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東京ノスタルジア


東京に行くといつも、大学生として過ごしたあの4年間は私の中に生きているなあと思う。
慣れ親しんだ駅が、道が、風景が、それを教えてくれる。



一人暮らしをしている彼の家がある西荻窪。
都会すぎなくて、公園や緑が所々にあって落ち着く感じがする。お散歩をして、昔ながらの喫茶店や小さな雑貨屋さんを見つけるのも楽しかった。
将来一緒にここに住みたいねと話したこと、彼は覚えているのかな。
それくらい私にとっては特別で、好きな場所。


いつだったか、ここに戻ってくると安心できるよね〜と友達と言い合った巣鴨。
大学に行くにも、インターンに行くにも、友達とお出かけに行くにも、必ずここを通った。
おばあちゃんの原宿と言われていて、昔ながらの暮らしが垣間見えるのもほのぼのとしていて好きだった。
駅近の鳥貴族にドトールの子たちと通い詰めたこと、鮮明に思い出せる。


双子の相棒と2人で暮らしていた高島平。
まさかお隣さんとあんなに仲良くなるなんて想像もしていなかった。野球少年と電車好きの弟、沖縄出身のあたたかいお父さんとお母さん。
お父さんはよく夜風に当たってタバコを吸っていたから、私達と立ち話をするのは日常茶飯事だった。
最上階の角部屋。陽の光が綺麗に入って夕暮れ時が特に好きだったことも覚えている。
今は東京で就職した大切な友達が住んでいて、何かの縁を感じる場所。


場所と記憶は色濃く結びついている。
その場所に行くと、頭の中にくっきりとした映像が流れ込んできてあの頃に連れ戻される。
インターンで通い詰めた、子供たちが集まる居場所のあたたかい木の感じとか、バイト先だったドトールに出勤した後の手の匂いとか、疲れ果てて飛び込んだ松屋の明かりとか。
そういうのを、思い出してしまう。
今では、いくつか新しい故郷ができたように思っている。その場所での経験が今の私を作っていることを強く感じるから。


けれどね、目まぐるしく変わっていく東京は、それはあくまで過去のことなんだという現実も思い出させてくる。冷たい。
ここでの私の時間があったことなんてまるで嘘のように、全てが変わっていく場所。だから来ると必ず寂しさを感じてしまう。


私は東京が嫌いで、でも、それ以上に好きなんだと思う。またいつかここに戻ってくる時は、私にとって新しい意味を持つ場所になるんだろう。
きっとそれは、私の人生の第4章が始まるとき。
そういう予感がしている。


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