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誕生日

再投稿になります。

先日晴れて?30歳の誕生日を迎えました。
暗黒時代の10代を過ごし、20代に入って暗黒から抜け出せたかのように思えたものの、過去の暗黒期間の定義付けに苦しみ…人生がこんなに苦しいなら30まで生きられたらもう十分と思っていました。

そんな私が30歳になりました。あんなに未来に対して悲観的だったのが、この数年の間で少しずつ視界が開け、今、目の前にはきらきらした光の道筋が見えています。

暗闇真っ只中だった10代の時は、とにかく絵をたくさん描いていました。描きたくて描いているよりかは、何か衝動に駆られて描かされているようでした。言葉に当てはめることができず行き場を失った感情が一斉に爆発するようでした。

転勤族だったので、余儀なくころころと環境が変わる中で育ち、どこにもしっかりと根を下ろすこともできず、愛着のあったものから切り離される経験を繰り返しました。家庭もギクシャクしていて安定からはかけ離れた状況で、外にも中にも寄る辺がないと感じていました。愛着を持ったり深い関係を築くのが怖くなってしまったのか、一人でいることをすっかり好むようになりました。

進路を決めなければならない時が来ても、目の前が真っ暗でどこに進めばいいのか見当もつきませんでした。絵をよく描いていたから、という単純な理由で美大受験を検討したことがあり、その流れで美大予備校の体験講習を受けました。先日実家に戻った時にその時に描いた絵が出てきて、懐かしくなりました。

初めての石膏デッサン
初めての静物デッサン
初めての木炭デッサン
初めての油彩

体験講習を受けるまではただ一人でもくもくと描いていたに過ぎなかったので、初めて教室に入った時の衝撃は大きいものでした。それまで使ったことのない画材を使って見慣れないモチーフを描くという作業は新鮮で面白みを感じた一方、周りの視線を感じながら絵を描くことに対して耐性がなく、講習半ばのある日、パニックを起こして教室を飛び出し、そのまま頓挫したという苦い思い出があります…。結局、心理学を学びに一般の大学に入ることに決めました。

余裕ができ、絵を描くことが好きだと再認識して積極的に学びたいと思えている今、その時のことを振り返るともったいないな、と思うのですが…。当時は好きというよりも逃避のために絵を描いている感覚が強かったので、迷いがあったのだと思います。

順風満帆な人生とはほど遠く、混乱の続いた人生ですが、最近になって自分の人生もまた一つのキャンバスのようなものとして捉えるようになりました。苦しい体験も幸福な体験も、わけのわからない体験も、あらゆる体験はキャンバスに点を描く行為で、それらの点同士が後々結びつく瞬間があり、そこから何か星座のような絵が浮かび上がる。どんな絵が浮かび上がるかはわかりませんが…このように考えるとこれから起こるどんなことも絵を構成する点として楽観的に受け入れる心構えができるような気がして、またそこからできあがる自分の絵がどんなものになるのか、楽しみな気もし。30になった今、やっと人生は面白いのかもしれない、と思えています。

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