに編入させてもらえた。
 アリゾナ州フラッグスタッフを朝7時過ぎに出発。快晴。女性のツアー・コンダクターが運転する豪華なヴァンに乗るお客さんは、自分を入れて9人。往路ではナヴァホ族の民芸品やお土産品を売る店、“ホースシュー・ベンド”というコロラド川が大きく曲がっている、有名な観光スポットにも立ち寄って、ペイジの街でランチ。その後にようやく、待ちに待ったアンテロープ・キャニオン・ツアーが始まった。

アンテロープキャニオンの中は別世界!

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ペイジの街でナヴァホのガイドさん運転のヴァンに乗り換えた。ここがアンテロープ・キャニオンの入り口。太いオフロード・タイヤ装着で、乗り心地はソフトだけれど、ガイドさんが結構飛ばす。ランチ直後の身としては、ちょっと……。

 原住民しかガイドになれないらしく、彼らのヴァンに乗り換え、川底だったと思われる赤い砂の上でもガイドさんは結構スピードを出し、軽くジャンプしたり、ドリフトしたり。そして、キャニオンの入り口に到着。

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これがアンテロープ・キャニオンの入り口。一刻でも早く見たい、と気持ちが早るのはみんな一緒だったよう。しかし、砂に足を取られて……

 前のグループとの間隔を空けて、ついに中へと入る時が来た。
 入るや否や、そこは別世界。細かな地層と線と、滑らかな曲線を描く地形、そこに空から光が降り注いでいる。水と風が長い、長い時をかけて作り上げた神秘的な世界。写真を撮りまくった。

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水と風が、とてつもなく長い年月をかけて作り上げた彫刻。洞窟ではなく、空から光が差し込む。だから綺麗だし、カビ臭くもない

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こちらがアンテロープ・キャニオンの出口。雨が大量に降った時など、こちら側から水が入って行く

これが今回のツアーのハイライト。ツアーで一緒だったカップルには、”モニュメント・ヴァレーにも行ったら?”と勧められたけれど、アンテロープ・キャニオンで”締め”にするとにした。

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以上

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