射守矢雄と平松学「センボウノゴウ」

1 small world
2 Gyaspi
3 dissound the blues
4 Mrs.JASCO
5 B-teamのテーマ
6 センボウノゴウ
7 KING
8 ドサンポ
9 core mode
10 octopus
11 Robin popinica
12 Men who work alternately

 

2015年発売のアルバム。
ブッチャーズの射守矢さんとfOULの平松さんの二人組。2ベース+バスドラのバンドですが、アルバムでは小松さんをはじめゲストも数人参加している。
タイトルは留萌にある千望台という所からきてるそう。ジャケットの絵は射守矢さんが描いたもの。フォトグラファーに射守矢敏雄とクレジットされてるけど、ご家族の方なのかな?CDが入ってるとこを開けると北海道っぽい風景写真が幾つも載ってるけど、これも留萌の風景?
音のほうは、ゲスト以外基本的にベース2本のみにも関わらず、様々な表情を見せてくれている。ブッチャーズ時代から射守矢さんのベースはギターとして数えられてはいたけれど、時に激しく時に叙情的で、まるで映画のサントラのような、あるいは風景画のような、何かの情景を音が映しだしてくれるように感じる作品。

 

 

初っ端から気だるくしっとりとしたフレーズで始まる①は、終盤では突然ノイジーに。割れたサウンドがかっこいい。

②も不穏な曲調から、終盤にブッチャーズを思わせるようなせつなさと激しさが同居したサウンドに。

③は穏やかなサウンドのなかに、時折ファウルっぽいコミカルさや色気のある音の残像を感じる曲。

昼下がりの主婦のメロドラマのテーマのような④は、ストリングスも相まって気だるさと妙な艶っぽさが漂っている。

淡々としながらもどこかコミカルで痛快さも感じる⑤。タイトル通りこのバンドのテーマソング、オープニングソングのようにも感じる。

⑥はブッチャーズの射守矢さん先行の曲を想起させるような、射守矢さんのせつなげで心に響くフレーズが堪能できる名曲。

遠くから雷が聞こえてきそうな不穏な曇天の風景を感じる⑦。ゲストのバリトンボイスが怪しげな雰囲気を醸し出す。そこはかとなく、魔王(音楽の授業でやるやつ)っぽさも感じる。

⑧のドサンポは、道産子のお散歩という意味なのだろうか?それにしてはずいぶん険しい道のりを歩いているような、命がけのお散歩のテーマといった感じ。

激しく疾走する⑨のあと、流れる風景のなかをしっかり足を踏みしめて歩いていくような⑩

憂いた人間の内面を綴ったかのように感じる⑪。一音一音が胸に深く沈み入るようで聴き入ってしまう。

⑫は大団円を迎えたようなオープニングから始まり、エンドロールのように過ぎ去った情景が浮かんでくるよう。せつなさをかかえながら歩き続けていくようなエンディングソング。

 

ほぼベースのみのインストでありながら、様々な情景を想起させるサウンドスケープ。だけども根底にあるのはハードコアなんだと思う。和音で奏でられるハードコア。全編聴き応えのある素晴らしい作品です。射守矢さんの演奏をまた聴ける場所があってほんとうにうれしい。

 


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