「読めない作品など存在しない」ーこの同人の宣言としてー

読めない作品など存在はしない。人々はなにも考えずに「難解」であると語っている。そして、多くの「フィクション」が読まれない形でこの世界から消えていく。この現実を還元するならば、人類と呼ばれる種族に該当する動物たちはフィクションに嫌悪感を覚えているという判断を下さざるをえないだろう。果たして消えているのだろうか。

否、消えてはいない。ただ消えたのは、人類という曖昧なリアリティだけだ。
「虚構」すなわちフィクションは、人類を愛していない。個々の作品に不可能な愛を捧げる人間だけであろう。現実はフィクションに満ち満ちている。そして、なにかもっともらしい事を考えたとしても、それがリアリティなどというものを持つはずがなく、すべてがフィクションに他ならない。言ってしまえばフィクションを見出す視覚にも嘘があるに違いない。

では何だろうか。フィクションを読んでそのリアリティだか現実だか知らないが、そこに愛を捧げるなどというものは到底不可能な話ではなかろうか。愛すなわち、徹頭徹尾、隅々に行き渡った。読解、批評、あるいは否定から、常にこぼれ落ち続ける液体のような存在こそ「リアリティ」である。従って、この世に読める作品など存在しない。