レベッカ・ソルニットの言葉

・ものごとを真の名で呼ぶことは、言い訳をし、ぼかし、濁乱させ、偽装し、逃げるため、あるいは、怠慢や、無関心や、無自覚を促すためにつかれた嘘を、切り裂く。それだけでは世界を変えるのに十分ではないが、真の名前を呼ぶことは、重要な工程なのだ。

・ものごとに真の名前をつけることは、どんな蛮行や腐敗があるのか――または、何が重要で可能であるのか――を、さらけ出すことである。そして、ストーリーや名前を変え、新しい名前や言葉やフレーズを考案して普及させることは、世界を変える作業の鍵となる。
 
・現時点での危機のひとつは言語的なものなのだ。言葉は曖昧な意図のぬかるみへと退廃する。
 
・言語に関して注意深く、正確であることは、意味の崩壊に対抗し、希望と展望を植え付けるべき愛すべきコミュニティとの対話を勇気づけるひとつの手段である。
 
・重要なのは、行動に移す者がいることだ。2006年、政治学者のエリカ・チェノウェスは、非暴力が暴力と同じくらい政権交代に効果的かどうか確かめるべく試みた。・・・人口のたった3・5%ほどの人たちが抵抗すれば非暴力的に政権を倒すことさえできるというチェノウェスの結論に、市民運動の活動家たちは魅了された。言い換えれば、変化を産み出すためにはすべての人が合意する必要はないということだ。ただ、一部の人が情熱的に賛同して寄付をし、選挙運動をし、デモに参加し、ケガや逮捕のリスクを取り、投獄や死の可能性を覚悟すればよいのだ。彼らの情熱的な信念は、ほかの人に影響を与えるかもしれない。思想は周縁で生まれ、内側に移行することで成就するものである。

――『それを真の名で呼ぶならば(渡辺由佳里訳、岩波書店、2020年)―Call Them by Their True Names, Haymarket Books, 2018.


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