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競走馬(繁殖馬)の「用途変更」の歪曲的解釈について

 こんにちは、印度孔雀です。こういう内容は復帰後書けばいいものなんですが、X(旧Twitter)であるポストを見て思うことがあったので、とりあえずざっと書きます。

こちらのポストなんですが、リプライや引用ポストで「"用途変更"という言葉も同じくらい嫌だ」という旨のコメントが見られました。この言葉自体は不動産などでも用いられる用語ですが、競馬界においては、何故か屠殺(屠畜、=処分され行方不明になってしまうこと)の歪曲的表現として使用されている印象を受けます。

これは「予後不良」にも同じことが言えるのですが、歪曲的な表現が一般化されてしまい本来の定義を知らない人が多いんですよね。馬における「用途変更」は、基本的には繁殖馬がその役目を解かれる時に用いられる表現で(そう示されずとも、「競走馬」から「乗馬」や「誘導馬」へ転身することなども広義の"用途変更"といえるでしょう)、ジャパン・スタッドブック・インターナショナル (JAIRS) の発表(種牡馬のみ)及び血統書サービスのサイト(種牡馬・繁殖牝馬)で主に確認することができます。ヘッダーの画像はナイスネイチャの血統書サービスにおける画面となっておりますが、確認いただけるように2001年10月9日付で用途変更となっていることが分かります。ですが、ご存知の通り同馬は今年の5月に35歳で大往生を果たしていますね。もうお気づきの方もいらっしゃると思いますが、"用途変更"とは、ただの繁殖引退のお知らせでしかありません。繁殖供用中に亡くならない限りは、全ての繁殖馬が用途変更となると言っても過言ではないでしょう。

GⅠ馬で言っても、現在繁殖馬でないことが助成金の助成対象である「引退名馬繋養展示事業」、通称引退名馬である馬はすべて"用途変更"となっているはずですし、供用中に死亡以外の事由で繁殖登録がなくなるのは、用途変更を除けば「転売不明」「輸出」しかありません。ですから、"用途変更"というワード自体は、別に恐ろしいワードでもなんでもありません。

もちろん、用語としての定義を理解していて、その上で「繁殖馬から食肉」という"広義の用途変更"を指している方もいらっしゃるかもしれません。ですが、SNSなどを見ている限りでは本来の定義を知らずにこのワードに抵抗を持つ方が多いように思われたので、このような形でざっとまとめさせていただきました。

乱文にはなりましたが、これで少しでも"用途変更"というワードを見ただけで嫌な想像をしてしまう方が減ればいいなと思います。印度孔雀でした。

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