神田さやか「山を見る係」

2015年に出た自主製作のCD-R。
神田さやかはクラシックギター弾き語りのアーティスト。少ない音数と強弱によって作られ、沈黙さえも曲に取り込んでいるような淡い楽曲と、一聴しただけでハッと胸を打ち聴き入ってしまう静謐で美しい歌声が魅力的。
今作は楽曲のクオリティ自体はそれほど高いとは思わないが、彼女の魅力と独自の世界はすでに存分に表れていると思う。


01 川
穏やかな調べに透き通った歌声が加わり静謐な世界観に惹き込まれる。穏やかな川の流れに美しい歌声が舞っているよう。

02 出発の月
繰り返される旋律が歌声と共にだんだんと叙情的に響いてくる。


03 山を見る係
アウトロに耳を惹かれるタイトル曲。もう少し聴きたい気もする。山を見る係というアルバムタイトルにするセンスも素晴らしいと思う。

04 コーヒー
序盤のアカペラからギターの演奏が入っていき、次第に緊張感が出てくる。コーヒーの粉がふくらむ、という情景の描き方も映像が目に浮かぶよう。

05 雨
雨に溢れる心情を吐露しているようで、窓の外に映る雨の風景を眺めているような傍観の視点も感じる印象的な曲。

06 あたらしい嘘
穏やかな曲調のなかに物語性のある曲。


07 金木犀
吐息のように一定のリズムのゆっくりとしたクロージング曲。


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